第一章 公爵家の人
あらすじ
突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話
前半は恋愛観はほとんどありません。後半からです。
公爵家の人々がアルドアルの街に到着した。
東のヴィルド公爵は、奥様と娘さん二人と息子さんを一人、南のクライスト公爵は、奥様と息子さん一人と娘さん一人、北のツェラー公爵は、奥様と息子さん三人 みなさん、ご家族と一緒に来られた。
駅舎からジスルリッタワーソル迎賓館までは馬車で移動する。馬車も貴賓の方用に新しく3台準備した。迎賓館に到着すると、使用人一同が玄関前でお迎えした。鉄道の旅は5日間、子供たちは初めて見る世界に興味津々のようで元気だが、大人たちは疲れが見える。各お部屋に案内するように指示を出す。
今回の3組は迎賓館の中でも貴賓室と特別室に次いで豪華な部屋で第一客室を準備した。天井は高く、大きな窓からは雄大な景色が見える。デッキテラスがあり、温泉を引いた浴室は3室で内に2室、外に1室、それぞれに泉質が異なる。寝室に書斎、応接室とリビングにキッチンと多目的室もあり、広くて快適な空間が作られている。
夕食までの時間を自室でくつろいでもらう。キッチンではメイドが、アフタヌーンティーの準備を行う。厨房で準備しいた焼き菓子を適温に温めたり、好みの飲み物を用意する。子供たちはそれぞれに温泉に入ったり、多目的室で遊んだりしている。子供たちにの年齢は6歳から15さいと幅がある。6歳から10歳までは、部屋付きメイドとは別に子供の対応ができるメイドを配置した。明日からの視察に備えて、もし子供が参加できない場所があれば子供付きメイドが一緒に行動するためだ。
どの部屋もくつろいでいる様子だと報告があった。厨房は夕食の準備で立て込んでいる様子だが、皆が落ち着いて行動できている。ニールスとケビンが的確な指示を出している。最初は、言い争いばかりしていた二人だったが、料理を作る情熱は一緒なんだから、喧嘩をしたり言い争いをしても、仕事が済んだら1杯のお茶をのむ。その時に必ず1品交互に何かを準備する。お茶を1口飲んだら。まず謝る。という取り決めをしたそうだ。二人が、案外小さいことに拘って、大きな目的を忘れていることが多いから、素直に頭が下げられるようになった。と笑っていた。
夕食は一堂に会した。明日は、夕方に国王が到着する。それまでの予定を確認した。
南のクライスト公爵の領地は、農業王国と言われるほど農業が大規模に行われている。農業資源が豊富でその技術や生産量でも有名である。クライスト公爵は、アルドアルの農業研究所を見学したいと希望。
北のツェラー公爵は、北の領地は寒い場所なので、温熱を使った施設見学は領民が喜ぶようなアイデアや意見がもらえるかもしれないから、病院施設見学と鴻臚館の建設現場の見学を要望。
東のヴィルド公爵は、子供たちのことを考えて、のんびり過ごさてもらいたい。綺麗な湖があるが、ボートなどに乗って子供たちが水遊びできるだろうか?と聞かれた。湖の活用を考えていなかったので、館長のハインリッヒと相談してお知らせすることにした。朝はゆっくりするから慌てなくてもいいと気を使われた。
翌日は、クライスト公爵のご家族とライがデーメーテール(アルドアルの農業研究所)を訪れた。最近ライがアドルフと頻繁に連絡を取っているようだった。本日の訪問もアルドアルがとても喜んでいたと嬉しそうに話していた。クライスト公爵は公爵自身が研究室を持つほどに農業への関心が高い方で、いくつもの論文を出されているそうだ。
ツェラー公爵一家と一緒に、病院見学と鴻臚館の現場にはファビが付き添った。施設の地盤調査や法規制についてファビが説明をする必要があるかもしれないと考えたからだ。病院建設の時はファビからの意見も多く法規制スレスレだと言われたこともあるくらいのファビの知識が役に立つだろうと思う。
ヴィルド公爵の提案は、ハインリッヒが「計画していたことがあった、相談しようと思っていたところだった」と言って丁度良かったですと言われた。アルドアルにも子供たちが増えて、迎賓館の周辺に遊びに来る家族も増えていた。その中には、砂地のところで寛ぐ家族もいれば、ピクニックをする家族もいる。ボートがあれば貸してほしいと言ってきた家族もいた。綺麗な湖なので、ボートはどうなのかと悩みましたが、景観を損ねるような乗り物でなければどうですか?今日直ぐにボートの搬入は無理ですが、問い合わせはしていたので、乗り物を見て良ければボートを浮かべてみませんか?と提案された。
ヴィルド公爵のご一家には、砂地のところは浅瀬になっているので泳いだりできますし、ピクニックとバーベキューで楽しんでもらおうと思います。ヴィルド公爵の子供さんに付いているメイドから提案されましたので、対応はお任せくださいと申し出があったのでお任せすることにした。
ファビとボートを見に行くことにした。ファビは今回、統括責任者を務めてもらっていたので、何かあれば急行しないといけないため迎賓館で仕事をするようにしていた。ファビも湖をこのままというのは勿体ないと考えていたらしく、二つ返事で承諾してくれた。
海がないこのアルドアルに舟を作る大工さんがいるのかと思っていたが、アルドアルの家を建てるのに借りだされた船大工さんで、ハインリッヒから随分前に相談されて作ることは作ってみたが、その後連絡がなかったからどうしようかと思っていたところだったと言われた。
見せてもらったのは、日差しが防げるように帆が張ってあり、大人なら4人くらいは乗れそうな手漕ぎの木製ボートだった。
船大工さんの名前はボビーさんという60歳の職人さんだ。舟も作れば家も建てるんですか?と問えば、友達の大工が家を作るのに人手が足りないから手伝って欲しいというから手伝っていたら、いつの間にかしょっちゅう呼ばれるようになって、家は息子も孫も船大工だから問題ないが、ここもそいつから、とにかく来てくれ、家を建ててくれって頼まれたんだ。自分は舟を作るほうが好きだが頼まれたら断れないしな。という経緯だったらしい。
ボートは湖に浮かべてみたいが、どうやったら運べるのか?ボビーさんが、丸太の上を転がしたらいい、今から友達に話して大工仲間に来てもらおうといって直ぐにうごいてくれた。地面に丸太を並べてその上に舟を置いて転がすと、スルスルと舟が進んだ。人の力に頼って今回は湖まで舟を運んでもらった。
湖は駅舎がある街中より少し高台にあるので、引っ張る動力があれば馬車に乗らなくても迎賓館に行くことができる。ただ、動力をどうするか?せっかく丸太が並べてあるこの機会を逃したくなかった。アルドアルの電力はクラエイヤ火山を利用した地熱発電なので電気はある。頑丈なロープとそのロープを巻く機械があればいいが、ディルに相談すると「一度に沢山の人や荷物を運ぶならそのほうがいいな。電気関係に詳しい職人に依頼しよう」といって手配していた。ボビーさんには丸太の上に置く荷台のような乗り物を作ってもらうことにした。
舟を湖に浮かべると、周囲の景色の影響もあり幻想的に見えてヴィルド公爵の子供さんが興奮していた。明日は乗れると話すとすごく喜んでくれた。ボビーさんには仕事を増やしてしまうが、もう3隻欲しいと依頼した。ボビーさんは、自分は、舟を作るから丸太は友人に頼もうと段取りを付けてくれた。急ぐなら息子たちも協力させようと連絡をしてくれた。




