俺は英雄様
シグルズがファーヴニルにあわせたヒルドは、じつをいうとヴァルキューレといって、軍乙女、すなわち、ヴァルハラの女戦士であった。
ヴァルハラはエインヘリアルと呼ばれる英霊の集う場所で、雲の向こうにそこが存在すると、古代のヴァイキングたちに信じられてきた。
オーディンの前で技を競い合って、死んだものは生き返らせてもらえ、夜に宴会し、また昼になると戦う。
死んだ上に死ぬって、どういう気持ちなんでしょうか(汗。
それはまあ、おいといて。
ファーヴニルはヒルドに黄金の指輪を与え、
「ヒルドちゃんが一番好きな人に、これを与えたら?」
そこでヒルドはシグルズに与えようとする。
「俺でいいのか?」
ヒルドはうなずいて、大切そうに両手で指輪を渡す。
「でも、気をつけて。シグルズがもし、ヒルドちゃんを裏切ろうって時は、この指環には妖精アンドヴァリの呪いがかかっているんだ、死が訪れるよ」
「かまうもんか」
シグルズは豪快に大笑い。
「かまうもんか。俺はお前の血を飲んでるんだぞ、カンタンに死んでたまるかっつーの」
「あんた、わかってねーだろ! だから裏切ったら死ぬのっ」
「じゃあ裏切らねえよ」
ファーヴニルはわかってもらえたのか不安になった。
「ま、まあとにかく、がんばってね・・・・・・」
「それに、だ。俺は英雄様だぞ。今では地上界を制覇できるほどの。そんなやつに弱みなんてないね。呪いさえもはじき返すだろうよ」
「なんて傲慢な・・・・・・」
ファーヴニルは呆れてしまってものがいえずにいたという。
これが、これが勇者の本質なんだよー!(叫。