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第一章 再びアルドアルへ(2編)

あらすじ

 突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話


前半は恋愛観はほとんどありません。後半からです。



 マルティンとアンゼリカに鴻臚館の建設をお願いできないだろうかと手紙を送った。2人はお互いに連絡を取り合っているようで、マルティンから、自分は自国に帰って仕事を請け負ってしまったが、息子に任せてアルドアルに向かう。アンゼリカは、バカンスを楽しんでいるはずだから遅れて到着すると思う。と返事がきた。


 農場に行ってみると、驚くほどに様変わりしていた。柵で囲われた草地には牛と馬が放たれており、屋根の色が違う建物は、牛舎と厩舎だろか。ミッケルさんがアナベル、アンソニー、マイアに何か指示をしているようで3人がバタバタと走り回っている。

 ふかふかの黒土側に目を向ければ、麦わら帽子を被ったアドルフとブルーノ、レイラ、クララが非常に綺麗に整理された畝の中で作業をしている。


 ミッケルさんに声をかけると、「エルさん、何時こちらに来られたんですか?」「こんないい土地を教えてもらった。ありがとう、ありがとう。この歳で若者と一緒に、これほどやり甲斐のある仕事ができるなんて、幸せでしかないよ。」よく陽に焼けた顔を満面の笑みにかえて、私にお礼の言葉を話すミッケルさん。

 アナベルが来て、「お久しぶりです、随分変わったでしょう、ミッケルさん達のお陰です。研究室は、私もなんですが、皆さんそれぞれに拘りがあるので半分しかできていませんが、日常生活はここでできるようになりました。行き帰りの馬に乗らなくてすみます。時間がもったいないですもん。」「湧水も豊富にあって温泉もあるから、どんなに汚れても疲れても苦にならないです。ありがとうございます。」とお礼を言われる。 

 アナベルは、アドルフのところに連れて行ってくれて「何か言わないといけなかったんじゃないですか」とアドルフを促す。アドルフが、「非常に良い土に巡り会えた、奇跡のようだ。これからどんどん研究して貴方の役に立つだろう。」と言うと、アナベルが「彼なりの感謝の言葉なんです。」と補足してくれた。

 そして、アナベルが「私達、王宮で研究してましたが研究室の中にいるだけでは、何も分かっていなかったんだと思います。机の上のことは、机の上でしかなかったんです。根拠に基づく経験ができる環境を提供していただき、ありがとうございます。ミッケルさんの豊富な知識を吸収できて、今も学びの途中です。出会いに感謝です。」アナベルがキラキラとした笑顔で笑った。どうしたらこんなに喜びを表現できるんだろうか。私も学びの途中だから、これから分かっていくのかもしれない。


 アナベルから報告があると言うので、見学を兼ねて研究室に併設されている宿泊施設を訪れた。アナベルが案内をしてくれた。「この土地の名前は、『デーメーテール』といいます。豊穣の神様の名前をいただきました。」「個人の部屋にはそれぞれにキッチンと温泉が引いてあるお風呂やトイレが完備されています。寝室とは別に書斎もあります。部屋にキッチンがあるんですが、みんな食堂に集まるんですよね。お料理が美味しいのもあるんですが、仲間っていうんですかね、同じ目標に向かって進んでいるから自然と集まって話しをするんです。」

 「食事はミッケルさんのお弟子さんで料理上手のステファニーさんが作ってくれるんです。ミッケルさんが、食べたくない時もあるし、1人になりたい時もあるから部屋にキッチンと浴室は作りなさいと言ってくれたんです。みんなに提案してくれたから、1人になる時もみんな気が付かないフリをしてくれるし、こんな環境は王都にはなったです。」

 「アドルフにも大きな変化があったんです。アドルフは王宮の研究室にいる時は、いつも不機嫌で眉間にシワをよせて滅多に喋らなかったんです。でも、ここに来てからミッケルさんによく相談してたんです。ミッケルさんがアドルフさんは耕地のことに造詣が深い。自分は酪農ばかりやってきたから、畑のことは畑の主に聞いた方がいいだろう。と言って親友のジョルジュさんを呼び寄せてくれたんです。そしたら、アドルフがジョルジュさんを師匠と呼ぶようになって、褒められると本当に嬉しそうにしてるんです。あんなアドルフ見たことなかったから、みんなも驚いてるんですけど、みんな嬉しい気持ちが強いんです。アドルフは、知識もあって努力家だけど不器用だから王都の生活は向いてなかったんです。

 王都の研究室に報告書と此処での快適な生活環境を知らせたら、此方に来たいと希望者が殺到して局長が困っているんです。私達は、初めから此処に来ることができて幸せ者なんです。

 ミッケルさんが、エルさんが研究室と宿舎はお金がかかっても快適な環境を作って下さいとお願いされたと言われてました。申し訳ないけど、有り難いです。」アナベルの思いやりにあふれた言葉やみんなの仲間への気遣いを聞いて、この場所がもっと素敵な場所になっていくんだろうと感じた。

 私はアナベルに「アナベルさん、アルドアルの街を特産品でいっぱいの街にしていきましょう。あなた方の力を貸して下さい。ここ以外にも、これからもっと他の地で開拓地が広がっていくと思います。この土地がモデルになるように頑張りましょう。」と頭を下げると「一緒に頑張らせてください。」と心強い返事が返ってきた。


 手紙を出して数日後にマルティンが来てくれたので、鴻臚館を作りたいと相談した。アンゼリカが到着するまで時間があるなら職員用の宿泊施設を先に作ってほしいと依頼した。

 家族と移住してきた人は、技術者や作業員さんが住んでいた一軒家を利用して住むことが多いけど、独身者は駅舎の宿泊所を使用してる人が多い。これからどんどん忙しくなるから、効率を考えて職員用宿泊施設を建てたいと説明した。マルティンは、やり甲斐があるねぇとニンマリと笑いながら承諾してくれた。

 鴻臚館の建設場所が決定したら、直ぐに職員用宿泊施設を建設することになった。マルティンは自国から沢山の作業員を呼んでくれた。「急いでるんだろ、まかせときなよ」と心強い言葉をもらった。マルティンには会う度に助けてもらって、元気と力ももらう。太陽のような人だと思う。


 王都からの視察について連絡があり、初めの訪問は公爵家からにしてほしいと、クライスト公爵(国王ケレの兄)から指示があったようだ。公爵家当主が今なら王都にいるから、そのままアルドアルに来たいらしい。ファビの実家のギュルゲ公爵は、自分達の別荘に来るから視察は不参加。他三公爵が家族を伴い視察にくるということのようだとディルが打ち合わせ会で報告してくれた。

 バトラーとメイドについては、オーレンスト国の外交官の対応をしてくれた人たちが、ジスルリッタワーソル迎賓館でバトラーやメイドが再びできるなら、是非希望しますと言ってくれた。更に友人知人も誘ってくれたので早い段階で面接ができると思う。かなりの希望者がいて、たくさんの身上書が届いている。

 コックのニールスも無事にアルドアルに転居ができることになり、こちらに向けて出発したと連絡があった。ジスルリッタワーソル迎賓館での仕事のことを同僚に話したら、いい職場なんだな、一緒に働かせてもらえないかとお願いされたそうで、連れてきてもいいのだろうかと問い合わせがきた。書類選考と面接をさせてもらってからでよいなら是非にとお願いしたいと返信した。

 

 アルドアルに来てくれた人たちが、アルドアルを好きになってくれて協力したいと申し出てくれる。そして新たな縁を結んでくれる。

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