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ブリューナク ~貫徹する槍~   作者: ホウスウ
■第2章 弱肉強食? inススキノ
26/49

025

「っとクマにロンダークは任せておいてっと…。」

「僕たちは『仕方がないから』三下相手と行こうカ。」

「お前ソコ強調すんなよ…。」

「だって僕も殺りたかったナァ…、あのゴリラと、ネ?」

「そかそか、そんじゃまた来世で。」

「あー!ひどい!僕の言葉を受け流したネ!」

「わかったわかった!!ワーヨシツグサマオツヨイノネー!」

「むぅ…。」

「なにがむぅだ!さぁ、行くぜ!」

メニューを呼び出し装備を一新するシゲン。


「本当に『仕方ない』んだかラ…。」

魔法鞄の留め具を外し、決めかねていた今日の得物を取りだす吉継。



「はっは!コントは終わったかい?シゲ。」

「おおっと、待たせて悪かった!陣形は手筈通りで!」

「「「了解!!」」」


メガロドンの3人は威勢よく応答した。


「今までの借りを利子も熨斗も付けてお返しするぜ!!倍返しだぜ!!」

意気揚々と大斧を振りまわして敵へと突っ込む。


「今日の得物はこの子でっ…。」

魔法鞄からヌルリと抜き出すはトレードマークの大太刀。

「太郎太刀、君に決ーめタ。」


抜刀するや猛突進する吉継。

「斬られたいのは誰だイ?」


刃渡り221センチの刀を振り回すミイラ武士。

方や、負けない大きさの大斧を振り回す倍返し守護戦士。


これに対抗しようとするプレイヤーは中々いない。

後ずさりや背を向けて逃げる者が多数であった。


その中でも数少ない残念ながら勇敢なプレイヤーは2人の間を抜けてデミクァスに加勢に向かおうとする。


「そうは甘くないわよ。」

小回りのききそうな柄の長い小斧を振りまわして、時には立ち向かい、時には〈ウィロースピリット〉で適当にあしらうミライ。


「確かに、自分たちだけ好きに出来ると思うなよ。」

ククリナイフにもっと角度をつけたような変わった形のナイフを携え、時には後ろから音もなく忍びより、時には〈ナイトメアドロウ〉でナイフを投げて対応するマシュー。


「逃げる守るで必死だったからお前等の相手してやれなかったがなぁ…」

「面と向かえばお前等何ぞ…」

「敵じゃないんだから!!!」


「おー息もぴったりだ。こっちは大丈夫そうだな…。」

シゲンは魔法を連射しながら呟いた。




■□■□■□■□



「やっぱり敵わねえのかなぁ…。」

攻撃を受けて倒れたままの一角がそうぼやいた。


こちらは劣勢。

一角はHPはあと1割程度。

ミライからの〈ハートビートヒーリング〉、シゲンの後ろに隠れているしるきーからの〈ヒール〉を受けてこの数値である。

一方、デミクァスは半分のHPを残し、依然健在。

術者らしき姿が見えないが時々回復している姿を見ると茂みにヒーラーがいて回復をしているようだった。


攻撃はある程度見分けられるようになってきた。

受けるとれば変則的な行動か汚い行動。

相手より優っているものはリアルでの知識と攻撃の受け止め方。

相手はもうほとんどMPが尽きかけているからあとはコンボで繋げていくしかない。


心の中で現在の状況を整理して「ウンウン」と頷く一角。

起き上り、継戦の気持ちを見せるため戦う構えを見せつける。


「ほう…まだやれるってか、無駄にタフなのもつらいもんだなぁ…。」

「種族の違いって奴っすかね?ドワーフでよかったですよ。」

「まだそんな口を聞けてる様じゃまだまだ元気がありそうだな。」


そう言いながらデミクァスは攻撃モーションに入る。


「〈ワイバーンキック〉!!!」

「それです、真正面からのそれを待ってたっす!」


一角はデミクァスの〈ワイバーンキック〉を受け止める構えを取った。


「バァーカ!!!受け止める前にダメージを受けてお仕舞いだ!!」

「っ!!!」


一角の身体を光が包み込む。


「死なねえよ、賭けに勝った!この脚貰ったっす!!〈グリズリースラム〉!!」


一角はデミクァスの脚をガッチリと捉え、地面に叩きつける。


「糞野郎…。その光は〈インドミタブル〉、一定確率での即時復活か…。」


不意を突かれたデミクァスは一旦距離を取ろうとする。


「させない!!〈アドヒュージョンビー〉!!〈サイレントパーム〉!」

距離を取ったデミクァスに怒った蜂のよう執拗に間合いを詰める。

そして掌打を叩き込んでその動きを阻害する。


「がはっ!!」

「あんたも癖が出てるじゃないですか、不意を突かれると距離を取るのは自分から見て左後方。」

「てめぇ…。」


一角の立てたコンボはまだ終わらない。

左腕を引いて力を込める。

「〈タイガーエコーフィスト〉!!!これが今日のやられた分です。」


打ち放った左手を素早く戻し次の動作に移る。

「これがギルドの脱退届っす!!今までありがとうございました!

 〈オリオンディレイブロウ〉!!!」


オリオン座の形をなぞるように拳を叩き込む。

星座が完成すると衝撃が共鳴しあい激しい音と共にデミクァスの身体を歪ませる。


デミクァスのHPは1。


戦いを見ていた仲間たちは討ち漏らしたかと気を落としそうになった。


「いいんです…、これで。」

一角は涙を流して呟いた。


〈ナイトメアドロウ〉は〈盗剣士〉の〈フラッシングドロウ〉の異名同内容特技です。

意外に暗殺者には投擲特技無いのね。あれ?俺の確認漏れ?


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