第二章 侍女の恋シリーズ
あらすじ
第二章にはいりました。
周囲の人々から優しく時に厳しく、時に生暖かい目で見守られながら、王妃のエルが国王ケレとゆっくりと愛を育んでいきます。
愛されてこなかった王妃エルが、愛されることの幸せと喜びを知っていくお話です。
カリーナがラウルと婚約をした。
毎日楽しそうにしているカリーナを見ていると、こちらも幸せな気持ちになる。
エヴァがカリーナに幸せオーラ全開してますねと揶揄っていた。それさえも、そう見える?と嬉しそうに返事をしているカリーナに他の侍女が、お手上げポーズをしている。
マチルダの取り計らいで、二人は、仕事の時間をズラしている。二人が同じ職場にいると、本人達も周囲も気を遣ってしまうからということのようだ。
私の名前は、カリーナ
スワツール国の王妃付き侍女をしている。
王妃様のエル様は、美しい容姿の女性だ。こんなに整った顔立ちの人は、スワツール国王以外で初めて見た。ご本人は人の容姿の良し悪しが分からないと言って、自身を気にかける事がない。
おかげで、こちらは好き放題に着飾らせることができる。ご褒美三昧で嬉しい。
男装の時には、エル様の透き通る青い瞳に見つめられるとドキドキしてしまうほどだ。
美しく頭脳明晰、他国語も6カ国語は話せる。
そして、気さくで優しく思いやりに満ち溢れている。
侍女一同、エル王妃が大好きだ。
そんなエル王妃は、人の感情の機微には敏感だが、自分のことには全く無頓着だ。
エル王妃は、私達の手を煩わせる事がない。基本的には自分の事は自分がやるという方だ。
何か起こっても落ち着いて対応されるし、怒るということがない。
最近は国王のご寵愛が凄まじくて、時々気恥ずかしそうにされたり、嬉しそうにされている。とても可愛いと思ってしまう。
私が悩んでいる時もいち早く気がついてくれた。
無理やりに何かを聞き出そうとするのではなく、見守ってくれる。だから、こちらも相談してもいいのかと思ってしまう。年下なのに安心感がある不思議な方だ。
兄が騎士を辞めると言って家族を驚かせた時も、誰よりも兄の話を聞いてくれた。そして、兄が尊敬していると言っていたアウグスリンデ国のラウル様を呼んでくれた。
あんなに頑なだった兄をどんな言葉で説き伏せたのかと思う。兄とラウル様、二人の秘密らしい。
そして、エル王妃の側で一緒に働く時間が過ぎていった。兄から誘われてラウル様が自宅を訪問された。ラウル様の実家は、ラウル様にとって居心地が良い場所ではなかったらしい。
我が家の賑やかさや温かさや和やかさを癒される落ち着く場所だと言ってくれた。
言葉遣いや物腰が柔らかくて礼儀正しい。とても感じの良い人ねと父も母も気に入って、兄が帰るよりラウル様が来てくれてることを喜んでいた。
父はチェスが強いラウル様に何度も挑戦を申し込み、兄からいい加減にしろと注意されていた。
我が家に馴染んでいく姿が自然で、誰にも平等に接して気配りできるラウル様に、私が心惹かれるまでに時間がかからなかった。
兄からラウルが好きなのかと聞かれて、はい、その通りですと即答した私に、笑いながら力になると言ってくれた。
王室近衛兵は、ご令嬢やご婦人方をはじめ老若男女に人気がある。誠実で礼儀正しく優しい。そして見目が良い。特にエル王妃様の護衛騎士は人気が高い。
ふとしたことに気がついて優しい言葉をかけてくれたり、もれなくお礼を言ったり、危ない場所では手を貸してくれる、そんなことができるエル王妃は人気がある。それを間近に見て、同じ様に実行している護衛騎士の人気が出るのは当然かもしれない。
つまずいた人には手を差し伸べる、重そうな荷物は抱えてくれる、動きに無駄がなく洗練された動作で、優しく大丈夫ですか?お手伝いいたしましょうと言われて気分よく絆されていくのだった。
ディル様やファビ様、ライ様も人気がある。3人は地位も高いし美形だしお金もあるし出世もしていくことだろう。悪い条件が見当たらない。そんなお三方も釣書が山のように届いているらしい。
エル王妃の執務室や私室に来ては愚痴を言って、エル王妃に宥められている。三人様はエル王妃を同僚と思っている節がある。エル王妃も三人様には同じような気持ちなのか、四人でいる時は同志の集い、または親友の集まりみたいになっている。
そんなお三人様より人気があるのではないかと思うほど、王室近衛兵の人気がある。
兄がラウル様に何を言ったのか分からないが、ラウル様が私の家に来た時に「カリーナさん、私のような者がお付き合いを申し込むのは烏滸がましいことと思いますが、いつも明るくて笑顔の素敵なカリーナさんと結婚を前提にお付き合いをお願いしたいと思います。」と言ってくれた。よろしくお願いしますと差し出された手に手を重ねた。
家族中が大喜びだった。ラウル様の告白は家族全員に聞かれていたのだった。兄のお陰ではあるが、この大事な場面を家族中に見られていたのかと思うと、腹立たしいやら恥ずかしいやら。
ラウル様は笑って、ご家族にも喜んでもらえて嬉しいです。家族って温かくて、こんな穏やかな幸せな気持ちになるんですねと言ったら、母が泣きながら、これから私のことは、お母さんと呼んでくださいと言って、兄から気が早いだろうと突っ込まれていた。父からも、もうお父さんでいいですよと言われていた。
嬉しそうに和やかな顔で笑うラウル様が素敵すぎて、この人と幸せになろうと心に決めた。
家族が、早く婚約しないと結婚が遅くなるからと凄い速さで婚約が決まった。ラウル様のご家族にも知らせたが、出国した者に関わることはありません。婚約も結婚も本人の意思にまかせます。と返事が返ってきた。
こんな素敵な人のことが分からないなんて勿体ないと思うな。私にとっては有難い出会いで、素敵なご縁があってとても嬉しい。これから私や私の家族とラウル様が一緒に幸せになったらいいよねと言ったら、家族の者がラウル様にみんなで幸せになろう!と拳を突き上げたのだった。




