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鞭打ち百回

「むっ・・・・・・」

 シグムンドはある朝、井戸で顔を洗っていると、いつぞやの爺が現れたのを察知し、

「何のようだ」

 とぶっきらぼうに尋ねた。

「そう怒りなさんな」

 老人は歳の割りにしっかりした歯並びで、にかっと笑った。

「ゲルズを知っているか」

 シグムントは知らないと答えた。

「イングナ・フレイ、ユングヴィの親族であくどい巨人だよ」

「ほう」

「息子のシグルズにそいつを退治させちゃあ、どうだい」

 シグムンドは驚いて聞き返していた。

「まさか、あんた、あの子にやらせるつもりか。冗談じゃないぞ。あれは俺のかわいい子だ」

「ワシとの契約を破ったくせに」

 シグムントは言い返せなかったが、

「その代償、というわけか」

 と皮肉を言った。

「そうじゃ。まあとにかく、倅はもらうぞ」

 シグムントはシグルズを不憫に想ったが、後の祭りとうなだれ、撃沈していた。



 じつはゲルズはあくどくもなければ、汚くもない、ただの娘であった。

 なぜ老人はシグルズを使ってゲルズを殺させようとしたか。

 それは、彼がフレイとけんかをした際に、腹立ち紛れで起こした行動であった。


 老人はフニカルと名乗り、シグルズをいかだに乗せてライン川くだりをはじめた。

「ユングリングねえ。遠いんだろうなあ」

 フレイ以降はオーラヴ・トリュグヴェソンという人間の王が統治することとなる、ユングリング王国。

 フニカルはシグルズがこれでフレイと仲間割れしてくれたらいいと、ニヤニヤほくそえんだ。


  

 ユングヴィ、シグルズ、と呼ぶ間柄の彼らは、幼馴染でもあり、永遠にその友情を誓おうということになり、銀色の神々の守りをお互い持っていた。



「農耕神フレイルをかたどった。シグルズと僕は、永遠の友達だよ・・・・・・」



 だが今日は、フレイへの挨拶ではなかった。

 フニカルが画策し、フレイへ戦争の挑戦状をたたきつけるため、出かけるのであった。

 そんなこととは露も知らないシグルズ。

 フニカルは人間を利用し、そして、――殺す役目を帯びていた。


 そう、彼こそが主神オーディンなのである。


 

「あの人もあくどいわね」

 妻のフリッグが鼻を鳴らした。

 ノルンの女神たちは、フリッグの顔色を窺い、青ざめている。

「まあしかたないわ。あのひとだもの、ねえ、フレイヤ」

 オーディンの愛人、フレイヤもうなずいた。

「戻ってきたら、鞭打ちの刑!」

 フリッグは、茨の鞭を床にぴしゃりと投げつけた。 

 

  

  

 ここのくだりの解説ですが・・・・・・。


 オーディンはめったにけんかをしないフレイと、おやつを取り合い、けんかになりました(汗。

 そこで根に持つ性格のオーディンは、フレイをどん底まで叩き落そうとし、苦労して愛する妻を手に入れたことをスキールニルというフレイの召使の人間から聞き、(スキーは神話上、裏切りキャラっぽい)じゃあゲルズ殺せば、半端じゃなく泣くな、あのやろうってことになったわけです。

 

 いんちきくせー神様だなや・・・・・・。汗

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