第一章 生い立ち
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この作品には 〔15歳未満の方の閲覧にふさわしくない表現〕が含まれています。性的描写や暴力的な描写が含まれています。
苦手な方はご注意ください。
私の祖母は町や村を渡り歩く商会の娘で、祖父と出会い結婚をして小さな街で生活を始めた。2人の子供を授かり家族4人で幸せな生活を送っていた。2人の子供は、上が私の母で2歳違いの弟がいた。母が5歳の時に先先代の国王が視察に来た際に祖母を見初めたようで、無理やりに祖母と母は王宮へ連れ去られた。そして、祖母は先先代国王のお世話をすることになり、後宮に住むことになった。居心地は良くはなかったが、衣食住に困ることはなかった。残酷な仕打ちだが国王の命令に従うしかなく、心情は別にしても残された家族に被害が出ることはなかった。祖母は自分に似た娘、母のことを先先代国王から隠すように育てていた。力がなければ生きていくことが難しい世界で、明るく社交性のある祖母は、公爵家令嬢と仲良くなったことがきっかけで、祖母は徐々に人脈を拡げていくことができた。王太子も自分の父親の所行には憤っており、2人には何くれとなく目をかけてくれていた。
暫くは穏やかに月日が流れていったが、母が13歳の時にその姿を先先代国王に見つかってしまい、祖母が気がついた時には寝所に連れ込まれた後だった。どうにか助け出されたのは1週間後のことで、痩せ衰え虚な表情をした状態で発見された。たまたま隣国と交易の調印に皇帝の直筆が必要だったため、不在の時間を見計らって救出をされた。母は、突然大声で泣き叫んだり、酷く怯えてベッドから逃げ出そうとするため、城に置いておくのは良くないと担当ドクターが判断し、祖母と仲の良かった公爵家の令嬢が匿ってくれることになった。その頃は実務の殆どを王太子が行っており、王太子が妹のように可愛がっていた母に対しての先先代国王の暴挙が発端となり、王太子が即位とともにを先先代国王を療養地に幽閉した。
しかし、母は私を身籠り僅か14歳で私を出産した。若い出産であり、精神的なショックもあったためか出産後3日目にこの世を去った。母は、僅か3日間ではあったが私を慈しみ傍で見守ってくれた。祖母は、私のことを世間に知られることを恐れ、出産時期が同じ頃の残念ながら子供を亡くされた公爵家の実子として出生届が出された。
私は生後4日目に公爵家に入り、公爵家では男の子として育てられた。公爵家には既に男の子が3人いたため将来を考えて祖母が助言したらしい。そして、時折祖母に会った際には、私の生育について事細かに指示があった。公爵夫妻を父母と呼ぶことは禁止された。兄弟間も名前で呼び合うようにしていた。幼いころから戦術を叩き込まれ魔物討伐があれば赴き、戦が始まれば相手国に給仕係として潜り込み諜報活動を行い、公爵家の長兄率いる戦略班に席を置き状況に合わせて遠征や出征した。
そして突然に説明もなく、隣国へ嫁ぐように王命が降り半年で王妃教育を叩き込まれた。それまで男として育った私が淑女として振る舞うには違和感が拭えないが、半年でどうにか形にはなったのだろか?今このような状況にいるわけなのだが。
訥々と語る私にドクターもナースもただ静かに耳を傾けて聴いてくれた。スワツール国に来てから私の話を始めて聴いてくれた人たちだった。ナース3人は代わる代わる動けない私のお世話をしてくれた。「負担に感じることはありません。病気の方の看護をさせていただいているのです。」とことある毎に優しく声をかけてくれた。「日頃使われていた言葉で話されていいですよ、私たちは一人の人間を知って、受け止め、看護するのです。」なかなかベッドから起き上がれない私にドクターもナースも献身的に尽くしてくれた。




