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愛を知る時 ~本当の王妃になるまでに見つけた愛に守られるまで~  作者: 与謝野竜胆


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第二章 侍女の恋シリーズ

突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話

 伯爵家の長男であるアデマール様。私より6歳年上の彼からの説明に伯爵家夫妻が頷いていた。

 我が家としては、今更な気がする。協力ならスニアさんがいる時に王家がやるべきだったと思う。

 私の両親は、「提案して頂いた内容は、恐縮するほど有り難いことだと思います。ただ、家としては、過ぎたことですし今更な気もします。その時に関係のあった人達は誰もいませんから。」

 「娘が嫁ぐことは、娘の意志次第だと考えています。伯爵家の方々も責任などと考えられずに、娘を受け入れられると判断されてから婚約を考えて頂けませんか?親として、娘には幸せになってもらいたい。責任だけの結婚などで幸せになれるのかと思ってしまいます。」

「勿論、政略で仲睦まじく幸せになった夫婦もいますし、恋愛結婚が上手くいかなかった夫婦もいます。

 ただ、責任を取らないといけないから婚約しましょうと言われましても、はいそうですかと頷くことはできません。」と言ってくれました。


 アデマール様が、そうですね。それでは、少し二人で庭でも歩いてみませんか?私のことを知っていただきたいし、私も貴方のことを知りたいと思いました。

そう誘ってくれたのたので、二人で伯爵家の庭を散策することになりました。

 アデマール様は、丁寧なエスコートをしながら庭を案内してくれました。共通の話題に困るのではないかと心配していましたが、アカデミーの話や庭作りの技法や最近の流行りについて、簡単なクイズを混えてユーモラスな話を振ってくれるので、楽しい時間を過ごすことができました。

 アデマール様が、「実は心配していたのです。政略結婚を受け入れることは、貴族ならよくあることです。ただ、相手の方との相性はどうにもならないことがあります。生理的に受け付けない場合は、お互いが不幸ですから。しかし、メリッサとなら明るく楽しい愛ある家庭が作れそうです。」そう言って、初めて素の笑顔を見せてくれました。

 お互いに緊張していたんだなと感じたら、少し可笑しくなって二人で暫し笑い合ったのです。それからは、少し砕けた口調で話すことができました。 

 散策も終わり、部屋に帰る時にアデマール様が、この婚約を受け入れて下さいますか?と聞いてこられたので、お受けいたします。よろしくお願い致します。と返事をしました。

 アデマール様が、「ほっとしました。自分の口で伝え確認するのは緊張するものですね。良い返事が貰えて嬉しいです。」と私の手を持ち上げて、手の甲に小さなキスを落としました。

 それからは、順調に結婚式までが進んでいきました。

 マチルダが大きなお腹で、何が何でも親友の結婚式には参加するからと言って臨月を迎えていたのに参列してくれました。

 新婚生活も毎日が新鮮で、楽しい日々が続いていきました。

アデマールとメルとお互いを呼び合い、何でも相談して二人で決めるようにしていました。

 不思議なことに言い争うとか喧嘩になるとかいうことがありませんでした。アデマールは、領地経営に地方官の仕事もしていたので、日々忙しくしていました。

 私は伯爵家の家政を切り盛りしながら、子爵家の事業の手伝いもしていました。

 アデマールからの提案で、どんなに忙しくても夜は必ず話しをする時間を設けよう。お互いを理解して尊重していく姿勢を忘れないようにしていこうと話し合っていました。

 アデマールは、その容姿から良くも悪くも噂になることが多かったようで苦労してきたようです。

伯爵夫妻のどちらにも似ておらず、異国の顔立ちをしていたため夫妻の子供ではないのではないかと囁かれていたようです。少年から青年になるころには、その美貌に数多の女性から言い寄られることになり、どうにか逃げる方法を学んだとエピソードを面白おかしく話してくれました。


 そんな日々が3年続きました。

なかなか子供に恵まれないことを心配していた頃に、アデマールの外出が増えていったのです。

 アデマールが、子供はゆっくりしてから考えようと言っていたので、彼はそういった行為も徹底的に管理していました。必然的に回数も少なかったと思います。

 ただ、日頃のスキンシップがすごいようで、使用人がいつもお熱いですねというほど抱きついたりキスをしたりしていました。

 そんな彼の外出が増えていき、スキンシップもなくなっていき、夜は必ず話をしようという約束も守れなくなっていきました。

 何が起きているのか会話がないので知ることができませんでした。家令や使用人にアデマールが何をしているのか聞いても、誰も知らない状況が続きました。

 家にいる時間が少ないため、私も家令も報告をする時くらいしか顔を合わせることがなく、時には文書でやり取りをしていました。

 半年もこのような状態が続いていたので、流石にきちんと話し合いたいと思って手紙を書いても、忙しいので落ち着いたらという返事が返されるばかりでした。

 そうしていると今度はお茶会で、「ご主人様はお元気そうですね。先日は高級飲食店でお見かけしたんですが、異国の美しい女性とお二人で個室に入っていかれましたよ。」と目が弧を描いており、意地悪な表情をして明らかに面白がっているように話をされました。

 私は出来るだけ冷静な態度を貫きました。「異国の方との取引も増えてきていますから、商談をしていたのでしょう。態々気にかけて頂いてありがとうございます。」そう返しました。

 顔にこそ出さなかったが、手先が冷たくなり頭が回らない。心の中がぐちゃぐちゃになっていました。

 誰かに相談しようにも、プライベートなことなので誰彼に話すこともできません。マチルダは、子育てに忙しそうで煩わせたくないと思って相談できなかったのでした。

 あれほど毎日の様に話しをして、抱き合い、キスをしていた二人だったのに、彼のことが全く分からなくなっていきました。

 前伯爵家夫妻にアデマールが忙しそうにしていて、家を空けることが増えました。私に出来ることがあれば手伝いたいと相談しました。

夫妻もアデマールが何をしているのか知らなかったようで、寝耳に水だったようでした。

 前伯爵家夫妻がアデマールに何がそんなに忙しいのかと聞いてくれようです。

アデマールが久しぶりに帰ってきて、私に冷たい視線を向けたのです。「何故相談もなく両親に私が帰らないと話した?落ち着いたら話をすると言っただろう。手紙にも書いたはずだが」と強い口調で詰め寄ってきました。

 私は「相談せずに義理両親に話したことは謝ります。ただ、お手伝いすることがあればしたいという思いからだったのです」そう説明をしました。

 アデマールは、大きく溜息をついてから「手伝いたいねっ、はっきり言う、君に出来ることなど何もない。私の邪魔をしないでくれ。」冷たく突き放すような態度と言葉に、私の気持ちが萎れていくのでした。

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