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愛を知る時 ~本当の王妃になるまでに見つけた愛に守られるまで~  作者: 与謝野竜胆


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第二章 諜報員

あらすじ

 突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話しです。


 第二章にはいりました。

 周囲の人々から優しく時に厳しく生暖かい目で見守られながら、王妃のエルが国王ケレとゆっくりと愛を育んでいきます。

 愛されてこなかった王妃エルが、愛されることの幸せと喜びを知っていきます。

 国王に遮断魔法を使ってもよいか許可を得た。

外部に漏れることがないように念のためだ。国王が「便利なものだな」と小さく呟いた。

何から話そうかと思ったが、許可の必要なものから話すことにした。


 長兄からアウグスリンデ国に帰るように指示がでました。三男が帰還する際に共にアウグスリンデ国に向かおうと考えています。

国王の許可が出れば直ぐに向かいます。


 エル、国王と呼ぶのは意図してのことか?と国王に聞かれた。

 そうです。国王にも考えがあって現状維持を貫いておられると考えましたが、いかがですか?と聞いてみた。

 そうか、分かった。辛い思いをさせてばかりだな。と隣で肩を落とす国王に寄り添う。

 紺碧の瞳を覗きこんで話をする。

この度のことも含めて、この国が私にとってどれほど大事かということが分かりました。

だから、アウグスリンデ国に行きます。行って諜報活動してきます。この国を守るために。決意を伝えた。


 国王がそっと私を抱きしめて、噂を否定することは簡単だ。しかし、噂を否定してしまえば、次を仕掛けて来るだろう。次にどんな手を使ってくるのか予測できない。戦いを仕掛けられることは避けたい。この国は守られていた国だ。誰も本当の戦い方を知らない。

 エル、私はエルを優先することができない。私は、この国の王なんだ。国と民のことを一番に考えている。何よりも国と民を最優先にしなければならない。

守ることができなくてすまない。

そう言って私の肩に額をつけて謝るのだった。


 私は国王を抱きしめる。私が守ります。大切なこの国を。だからアウグスリンデ国に行ってきます。

私は国王の耳に囁く「ケレ、もう少し頑張って下さい。私がこの国に帰ってくるまで。」


 翌日、ナトと共にアウグスリンデ国に向けて出発した。

王宮で働く大半の者が、国王から愛されない王妃は泣きながら自国へ帰るようだと思ったことだろう。

そのように振舞って王宮を出立した。


 アウグスリンデ国に到着し、長兄に挨拶をした。

これから、よろしくお願いします。長兄は頷いた。

 私は3日間ナトのいる第二騎士団で訓練に入る。基礎訓練のやり直しを行うからだ。

猶予がないので、3日間でどうにか仕上げなければならない。

早朝から夜間までみっちりと訓練計画を入れ込んだ。

魔力を解放して訓練に挑む。スワルーツ国で鈍ってしまった身体を鍛え直した。

1日目はフラフラになった。2日目は筋肉痛との戦いだ。3日目は満足とはいかないが勘が戻ってきた。


 3日の訓練を終えて、長兄からの指示はベラティ国へ向かうことだった。

 長兄からは、ベラティ国は小さな島国なため諜報活動がやりにくい。身内で王宮内を固めているようだ。

エルにはニルマニ王女付の侍女の妹で行儀見習いという目的で潜入してもらう。準備はできている。

 ニルマニ王女がスワツール国で侍女を欲しているらしいので、その件を利用させてもらうことにした。そう説明があった。


 魔導具で認識阻害魔法を使ってベラティ国へ入国した。

 王宮に入ると女官長から侍女仲間を紹介された。

侍女になれるのは格式ある伯爵家以上の令嬢で、スワツール国に連れていった者以外に10人もいた。

私は、侯爵家の令嬢から指導を受けることになった。

 騎士団の訓練中にベラティ国の礼儀を本で学んでいたが、実技が通用するか不安があったが、特に指摘を受けることもなく侍女の業務を説明された。


 ベラティ国は裕福な国と聞いていたが、手入れが行き届いた広大な庭園、王宮内も大理石の床や高い天井にシャンデリアが輝いている。至る所に高級な調度品が配置されていた。

 第一王女が不在なため、私は第二王女付で侍女の業務を学ぶことになった。

 ベラティ国王には3人の王女と2人の王子がいる。ニルマニ王女が18歳で第二王女が17歳、第三王女が15歳、第一王子が20歳で第二王子が10歳だった。

 宰相は国王の4番目の弟で公爵家に婿入りしている。2番目と3番目の弟も公爵家を名乗り大臣を務めている。それ以外にも国王の叔父や従兄弟などが秘書官や文官などで働いている。


 第二王女はラリタ王女で、大人しい性格のようだ。本を読んでいることが多く、侍女に対しても余り要望を言ったりしない。

 第三王女はオシャ王女で、好奇心旺盛。流行りの物が大好きで、度々、同年代の令嬢を集めてはお茶会を開いている。


 潜入して1週間は殆ど収穫がなかった。

滅多に王女二人が一緒になることがないようだが、その日はお茶会の前にオシャ王女が、ラリタ王女の部屋を訪れた。

 オシャ王女が「今日、お茶会があるのだけれど、お茶を入れるのが上手な侍女がいるってホント?」と聞きにきたようだ。

 ラリタ王女は知らぬ存ぜぬを貫く。姉妹仲はあまり宜しくないようだった。

 オシャ王女はヒステリックに「ニルマニ姉さまなら、直ぐに侍女を貸してくれるわ。本当に意地悪よね。」と叫ぶ。そして、「そこの侍女、あなた付いてきなさい。」と私を指名した。

 ラリタ王女が「勝手に人の侍女に命令しないでくれる。意味のないお茶会に侍女は貸せないわ。お断りよ。」ピシャリと断った。

 この後押し問答が続くが、他の侍女が微動だにしないので通常のことなのだろう。

 オシャ王女が、あんたがスワツール国に行けばよかったのよ。なんでニルマニ姉さまが行かないと行けなかったの?ニルマニ姉さまはガーナム様と結婚するはずだったじゃない。あんたが行けばよかったのよ。ヒステリックに叫んだ。

 ラリタ王女が、怖い顔でそれ以上は口にしない方が身のためよと嗜めた。

 オシャ王女は、もういいと足を踏みならしながら去っていった。

 ラリタ王女が私達に向けて、今の話は忘れないさい、いいわねと暗に口外しないように釘を刺した。

 

 ガーナム様とは、アークレイリ国の王太子ではなかったかと思う。

そうであれば、今回のニルマニ王女の件はベラティ国の後にアークレイリ国がいて陰で糸を引いているということか。

 ニルマニ王女のお腹の中の子供の父親は、アークレイリ国王太子なのだろか?

 森の主のこととも関係があるのだろうか?


 急ぎ、アークレイリ国に行った方がいいのか?

私は長兄に伝書魔法鳥で情報を送り指示を待った。










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