第六話 第一回戦
記述が足りなかった部分があったので前話の内容が少し増えています。
一回、目を通してからご覧になってください。
9/1追記:学園長の話を追加。
模擬戦当日、僕は変なテンションで家を出た。(セラは気味悪がって
近づかない)
学園はいつもより騒がしく、今日は絶対勝とうとかの、声が聞こえる。
その中で、一箇所だけ壁の前に溜まっていたので向かうと、そこには
今回の対戦カードが乗っていた。
(1−Cはっと、あったあった……対戦相手は5-Bかよ!いきなり高学年って酷くね)
少し気が沈んだ僕は、教室に入っていった
教室では、メンバーは一箇所に集まっていて、こっち来いと手招きしていた。
「ユウ、おはよう」
挨拶だ、こっちの世界でも挨拶は変わらない。ただ、いただきますが無いだけだ。
「おはよう。ところで、作戦は本当にあれでいいのか?」
「うん、大丈夫だよ。この僕が居る限りね」
こんなことをいってるうざい奴は、昨日仮面オタクだと判明したクルだ。
作戦と言っても、アラード先輩のときにしか使えない、一回きりの作戦だ。
「まあ、こいつは放って置いて、俺らで勝ち進めるのか?」
こう弱気になっているのは、アレクだ。緊張に弱いタイプなのかな。
「まあ勝てればユウくんの力を隠すために、僕らだけでいくけど、
そんなに強かったらユウくんが出て行って勝つから大丈夫だよ」
そういって僕の強さを見破って居るのは、セナだ。
その為、セナとアレクだけには本当のこと(能力のことだけ)を話してある。
「でもさ、いくらアレクに勝つくらいユウが強いって言ったって、先輩だぜ?
勝てるのか?」
そう言って、ラテムが聞くが僕はぎこちなく
「まあ……大丈夫だと思う……」
と言って、強がってみた。さすがに現代では上下関係は重要なのです、
だからいくら強くても、先輩には逆らえないかもしれない……。
「そう弱気になるなって、自信持てよ」
この言葉が終わると同時に、バタン!と教室のドアが開き、
「おいお前ら!いきなり五年だがヘマするなよ。
まあその前に学園長の挨拶だから体育館へ行くぞ!」
「わかってますって……」
「って言うか、いまさらだけどアラード先輩のチーム、当たっても最終戦じゃん
当たるのか?」
「用心はするに越したことは無いって」
そう言っているうちに、クラスのメンバーは、みんな移動したらしい、僕らは
取り残されていた。
「急ごうか……」
「そうだね……」
みんなに追いつくと、学園長の挨拶が始まっていた。
「では、この模擬戦の趣旨を説明しようと思う。
これは、全学年の実力の向上が目的となっている。その為怪我をしないようになっている。
次に、この模擬戦の日程を説明しようと思う。
この模擬戦は、全部で五日間のスケジュールとなっている。
まず今日だが、私の挨拶が終わった後予選の一回戦が始まる。
明日は二回戦を行う。ここまではこの学園の生徒のみだが、
三日目からの本戦では貴族の方々や騎士の方が観戦に来るので、
恥ずかしくないようなプレーを頼むぞ。
三日目は本戦の一回戦と二回戦を行う。
そして四日目に、三回戦と準決勝を行い最終日に決勝戦をおこない
この模擬戦を終了する。
最後に皆の健闘を祈る」
そう学園長は言うと、生徒たちはメンバーたちを除いて全員各教室へと戻った。
「さあ遂に本戦だな頑張っていこう!」
「「「「「おお!!」」」」」
こうして模擬戦が始まった。
僕らが決戦の場所である闘技場に行くと、僕らのクラスが呼ばれた。
どうやら僕らは遅刻組のようだ。
急いで待機する場所と指示された場所に向かうと、
「では、一番手の人来て下さい」
審判がそう告げた。
こちらのチームの順番は、セナ、アレク、クル、ラテム、僕の順番だ。
そのため、セナが広場に出た。
「よろしくな」
相手のチームの先鋒がそう告げる。
「お手柔らかに」
「では、始め!」
審判がそう告げ勝負が始まった。
セナは剣に魔力を纏わせ、炎を出す。
対戦相手の人は、剣をどこからか取り出して、斬りかかって行く。
カンカンと、金属音が散り、セナの額に汗が出る。
そして、攻勢に出ている相手は剣がポキンと折れたらしく、またどこからか出し、攻める。
それをセナが受ける。始まってからずっとそれだった。
この戦闘には制限時間が無く、降参するか、転送されるかのどちらかをさせなくては
勝つことはできないので、攻めなくてはならないのだが、セナは一度も
攻勢に出ていなかった。
当然剣で裁くのは集中力が要るわけで、セナが不利なのは目に見えて分かった。
だが、セナが狙っているのは相手の油断による隙だった。
いくら五年生とはいえ、実戦をあまり踏んでない以上、自分より格下に見える相手に、
ずっと攻撃を裁かれるのは、焦るし、苛立つ。
その為、一気に決めようと隙を作る。セナはそれを狙っていた。
セナはしばらく裁き続け、遂に待ち望んだタイミングが現れた。
そう、相手が下がったのだ。
その隙をセナが見逃すはずも無く、出せる限界の魔力を纏わせ、
あたかもいきなり炎柱を出したかのように見せて、相手を動揺させた。
そのまま、斬りかかり、動揺していた相手はそれを受け、転送された。
「勝者セナ選手!!」
「よっしゃあ!!」
こうして一戦目は終了した。
「二戦目の人は前へ」
それと同時に、アレクと少しぽっちゃりした相手選手が前に出る。
「鞭使いだって!?」
「そうだよ、アレク君の対戦相手は、剣殺しで有名な鞭使いのエバン先輩だよ」
「じゃあ、不利じゃないか……」
「まあそうだね、でもそんな逆境くらい抜けれないと先輩には勝てないと思うよ。
アレク君がどう乗り切るのかが見物だね」
「では、始め!!」
その合図と同時に、アレクが斬りかかる。
だが、それをエバンは受けずに、鞭で叩きつけた。
それに気付いたアレクは、ありえないような身のこなしで避けて、
《ファイアーボール》を唱える。
出現した火の玉は、エバンにまっすぐ向かうが、それは鞭で壊される。
そのまま突っ込んで行き、鞭で打ちつけようとするが、剣で受けられる。
しかし、剣より出ている部分が、アレクにあたり、ダメージを与える。
「畜生、こんなの勝てるかぁ!」
「それにしても、おいら相手にここまで粘った剣使いは初めてだよ。
誇ったらいいと思うよ」
そういいながらエバンは鞭を振るい続ける。
受けれないと思ったアレクは避けるが、鞭は跳弾のように跳ねて、
アレクにぶつかる。
「そんなのありかよ!!」
アレクは文句を言うが、エバンは無視し鞭を振るい続ける。
「畜生、あれやるしかないじゃねぇか!!」
そういうが早く、全力でアレクは下がり距離をとり、
「省略呪文召還!!!」
それを唱え終わると同時に、赤い鱗を纏った竜が現れ、エバンに近づいていく
そして、魔力を供給し続けなくていいのか、アレクも剣で斬りかかろうと近づく。
「はぁ!?省略呪文で、レッドドラゴン召還とか、ふざけてるのかよ!!」
そういってエバンは、鞭をレッドドラゴンに当てるが、ビクともせず、
むしろ逆鱗に触れたらしく蹴り上げられ、羽で叩き落された後ブレスを直撃して、
転送された。
その様子に、周りは唖然とし気を取り直した審判が終わらせるのに、
少しの時間を要したのだった。
セラが……まったくでないよぉ……