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第7章 龍の左眼

第7章 龍の左眼


第1話 レプトン(1)


 この惑星に近付く前、未久は予言した。

「危険です。

強力なエネルギーが待っています。

ムーに戻りなさい」


 鎮也は、ムーに戻った。


 アインは、考察した。

「強力なエネルギーから推察されるのは、レプトンに関係があるのだろう」

「今のムーの科学力では、強力なレプトンに太刀打ちできない」


 アインは、ムーの科学者と共にレプトンの研究を進めた。



第2話 レプトン(2)


 レプトン系素粒子は、電子・タキオン・グル‐オンの3種類が発見されている。

この中で、もっともエネルギーを持つのはグル‐オンⅠだ。


 グル‐オンⅠの研究を進めた。

この過程で、アインは、「スペラン系素粒子」の1種を発見した。

それを「エリオン素粒子」と名付けた。

エリオン素粒子は、電子、グル‐オンを構成した。

エリオン素粒子は、エネルギーそのものだった。

「バリオン系素粒子」にはない性質を持つ。

そもそもバリオン系素粒子をエネルギー転化するのには、無理があった。

地球の20世紀、21世紀頃の『核』が典型だ。


 「スペラン系素粒子」の1種を発見した。

「エラドル」素粒子と名付けられた。

このエラドルを放出すると、TBD8装甲を簡単に突き破った。


 「スペラン系素粒子」による攻撃を無効化する技術が必要だった。


 重力子や斥力子も「スペラン系素粒子」系の仲間だ。

アインは、重斥力子とエラドルの違いを発見した。

波形が違うのだ。

アインは、特定の物質が波に転じる時の特性を再考察した。

今まで波は、バンド幅と周期によって現わされていた。

これを、「波形、振幅、周波数」で現わす事にした。

周波数(f)=周期(1/T)である。

 未だ先の事だが、これが『この宇宙の構成原理』に繋がる。



第3話 レプトン(3)


 レプトン系素粒子の攻撃を無効化するのは、比較的簡単だった。

『STA』装置を使い感知し、『STC』装置でその情報を転送する。

すると、レプトン系素粒子より速く発信元にその情報が届く。

何故なら、『STC』装置は、タキオンを活用しているため、光速より速い。

レプトン系素粒子は物質である限り光速を超えられない。

 その情報とは、攻撃してくるレプトン系素粒子の「波形、振幅、周波数」だ。

これと同形で同振幅、同周期の波を同量送り込む。

但し、周期の半分を位相させてだ。


 その結果、レプトン系素粒子は対消滅を起こす。

レプトン系素粒子の対消滅は怖くない。

質量が小さいため、対消滅時に発生するエネルギーは少ない。

怖いのは、レプトン系素粒子そのものが持っているエネルギーの方だ。


 『STA』装置は、『STC』装置と合体させて改良された。

レプトン系素粒子波の発生装置も造った。


レプトン砲の完成だ。

この砲は、自由に「波形、振幅、周波数」を換えられる。

そして、周期を位相させる事もできる。

この時点で、攻撃力も敵と同じになったはずだ。

但し、出力が劣っていればイズミは、灰塵に帰するだろう。

 レプトン系素粒子の素材は空間に山のようにある。

この心配は無用だろう。

危惧されるのは、高振幅か低周波数、高周波数かだが、理論上その心配もなさそうだ。


 イズミに幸あれ。



第4話 イズミ出陣


 イズミは、その惑星に向かった。

やはり文明は、さほど高くない。

レプトン砲が、際立って目立つ。

悪意の欠片の影が見える。


 レプトン砲が、イズミを襲った。

イズミも、レプトン砲を放った。

周期を半分だけ位相させて放った。


 この惑星の放ったレプトン砲のエネルギーは全て対消滅した。


 幸とマリヤが、この惑星を浄化させた。

そして、「龍の左眼」を得た。

「龍の左眼」は、レプトン砲でえぐり取ったものだった。


 悪意の欠片のいたずらとしか思えない。

彼に何のメリットがあるのだろう。

命を弄ぶ悪意の欠片を捕まえなければならない。


 ミチヤは、この悪意の欠片を見つけた。



第5話 悪意の欠片


 恒星間をネットワーク化している転送機が度々襲われた。

現在、このネットワークは、銀河の東1/3をカバーしている。

襲われるのは、決まった領域だった。


 ミチヤは、その領域に向かった。

この時、イズミと同型の宇宙船「アユミ」が誕生していた。


 そして、第5世代人工知能『ケント』が搭載されていた。

この『ケント』は、イズミにも転送された。


『ケント』は、禁忌である「13個のクォ‐ク」を使って作られた。

『ケント』を搭載しているのは、イズミとアユミだけだ。

他の船には搭載させられない。

『ケント』を制御できるのは、限られた者達だけだ。


 悪意の欠片を見つけた。

それは、真っ暗な宇宙空間でも、更に暗闇だった。

何かに侵されているように見える。


 悪意の欠片は、「龍の翼」を持つ最後の惑星の住人に欺かれた。

最後の惑星の住人は、過激な欺きをする。

最後の惑星の住人も侵されている。


 悪意の欠片は、元々、ただの放浪の欠片だった。

最後の惑星に辿り着いたのが、記憶の最後だった。

悪意の欠片は、目的もなく文明のある程度進んだ惑星に欺きをした。


 悪意の欠片は、「PQD2・3改」と「ケントの援護」で浄化された。



第6話 科学の整理


 アインは、ムーに滞在中、ムーの科学をまとめた。

それは、大きく分けて次の項目になった。


「物質と空間」

「精神」

「命」

「遺伝子」

「その他」


「命」は、存在を認める。

しかし、正体が全く不明だ。

「命の泉」の主は、有力な情報を与えてくれるだろうか?


「その他」は、いくつかある。


「螺旋」は、そのものは理解できる。

だが、DNAとの関係については、皆目、見当がつかない。

波動エネルギーもそうだ。


魔女達が使う「呪文」は、少しだけ解っていた。

「呪文」は、自己暗示をかけ、一時的に遺伝子の発現をさせるものだった。

後に、この「呪文」が突然変異と関係がある事が明らかにされる。

今は、一時的な遺伝子の発現だけだ。


『聖徒』が使う『「聖水」も少しだけ解っていた。

精神の働きを健全化する機能がある。

そして、

「重力が精神に及ぶす影響のメカニズムの研究」

「過重力から精神を防御する技術の確立」

「過重力に侵された精神を取り戻す技術の確立」

が、課題だ。



第7話 物質


 現在発見されている素粒子は、次のものだ。


予測、不明も含むが、質量の小さい順に並べる。


「トリオン」系素粒子…トランスット

「スペラン」系素粒子…重力子、斥力子、エラドル

「レプトン」系素粒子…電子・タキオン・グル‐オン

「クォ‐ク」系素粒子…6種類のクォ‐ク

「バリオン」系素粒子…自然界物質、ダイバリオン

元素…バリオンとレプトンの複合体

現段階で、光子が何処に属するのか解っていない。

また、電荷を持つ元素は、化学反応を起こす。

生体もこの恩恵に預かっている。


質量の目安は次の通りだ。


 陽子は、質量約1.67×10の-27乗Kgだ。

ダウンクォ‐クは、質量約4×10の-28乗Kgだ。

電子は、質量約9.11×10の-31乗Kgだ。

「スペラン」系素粒子、質量約1×10の-33乗Kgだ。

「トリオン」系素粒子、質量約1×10の-36乗Kgだ。


陽子は、直径約1.7750×10の-15mだ。


トリオン、スペラン、レプトンは波としての性質も持つ。

波は、「波形、振幅、周波数」で表記できる。

 クォ‐ク、バリオンが自然界で波に変化する事はない。


アインは考えていた。

「最小素粒子が、あるはずだ」

「そして、そこには、この宇宙の構成原理が隠されているはずだ」

と。



第8話 空間


  バリオン系素粒子は、長い年月をかけて、重力子か斥力子を放出し続ける。

この重力子と斥力子は対消滅して場を作る。

但し、全ての重力子と斥力子が対消滅するのではない。

スピンが一致していなければならない。

スピンは、重力子と斥力子が波の形状を持った時の、「振幅、周波数」と同義だ。

「重力子と斥力子の波形は同じ」な事は、解明された。

この場が空間だ。


 そのため空間は、エネルギーに満ちている。

対消滅した重力子と斥力子がエネルギーとして残る。

だがエネルギー密度が一定ではない。

質量の大きい星の傍では、エネルギー密度が高くなるはずだ。

だが、斥力が足りない。

この問題は未だ解決していなかった。


エネルギー密度を一定に保とうと自然は作用するが、放出に間に合わない。

「空間の密度」が高低を持つ理由がこれだ。

「密度を一定に保とうと自然は作用する」

この原理は20世紀のエントロピーの法則の拡張で説明できる。

だが、それはもう少し先の事だった。


 満ちたエネルギーは、レプトンとして物質化する。

何かに求められれば、物質化する。


 だが空間を論じるには未知な部分が多い。

重力子を放出する物質は多く発見されている。

しかし、斥力子を放出する物質は数少ない。

これではバランスがとれない。

今、宇宙は膨張している。

このためには、斥力子の絶対量が重力子を超えなければならない。


 この問題は、「スペラン」系素粒子の符号反転で解決されるだろう。

未だ、予測に過ぎないが。


 空間飽和から空間爆発へと至った星を1つ知っている。

この星の調査は進められている。



第9話 精神


 「13個のクォ‐ク」の実験で、精神エネルギーが物質である事が解った。

ただ、それが何系の素粒子に属するのかは、解明されていない。


 その時の実験で、僅かながら「意識」「感情」を持つ事も解ってきた。

だが、これも研究中だ。


 精神全てを物質で説明できる日が、来るのか不明だった。


 アインは、思う。

「それでも残るものはある」


「心」

「気持ち」

「意識」

「感覚」

「感情」


 何処から何処まで、物質で説明できるのだろうか?

命との関係は、どうなのか?


 かつて、地球では「クオリア=感覚質」という概念が提唱された。

だが、概念だけでは、進歩は望めない。


 「13個のクォ‐ク」が鍵を握っているのは確実だ。



第10話 遺伝子


 DNAは、2重螺旋構造を持つ。

だが、この螺旋の秘密が解らない。


 暗号化されたコドンの解読は、間もなく終了するだろう。


 問題は、その構造なのだ。


 DNAを創ったものがいるはずだ。


 突然変異が、染色体の特定の領域で頻繁に行われる事が解った。

頻繁といっても、比較的という意味だ。

突然変異は、偶発的に稀にしか起こらないと考えられていた。

しかし、「領域が特定される」という事は偶発的でない事が考えられる。

特定の領域以外で変異したコドン群は、直ぐに機能しなくなった。

特定の領域で変異したコドン群は、人に特殊能力を与えた。


 物質の解明より奥が深い。

『命』と密接な関係を持つのかもしれない。



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