027
ハチドの街からそう遠くないところにある丘陵地帯。
一本そびえ立つ桜の木。場所取りは完璧。
シゲンのアイテムで安全なエリアにしてモンスターの心配もない。
ベアードの提案を泳汰はありがたく受け入れた。
味のある食べ物を食べられるということでメガロドンの面々は待ち切れなかったのか予定より早く人が集まりバーベキューが始まった。
「で、ミライさんがそのエプロンとは如何に。」
姿を見て開口一番シゲンがそう言い放った。
誰もが思ってはいたが口にはしていなかった。
ミライ
「アンタ、それはどういう意味かしら?」
シゲン
「ミライさん綺麗なんだけど、なんだろう、溢れ出るお母さんオーラが何とも。完全に40代。」
ミライ
「シゲ、もう一回言ってみなさいよ、アタシの目を見ながら!!!」
シゲン
「あだだだだだ!!! ふひまへん、ふひまへん…。」
ミライは右手に持っトングで器用にほっぺをつねる。
ミライ
「これをつけている間は新妻よ、新妻!」
泳汰
「新妻のエプロンドレス、か…結構レアだろう?それ、いつの間に取ってたんだ?」
ミライ
「蛇姫の所の巴ちゃんと一緒にクエスト参加したのよ、その時に手に入れてたの。」
シゲン
「なるほろ…、ほろほろはなひてくれはへん?(そろそろ放してくれません?)」
ミライ
「あぁ、そうだった。」
ベアード
「臨時料理人が一人だけか?」
ミライ
「あとはしるきーちゃんが料理人よ。」
しるきー
「あんまり戦闘ではお手伝いできませんでしたが、お料理はがんばりますのでいっぱい食べてくださいね!」
汚名返上と言わんばかりにやる気満々なしるきーと、お母さんオーラ全開のミライのもと、バーベキューが始まった。
野生の動物や山中にいた動物系モンスターの肉や、港の市場で取引されていた魚介類、新鮮な野菜をたくさん食べた。
昼過ぎから始めたバーベキューはいつの間にか夕方近くなっていた。
しるきー
「食材探しに森へ出かけたときにリスに出会ったんです!とってもかわいかったですー。」
串に刺さった肉をパクパクと食べている姿がリスっぽいと誰もが思ったが敢えては言わなかった。
しるきー
「モンスターだけじゃなく野生の動物さんもこの世界にはいるんですね、驚きました。」
そんな話をしていると遠くで力強くよく通る声で鳴く生物の鳴き声が聞こえてきた。
吉継
「ん?これは何の泣き声だろう、鳥っぽいかナ?」
マシュー
「トンビや鷹では?」
シゲン
「いやまて…これは…」
シゲンは慌てて魔法鞄から単眼望遠鏡を取り出して周囲の空を確認する。
ベアード
「この鳴き声はグリフォンだ。」
白眉
「グリフォンはツクバ周辺の生息範囲でしたが、はぐれたのでしょうか?」
シゲン
「あ、いた。グリフォン1、2…3体だ!野生じゃない。誰か乗ってる!!」
単眼望遠鏡をくるくるとまわして拡大倍率を大きくする。
シゲン
「この服装は見たことあるぞ…やっぱり、シロエににゃん太さん、守護戦士は直継か、茶会の面々じゃねーか。吉継、弓装備、〈鏑矢〉行けるか?」
吉継
「20秒で準備しよう。」
シゲン
「よしきた!」
吉継そそくさと魔法鞄から弓矢を取り出し矢を上空に構える。
矢先が特殊な形をしていて赤色をした矢、それが鏑矢。
吉継がそれを放つと「ピー!!」甲高い音が鳴り響いた。
グリフォン3体は気が付いたのかこちらに寄って来た。
「あ、セララちゃんだ!」
しるきーは大きく手を振って出迎えた。
人数多いと誰が何話してるかなんて作者しかわからない罠。
多い時は名前付けて会話させるようにします。




