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ノースオーガ一行とミライ、一角がススキノ周辺に着いたのはお昼過ぎのことであった。
ススキノ周辺では噂通り、悪徳ギルドが専横していた。
大地人や低レベルプレイヤーはその振る舞いに太刀打ちできずされるがままの状態であった。
それ光景に耐えることのできなかった一角は助けに出ようとしたが、
ミライが抑え、シゲンが諭した。
「お前面割れてるからダメ。」
「あっ…。」
「僕たちが出よウ。」
「ミライさん達は隠れていてください。」
そう言って5人は茂みから飛び出した。
「みなさんは強いッスか??」
話を聞いてはいたものの、目の当たりにするとやはりイロモノ軍団のノースオーガ。
一角はミライにそう尋ねた。
「そうねぇ、ウチのギルマスと同じくらいの経験はあるかもね。」
「泳太さんぐらいッスか?」
「ウチのギルマスとあのベアードさんは大手の〈D.D.D〉で隊長張ってたって話よ?」
「〈D.D.D〉ッスか?そいつはすげーや。」
そんな話をしている間に次々にPK集団を神殿へと送り込む一行。
「よし、行こう!ススキノはもうすぐだ。」
ホへーっとしている一角へベアードが促す。
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蔵人と白眉を街の外へ待機させて、ススキノの門をくぐった残りの一行は
泳汰に指定されたエリアへとたどり着いた。
扉をあけると泳汰の姿があった。
「泳汰はそのまんまだな。」
「クマもそのまんまでクマじゃないか。」
「今回はありがとう、本当に感謝してる。」
「よーし、だったら恩返しにでも期待してるよ!」
お互いに笑いながら肩をバシバシと叩く。
「今にマシューも来る、いまとある御仁を迎えに行って貰っていてな。」
「あぁ、ネコの旦那様ぁ…。」
顔を赤くし少し照れているようなしぐさを見せるミライ。
「…。(ミライさん、なにがあったんだ?)」
「…。(話せば長くなるんだがな…。)」
…話を聞くに、脱出の際に転倒して逃げ遅れていたところをそのネコの旦那様に助けて頂いたとのこと。
その時にされたお姫様抱っこに永遠の27歳はもうウットリ。
「きっとリアルだと4,50代のナイスなおじ様なんだわ…。」
などどブツブツ呟くミライ。
「名前なんつったかなー。レイドとかで見た記憶あるんだけどなー。」
「ほう、そんな有名人がススキノに?」
「そうそう、今に来ると思うが…。」
すると背を向けていたドアがギーッと開く音がした。
「ネコの旦那お連れしました。」
「にゃ~、これはこれはたくさんおりますにゃ。」
「あ、あなたは!!」




