第二話:ライブと退屈
オープンなライブ会場に流れていたドラム音が沈黙の時を与えたかと思うと、間髪いれずに客の歓声があがる。
長いこと聞き続けた黄色い声と太い声
神の声を持つ美声年こと俺、京谷瑞紀(17)は歓声に向かってシャウトしたあと、小さく舌打ちしたが運良く歓声に書き消された
―――十分後
「俺…やめるわ」
俺が控え室のソファに腰掛けた直後バンドのギタリストがやめるといってきた
「あ、そ。オフか…」
そっけない返答にギタリストは口が開いてふさがっていない
まだ童顔のギタリストが俺より年上だと思うと滑稽で笑いが込み上げたがなんとか喉元で笑いがおさまった
こいつみたいに人気になれるとふんで俺のバンドに入ってついてこれずやめていったのは何人目だろう
―――
――
―
影武者のスタッフがいなくなったころ、俺たちも帰路につく
明日から学校にいかないといけない、めんどうくさい…
今まではメンバーのあてがあったから高1の間は学校にいかなかった。
明日は点呼だけ受けて
「ばっくれよう」
自然に声が出た、そうだばっくれよう。
家についてすぐ俺は床についた――
―――
――
―
次の日の昼下がりの校舎裏、そこは懐かしくも凄惨な風景と共に見慣れぬ
「過去」
を見つけた―――
それはきっと俺の
「未来」
で
「現在」
なのかもしれない
少なくとも、
止まった退屈からは抜け出せそうだ
そのときはただ薄れ行く意識の中
次のギタリストを選んでいた