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ブリューナク ~貫徹する槍~   作者: ホウスウ
■第2章 弱肉強食? inススキノ
19/49

018

一行は無事にムッツまで辿り着いた。

途中、誰かさんの無茶のせいで<鋼尾翼竜(ワイバーン)>の群れに襲われた場面もあったが事なきを得た。


ムッツへ着いたのはもう日も沈みきった頃であった。

到着すると街の入口に見慣れた人物が待っていた。


こちらの姿に気がつくと、手を振り続けた。


「みんな、来てくれてありがとう。」

「なぁに、気にするこたぁないさ。」


ふんっ!となぜか偉そうにするシゲン。


「シゲには感謝してないもーん。」

「うげっ!」

「相変わらずレディの扱いがなってないネ。」

「本当だわ…。」

「ミライさん、お久しぶりです。」


ミライさん。

<深海の大鮫(メガロドン)>のサブマスを務める女性プレーヤー。

メインは<森呪遣い(ドルイド)>の年齢は永遠の27歳。

実年齢はゲフンゲフン…。


「本当に久しぶりね。」

「状況は如何ですカ?」

「作戦通りには進んできてるわ、回数を増すごとに警戒が厳しくて大変だけどね。」


シゲンの立てた作戦。

夜間決行の夜逃げ大作戦である。

聞こえは悪いが四の五の言ってはいられない。

<深海の大鮫(メガロドン)>メンバー25名を幹部を除き数パーティに分けて警備の薄い夜間にススキノから脱出するという手筈だった。


すでに最終パーティと幹部チームの脱出を残すのみとなっていた。

しかし、ススキノにのさばる悪徳ギルドに進路を塞がれていたのであった。


ミライに連れられるままメンバーが集まっている宿屋の大広間へ向かった。



■□■□■□■□



大広間へ向かうと数個の大きな机にそれを取り囲むようにたくさんの椅子が並べられていた。

それにススキノを脱出した低レベルメンバーが椅子にかけて待機をしていた。

ベアードは見覚えのあるプレイヤーを見つけては声がけをして回って。



その中に一際目立つ人物が一人。

椅子には座らずに壁に寄りかかり腕を組んでいる男性の姿があった。

その顔の眉間にはシワが寄っている、機嫌が悪いのだろうか。


ムキムキの身体は人間ではなく一目でドワーフだということがわかる。


本来、ドワーフの身長は設定上130センチと小さめ。

しかしこの不機嫌そうなプレイヤーは170はある。


「はて?」ベアードの頭の上には???マークが浮かぶ。


「あん?てめーなにガン飛ばしてんだ??」


ついつい不思議に思い、凝視をしてしまっていた。


「あぁ、いや別になにも。」

ベアードは圧に負けて押されそうであった。


不機嫌そうな男、言ってしまうと最高にガラが悪い。


スキンヘッドに左目には眼帯、黒の道着を来ている。

手にはバンテージを巻いている。


どこぞの格闘マンガの敵役にいそうなそんな恰好であった。

そして中身も見た通りそのままであった。


「あぁ?今ここの宿はウチで貸し切りさぁ、他所へ行きな。」

「ウチって、君はここのギルドなのかい?」

「そうよ、<深海の大鮫(メガロドン)>の切り込み隊長を仰せつかった一角様よ!」


ビシッ!っと親指を立ててこちらにアピールするものの、ベアードがステータス画面を確認すると別のギルド名が表示されている。


いよいよ話が見えなくなってきて頭がパンクしそうな所にシゲンがやってきた。


「ベアード、ここまで来てもめ事は勘弁って、ブリガンティアの追ってかよ!ここまでやってきたってか!!」


シゲンはステータスをみるなり声をあげた。

今回の救出行の原因でもある、ススキノで大暴れしているブリガンティアのギルド名を目にしたからである。


「あ、いや、これは違うんだ…。」

「ミライさーん!追手だ!」

「だから!違うって!!」


シゲンは慌てて距離を取り構えた。



「うるさーい!!!!」

宿全体に響かんばかりのミライさんの大声。



「へ…?」

ポカンと口をあけるシゲン。

ベアードや低レベル組は「あああ…」と頭を抱えている。


「キレたリアルミライさんか、これは怖いネ。」

出された温かいお茶(味は水)を啜りながら吉継がぼそりと呟く。


ミライさんがまるで怪獣のようにドシンドシンと足を踏みしめ騒音の元である一角とシゲンのもとへ近寄る。


「ど、どゆこと?」

「俺は悪くねえっす!」



「喧嘩は…両成敗。」


そう言い放つとむんずと二人のほっぺをつかみ外へと連れ出す。


「ひはい!ひはい!!」

「はから!おへははるくなひ!!」



「頭冷やしてこーい!!!」


足で扉を蹴り開けて、外へ連れ出される2人。


「2人で状況確認し合って、反省してから戻ってきなさい。いいわね。」

「「…はい。」」




こうしてムッツでの1日目の夜を迎えた。







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