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第4章 龍の鱗

第4章 龍の鱗


第1話 放浪の欠片


 未久は予言した。

「銀河の上方の辺境に向かいなさい」


イズミは、辺境に向かった。


 未久は予言した。

「黒く小さなものを探しなさい」


ここにもミニ・ブラックホールがあった。

辺境にブラックホールが存在するのは、理論上ありえなかった。

しかし、現実に存在している。

質量は太陽の30倍くらいある。


 ここの星域は、放浪の欠片の溜まり場のようだ。

しかも無法者達だけらしい。


 ブラックホールは、彼らに精神を紡ぐらしい。

しかも、その能力は破壊活動に限定されるらしい。

力は強大だ。


 重力場の強いところは、精神に影響を及ぼすのだろうか?

悪魔も赤色巨星の傍に住んでいた。


 ここに「龍の鱗」があるはずだ。


 かつて、彼らは「命の泉」を攻撃した事がある。

動機は嫉妬だった。

破壊だけが目的だった。

そして、闘いには敗れた。

その戦闘の時、「龍の鱗」を数片剥ぎ取った。


 覚醒者の能力は、彼らの能力を上回る事ができるのだろうか?



第2話 設計変更


 クオダイバリオンの設計変更が行われた。

第4世代ダイバリオンとなる。

トップクォ‐クが発見されたためだ。


 1種類目の構成を、

「アップクォ‐ク1個」

「ダウンクォ‐ク2個」

「チャームクォ‐ク1個」

「ストレンジクォ‐ク2個」

「アップクォ‐ク2個」

「ボトムクォ‐ク4個」

とした。

 質量は、52,910となった。

CSDと比較すると、52,910/2,808≒19倍となった。

しかも、構成するクォ‐クの種類が3種類から6種類になった。

これを「PQD」と呼んだ。


 2種類目の構成を、

「トップクォ‐ク4個」

「ボトムクォ‐ク8個」

とした。

 質量は、102,800となった。

CMDと比較すると、102,800/3,000≒34倍となった。

これを「TBD」と呼んだ。


 ただ、トップクォ‐クの絶対量の確保が必要だった。

ムーに戻ったミチヤは、ブラックホールへの対策を練った。


 リトル・イズミを製造し始めた。

予測総重量10tだ。

理論から出た計算結果は、次のようだった。

ブラックホールの質量が太陽の30倍の時の計算結果だった。

脱出のための空間エネルギーだ。

「シュヴァルツシルト半径の近くでは、TBD9バッテリー1.1個のフル装空」

「ブラックホール地表面では、TBD9バッテリー6.3個のフル装空」

 ブラックホールの質量が増えると、質量の増加率の3乗倍のバッテリーが必要だった。

船体の重量には反比例した。



第3話 PQDとTBDの開発


 PQD2とPQD3の開発が行われた。

TBD4~9の開発も行われた。


PQD2…強力な精神同期

PQD3…強力な精神増幅

TBD4…超硬度、耐熱物質

TBD5…斥力発生物質。

TBD4C…TBD4とTBD5の複合材

TBD5A装置…斥力の調整装置

TBD6核融合炉…宇宙船は巡航時に使用。ムーでは発電に使用。

TBD8スーツ・・・TBD4C+TBD8。宇宙服。

TBD8装甲・・・TBD4C+TBD8。宇宙船装甲。スーツの900倍の厚さ。

『STC』装置…指向性の超高速通信装置

『STA』装置…短距離探査装置

TBD9バッテリー…空間移動に使用

TBD9空間融合炉…TBD9バッテリーに接続、装空

TBD9転送機…生命体、物質の空間転送に使用

が開発、製造された。


 TBD9バッテリー64個とTBD9空間融合炉8個がイズミに転送された。

他の機器、部品も転送された。


 第4世代人工知能『ルクス』も開発された。

TBDを制御するためには不可欠だ。

ルクスは、精神力が増していた。


 ミチヤはリトル・イズミでブラックホールに向かった。

トップクォ‐クを採掘し、PQDとTBDの量産に入るためだ。



第4話 精神攻撃


 無法者達の精神攻撃は凄まじかった。

覚醒者達も堪えるのが精一杯だ。

しかも、ブラックホールの傍にいる影響なのだろうか?

精神状態が惑乱する。


 彼らは、一時この星域から脱出した。


 ムーからPQDとTBDで製造されたものが、転送されてきた。

イズミの総重量は、1,000tとなった。

機器や装置が小型化されているため、この重量で済んでいる。

装甲の厚さも100分の1になっている。

元の設計なら30,000tをはるかに超える。


 覚醒者達の意識が明瞭になった。

それまでは半分眠っている状態だった。

ルナが全てを制御していた。

だが、そのルナもルクスとの交代の時がやってきた。


 明瞭になったのは「PQD2・3」の影響だろう。


 彼らはブラックホールに向かった。



第5話 開発


 ムーでは、ペンタダイバリオンの開発が行われていた。

しかし、うまくいかない。

途中で崩壊してしまうのだ。


 それは、偶然だった。

ミチヤがムーに、採掘したトップクォ‐クを持って一旦帰っていた。

 彼の意識に働きかける未知の意識があった。

それは、微かなものだった。

ミチヤにはそれが何か分からなかった。


 クラサが予言した。

「ペンタに行きなさい。

未知なるものが待っているでしょう」


 ミチヤは、ペンタダイバリオンの開発チームのところへ行った。

未知なる意識はここから発せられている。


 ミチヤは、ペンタダイバリオンの開発工程を1つずつ確かめていった。

意識の発生源が分かった。


 それはクオダイバリオンに13個目のクォ‐クを融合した時だった。

開発チームも不思議に思っていた。

 13個目の時、10のマイナス1000乗ほどの質量が損失するのだ。

ペンタダイバリオンが崩壊する理由が解った。

 チームは13個目の時に開発を絞った。



第6話 組み合わせ


 チームは「13個目の時」の開発を続けた。

ミチヤも参加していた。

だが、うまく行かない。


 「複雑の木」理論が応用された。


 意識の強くなるクォ‐クの種類の組み合わせをこの理論に投じた。

クォ‐ク数が13個なのは分かっている。

その組み合わせの量だけの問題なのだ。


 しかし、その組み合わせの量は、実験できる量ではなかった。

現在の科学力を持ってしても何十万年かかるか想像できなかった。

「複雑の木」理論は、これを解決しようとしていた。

 やがて、実験可能数の組み合わせの量ができた。

数百件の実験で済む。


 21世紀初頭に「NP問題」という、人類の誰もが解けなかった数学問題があった。

 「複雑の木」理論は、これを実用的に扱えるようにした。

NP問題が完全に解けたわけではなかった。


 実験は延々と続けられた。

ミチヤはその意識と会話した。

実験は成功したのだ。



第7話 精神


 精神エネルギーの秘密が解明された。


 「13個のクォ‐ク」を6種類のクォ‐クのある特定の組み合わせで融合する。

すると意識を持った精神エネルギーを放出するのだ。

それは、はっきりとした意識だった。


 だが、知性は低い。

精神エネルギーが巨大なのだ。


 精神エネルギーは物質だった。

「精神の全てが物質か?」は、定かではなかったが、精神エネルギーは物質だった。


 ダイバリオンが精神に感応してくる理由が解った。

知性は誰がもたらすのだろうか?

この精神エネルギーを制御するのは誰だろうか?


 『命』を求める旅が必要だった。

ユーラ達のためだけでなく、人類もそれを望んだ。


 ペンタダイバリオンと「13個のクォ‐ク」の開発は禁忌とされた。



第8話 改良


 PQDの改良が行われた。

ここでも「複雑の木」理論が応用された。


 「13個のクォ‐ク」の開発で得たテクノロジーが使われた。


 PQD2・3は改良された。

精神に優しくなった。

無理な付加をかけない。


 クラサの予言能力が飛躍的にあがった。

「覚醒者達は幾多の困難を乗り越えるでしょう。

そのためにムーの協力が必要になるでしょう。

彼らの旅は始まったばかりです。

彼らが何処まで行くのか?

それは分かりません」


 この「PQD2・3改」はイズミに転送された。


 この時、人類の1%に満たないくらいの人々が、覚醒していた。

細胞リサイクル遺伝子を持ったのだ。


 21世紀初頭、人類は遺伝子の数%しか発現させていなかった。

細胞リサイクル遺伝子を覚醒させた人々は遺伝子の15%をも発現させていた。



第9話 再接近


 鎮也達は「PQD2・3改」を得て、無法者達に再接近した。

精神エネルギーで攻撃された。

だが、「PQD2・3改」は威力を発揮した。


 幸は浄化者だった。

生命体の健全化ができた。

幸は無法者達に働きかけた。


 彼らは意識を失った。

そして目覚めた時、記憶は無かった。

彼らは、やはりブラックホールに支配されていたのだ。

彼らはこの星域を旅立った。


 ブラックホールの研究が必要になった。

ロバートはブラックホールの地表面に降り立った時に、気付いていた。

あの漆黒の暗闇の異常さが、通常のものでない事を、気付いていた。

 あの時のブラックホールは太陽の15倍だった。

小さいブラックホールは、ロバートに幸運を与えた。

「あれがあの時、巨大なブラックホールだったら?」

 ロバートは寒気を覚えた。

やはり、宇宙には未知が多い。



第10話 ブラックホール


 このブラックホールは太陽の30倍だ。

「PQD2・3改」がある。


 ロバートは搭載艇でブラックホールの地表面に立った。

ここには、トップクォ‐クが無尽蔵と思われるほどある。

『STA』装置は、クォ‐ク種別を感知できた。


「龍の鱗」を手に入れた鎮也達は旅立った。


 ミチヤがリトル・イズミでこの地に来た。

リトル・イズミは搭載艇を1機積んでいる。

ミチヤはトップクォ‐クの採掘にかかった。

彼も「PQD2・3改」を所持できる。


 通常の人類は「PQD2・3改」を所持できない。

精神への影響が大き過ぎるのだ。


 ムーでは、細胞リサイクル遺伝子を覚醒させた人の何人かが、志願していた。

「PQD2・3改」を所持する事を望むものが何人かいた。

 覚醒したもの達は皆所持できた。

そして遺伝子、の発現率を25%まであげた。



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