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愛を知る時 ~本当の王妃になるまでに見つけた愛に守られるまで~  作者: 与謝野竜胆


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第二章 第六王女

 私とディルとアダリナ先生との会話教室にマチルダとメリッサも加わった。

一人でも多くの者が会話できることが望ましいからだ。

 サレルノ国の言葉は、聞き取ることが難しい独特の発音と発声がある。 

それが聞き取れるようになると、今度は喋るということの壁にあたる。私達4人は日常的に話すように心がけた。時間が足りない。

 エヴァとカリーナが、面白いわねと私達の真似をする。それが可笑しくて、何となく聞き取れるし喋れるようになってきた。

 

 いよいよサレルノ国からのご一行様が到着する日が目前に迫った。

 直近の手紙に第ニ王子と第六王女、外務大臣、外交官二名と護衛が五名来ると書かれていた。

客室や歓迎式典など王族をお迎えする準備に追われる。

 アダリナ先生には通訳の仕事をお願いした。平民には無理だと慌てる先生に、通訳なので礼儀作法も関係ない。必ず誰が側にいるからと説得した。

 何とか日常会話ができるくらいになったところなので、アダリナ先生には力になって欲しいとお願いすると何事も経験ですね。と承諾してくれた。


 サレルノ国からの視察団が到着した。

外交官一名が主に通訳をして、第二王子と第六王女はスワツール語が少しできるようだ。

アダリナ先生の通訳があったので、言語の不自由は少なかった。

 オーレンスト国からの情報があった通りに、外交官も大臣も挨拶以外は話さなかった。

 第二王子が、王族同士で打ち合わせの会議があるからと第六王女以外の同行者を各部屋に下がらせた。

第二王子が、我が国の者達が不躾な態度をとり申し訳ないと謝罪した。第六王女も揃って頭を下げた。

 この部屋は会話の内容が漏れる事がないか確認されたので、ケレが漏れる心配はないと返事をした。 

第二王子が自分と第六王女の紹介を行なった。

サレルノ国第二王子 ロペス・マシアス・サレルノ 19歳

サレルノの第六王女 マルガリータ・サレルノ 16歳

 今回の視察の目的を、天候に左右されない農作物について交渉することと説明して許可を得ました。

第六王女のマルガリータは農作物に詳しいので、同行許可がでました。

 古代語で手紙を送ったのは私です。とロペス王子が告げた。

気が付いて頂けて良かったです。我が国に詳しい方がいてくださって幸いでした。

 あまり時間をかけると怪しまれるため手短に話します。何とかマージ(マルガリータ)をこちらの国に残すことができるようにしたいのです。

 あの同行してきた者達の態度ですが、我が国は閉鎖的な考えの者が多く、他国との交流を好みません。他国に行く事など殆どないのですが、必要があれば赴きます。しかし、言語を学ぶことをしないので最低限の挨拶を行うことしかできないとお考え下さい。

 それで、現在、我が国の食糧事情が思わしくないため、こうして視察にでることができました。運良くマージを連れ出すことにも成功しました。

 マージと私がスワツール国に残るためには、新しい農作物の改良に携わるためと同行者に説明して欲しいのです。こちらの国に私達が残る事ができれば、詳しい事情を説明します。


 ロペス王子の話を全部聞き終えて、ケレが「信憑性と対価について考えているかね?」と聞いた。

これまでの手紙と今聞いた話だけで信用できると思っているのか?そして、リスクを負って助けたとして、スワツール国に何のメリットがある?

 国王は、常にその国を背負っている。国民を守っていかねばならない。我が国には全く益がないことが分かっていて、更に国同士が揉める可能性が高いことというリスクしかない話を引き受けねばならないと思うか?とロペス王子に問うた。

 ロペス王子は、唇を噛んで下を向いた。

助けを求めれば、手助けしてもらえると考えていたのだろうか?

 個人ならば有り得ることかもしれない。しかし、王族のこと、国のことを『助けを求められたから助けた』とそんな簡単にはいかない。厳しいことを言うが、交渉とはそういうことだとケレがロペス王子に告げた。

 

 暫くの間、部屋が静寂に包まれた。

 マルガリータ王女が、私は作物を成長させることができる緑の指を持っています。と話し始めた。

焦るようにロペス王子が、マージそれは話して…と言う言葉を遮ってマルガリータ王女が、お兄様は黙っていらしてとロペス王子の手を握り締めた。

 私は緑の指を持っています。これは、作物を成長させることが出来ます。対価になる得るかどうか分かりませんが、私ができることをさせていただこうと思います。

 この緑の指のことは、私とロペス王子しか知りません。母親にも話したことがありません。ロペス王子を見つめながらはっきりした口調で告げたのだった。

 私の国は閉鎖的です。しかし近年、食料事情が悪くなってきています。他国から食料を輸入しなければならなくなってきました。それで、今は条件の合う国を選別中なのです。

その交渉材料の一つに私が『おもてなし』を行うというのがあります。それでロペス王子が焦ってしまって、この様な事態になりました。

 16歳のマルガリータ王女は、しっかりと説明を行なった。


 ケレが、緑の指について検証させてもらおう。その結果で考えさせてもらうということでいいか?と二人に確認した。ロペス王子もマルガリータ王女も頷いて、よろしくお願いしますと頭を下げた。

 翌日、同行者の人達に、王子と王女は農耕地の見学にアルドアルへ向かうこと、その結果でサレルノ国にできる援助を検討していくことを通訳を通じてケレから説明が行われた。

 移動に時間を要するため、同行者の方々は一旦帰国されることをお勧めすると付け加えた。

同行者は困惑しているようだが、ロペス王子が食糧事情の改善ができる可能性が高い。国王宛に報告書を書いている。国王に急ぎ報告をと指示を出すと同行者全員が安堵したような表情になり、そのまま帰国の途についたのだった。

 同行者一同を見送った後にロペス王子が、私もマージも国にとっては重要な人物ではない、いつでも切り捨てることができる存在なのです。国王にとっては、ただの駒なので有利に働くなら働かせる、そうでないならさっさと手を切る予定なのです。私たち二人が残れるように配慮していただいて、ありがとうございました。サレルノ国についてお話しできることはさせていただきます。とケレの目を見て姿勢を正して最上級の最敬礼を行った。


 そして、ケレが心配する中、ロペス王子とマルガリータ王女を案内しながら、私はディルと侍女たちを伴ってアルドアルの街に出発した。 

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