024
デミクァスの前へ一角が歩み出る。
「次はおまえか一角。」
「アンタはそんな人じゃないと思ってました。悪い人を演じているだけで根はいい人だと思ってました。」
「昔話でもしに来たのか…。」
「でももう昔みたいに尊敬なんか出来ないッス…。」
一角は拳を前に出して力強くこう言った。
「ぶん殴って正気に戻してあげるッス!」
「上等だ、かかってこい!返り討ちだ!!」
「言われなくても行きますよッ!!〈モンキーステップ〉!!」
文字のごとく猿のように機敏にステップを刻みながら攻撃のチャンスを窺う。
「っとここだ!〈ライトニングゥ…」
「返り討ちってんだろ!〈ライトニング・ストレート〉ォォォ!!!」
「ぐっ!!」
デミクァスの隙をついて攻撃をしようとした一角は逆にタイミングを計られ攻撃を受けてしまった。
「プレイの癖ってのはゲームの頃から変わらねえなあ、一角!」
「クソゥ…、タイミングは完壁だと思ったのに。意外に癖なんか見てるなんて。」
「何回手合わせしてやったと思っているんだ?お前はフェイントを入れて近づいてくるときに必ず右へ回り込む。フェイントのステップだってそうさ、距離感や左右の振り方まで一緒とは真面目君か?」
「っ…。」
「品切れか?来ないならこっちから行くぞ!!〈タイガー・スタンス〉!!」
耳をつんざくような雄たけびをあげて急接近するデミクァス。
「おらぁぁぁ!!!〈タイガーエコーフィスト〉ォォォォ!!!」
風を切りながら飛んでくるデミクァスの右腕をギリギリで回避する。
「(…予測が付けば身体能力でかわせる…。後は連続攻撃に耐えられれば…。)」
「左がお留守だぜ!!」
今度は特技なしの左ストレートが一角を襲う。
それを装備している手甲で受け流す。
「くっ…(受けきれない…。)〈ファントム…」
一角は連撃受けきれず後退して距離を取ろうとする。
「遅いんだよ!!!〈ワイバーンキック〉!!!」
「がっ…!!!」
体重の乗った思いキックに一角は数メートル吹っ飛ばされる。
「やっぱり…つええなぁ…。」
一角の顔には涙がこぼれていた。
■□■□■□■□
「ちっ!黙っててくれたらいいものを。みんな手筈通りに!」
シゲンがロンダークの言葉に反応して仲間達に指示を出す。
「脳筋も脳筋だがこいつらもこいつらだ、俺たちの邪魔ばかりしあがって…。まずは裏切り者の処分だ…。」
ロンダークは一角に狙いを定めて詠唱を始める。
「おーっと邪魔はさせないぜ!おまえの相手は俺だ!!」
待ってましたと言わんばかりにロンダークと一角の射線上に立ちふさがるベアード。
「くっ!」
「男と男の決闘に水を差すような真似はしないだろうな?ネズミ男。」
「ネ、ネズミ男だと!!」
「灰色のローブからチラリと覗く顔ったらネズミ男だろう?」
「俺への暴言は只じゃ済まさんぞ、何がタイマンか。ただのゲームだろう。死ねば大神殿へ帰るだけさ。」
「只じゃなくて結構結構、俺もお前等みたいな『なんちゃって世紀末集団』大嫌いなんだ。」
ベアードの罵詈雑言によりロンダークはカンカン。
ベアードに矛先が向いた。
「おのれ…言わせておけば!!〈ライトニングチャンバー〉!!」
「おらよっ!そのままお返しだ!!」
ベアードは迫りくる攻撃をそのまま盾で受け止める。
鏡面の盾は術者を映し出しその術者へ攻撃を跳ね返す。
「ぐっ、つまらん小細工を…。」
どうやら戦況は悪くないようだ。
ベアードはそう思ってニヤリと笑った。
やっぱり戦闘シーンは難しいですねぇ…




