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第一章 会議と王妃の発言と侯爵家の厨房

あらすじ

 突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話


 前半は恋愛観はほとんどありません。後半からです。



 この際に重鎮の方々の顔と名前を覚えてしまおうとディルに名簿の一覧を準備してもらっていた。座る順番が変わることがあまりないからと席順にしておいてくれたようで、顔の分からない私は助かった。

 定刻になると宰相が挨拶をして会議が始まった。ファビの父親、ギュルゲ公爵家現当主が挙手をして、ゆったりとした口調で「国王の隣にいる人物についてどなたかご存じだろうか?私は存じ上げないのだが、宰相よ、ご説明願いたい。」と発言した。宰相は、会議室にいる面々の顔を見渡した後、国王に視線を向けた。

 国王が「王妃だが」と堂々としたよく通る声で全体に向けて発言した。「王妃…」と会議室が一瞬ざわついたが、日頃から場の空気を読むことに長けている方々は、直ぐに元の静謐な空間に戻した。

 宰相は再び皆に視線を向け「本日の議題についてだが、良好な外交関係を構築していきたいと昨年度より対話と文化交流を展開しているオーレンスト国の国王から5日前に親書が届いた。今から手紙を代読する。」と言って手紙を読み上げた。

 

 拝啓

  時下、スワツール国におかれましてはますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

 この度の貴国訪問中の当国の外交官に対しての温かいおもてなしに心から感謝申し上げます。

 お忙しい中、各施設へ訪問させていただき親切で丁寧な説明と対応に加え、貴重な体験をさせていた

 だき、非常に有意義な時間を過ごさせていただきましたこと、誠にありがとうございました。

  当国職員の帰国後の報告にて興味深い内容がいくつもあり、是非ともアルドアルの街を見学させてい 

 ただきたく存じます。厚かましいお願いとは思いますが、お引き受けしていただきますようお願い申し

 上げます。

  引き続きご健勝をお祈り申し上げますとともに、近くお会いできるよう楽しみにしております。

  スワツール国のますますのご発展を心からお祈り申し上げます。

                      敬具

 「以上が、オーレンスト国王から親書である。国王夫妻と外務大臣夫妻が表敬訪問の意向であると連絡がきている。」と追加情報も宰相から発表された。


 大臣側から、「他国の国王が訪問するなら、こちら側も国王のスケジュール調整が必要だろ、業務に支障がでる可能性は?」「担当は誰にするのか?警備や安全対策はどうする?」「実質的な議論ができないなら等価交換にならないんじゃないか?」という否定的ともとれる意見がでた。

 クライスト公爵(国王ケレの兄)から「私自身は、アルドアルの街のことを知らない。ここにいる者の中でアルドアルを知っている者がどのくらいいるのかな?私たちは、オーレンスト国より先にアルドアルの街をについて知ることが必要と思うのだが?皆はどう思われる?」と問いかけがあった。

 確かに他国から訪問の希望がある街について、その国の要人が街の状況を知らないで済まされる問題ではない。クライスト公爵の発言で、アルドアルの街に視察に行くべきであるという流れになっていった。

 

 ディルが、先にオーレンスト国の外交官の視察について報告をさせてほしい、おそらくその視察が今回の親書へつながっているはずなのでと述べたところ、参加者が頷いて承諾の意思表示があったので宰相が「報告を行うように」とディルへ促しがあった。ディルは落ち着いて分かりやすく報告を行った。

 アルドアルの街についての報告は、この会議に参席されている方々は誰も知らない内容だったため、報告が進むにつれ、どんどんアルドアルの街の見学希望者が増えていき、こもままでは収拾がつかなくなりそうだった。報告が全て終わった後にディルが、「では次に、王妃から提言があります。王妃、お願いします。」と突然発言を求められた。

 

 会議の内容を聞いていて、私は私なりの見解を述べることにした。「アルドアルの街は、まだ開拓途中です。鉄道が開通し交通の便は良くなりました。駅舎やジスルリッタワーソル迎賓館はできていますが、大人数の見学者をお引き受けできるほど整ってはいません。そこで、お願いがあります。この会議に参席された方々の希望をお伺いいたします。日程調整させてください。但し、オーレンスト国の意向を優先いたしますので、ここにおられる方々には期限を設けさせていただきたいと思います。全ての方の意向に対応することはできかねると思います。ご了承ください。」とできるだけ柔らかな口調で述べた。

 ファビから「会議の後に私、ギュルゲ公爵家ファビアーノとベーレンス侯爵家ライモンドが希望調査に参ります。何方もお忙しい身ですので、秘書官や執事を通して連絡させていただきます。」と言ってくれた。大臣たちは、まだまだ質問したと思っている様子だったが、国王から「この度、アルドアルの開拓に尽力してくれた4名は、オーレンスト国外交官の訪問の際に相応の対応が行えており、満足のいく結果をもたらしてくれた。大臣や4公爵を含め会議に参席している皆は、この件についてまだ協議したいこともあると思う。だが、それについてはアルドアルの視察を終えてからにする。」との発言があり、宰相が終了の挨拶をしたので会議が終わった。

 ギュルゲ公爵閣下には、アルドアルの街の開拓の際に使用人の方々に手厚い支援と最大限の協力をしていただいたことに、心から感謝していると伝えた。ギュルゲ公爵閣下は、「ファビが迷惑をかけなかっただろうか、王妃のことはファビから聞いている。うちは、アルドアルに別荘ができた様だから自由に行ったり来たりしてもいいのかな」と片方の口角を上げて、ニヤリと笑た後に「何かあれば相談しなさい。協力は惜しまないから。」と穏やかな表情で言葉をかけてくれた。


 会議の後に私の部屋で評価会を行った。王宮では厨房が使えないので私の部屋にある簡易キッチンでチーズやナッツやハーブを入れた甘くないクッキーとスコーンを作った。「甘くないクッキーがあるんだな、ブラックペッパーがいいアクセントになっている。」「ナッツのザクザク感がいいね、ハーブの爽やかさと塩味がいい。」といいながら、すごい勢いで3人が食べている。

 ディルに私を発言させたのはディルの考えなのか聞くと、「国王がエルに発言させる場面を設定するように指示が出ていたんだが、あれは丁度よかっただろ。」「あそこにいて勝手なことを言っていた人たちは自分では動かずに、知らないことがあると報告が足りないとか言ってくる。厄介な人たちだ。味方につけると強力な援軍なんだがなぁ」とディルが返事をした。ファビが「まぁ、概ね目標は達成できたんじゃないか?王妃のお披露目と王妃の功績が伝わったからな」と言った。

 これからファビとライが調整役をしてくれるが大変ではないかと問うと、父親を利用するから心配しなくてもいいと言ってくれた。お礼はブランデーケーキとブラックペッパー多めのチーズクッキーでとお願いされた。厨房が欲しいといったらディルが我が家の厨房を貸すから、いつ来てもいいと言ってくれた。


 ディルにオーレンスト国の特産品にお米からできたお酒がなかったか?あれば侯爵家に持って行ってほしいと頼んだ。翌日にディルが米からできた酒を持って帰っていると連絡がきたので、侯爵家の厨房にお邪魔した。侯爵家に到着すると酒蔵に案内された。どれ度も使っていいと言われたのであれこれと見て回った。オーレンスト国のお米から作ったお酒は厨房に持って行っていると言われた。ラム酒を見つけたので使わせてもらうことにした。厨房に向かうと料理長がいて見学させてほしいとお願いされた。見学なんてとんでもないので、手伝ってもらうことにした。ブランデーケーキは、ブランデーの代わりにラム酒を使ってもらうことにしたのでパウンドケーキを焼いてもらう。焼き上がりにラム酒をしっかりしみこませてもらう。ラム酒にジャムを混ぜてラム酒シロップも作って塗り込んでもらうようにした。

 私は米酒でゼリーを作ることにした。普通にゼリーを作るのだがお水の分量で米酒を入れる。お酒が好きなら多めに入れるし、香りだけなら少量でもいい。私が柑橘系の果物を準備していると侯爵家のコックさんがほかの果物もカットしましょうかと申し出てくれたので、リンゴや桃、ブドウも使わせてもらった。シンプルに何も入れない米酒ゼリーも作った。出来上がる頃にはファビとライも来ていた。

 ケレに各種類1つずつ持って帰ることにして、それ以外のお菓子を厨房の方々も一緒に試食会をした。先に米酒のゼリーから試食した。私はお酒を控えめに果物多めにしたゼリーにしたが、男性陣はお酒多めで作ったゼリーを食べ「お酒の甘みと深い旨味にゼリーの食感がたまらないですね。」「香りもいいしほんのりとした甘さ、暑い時期にぴったりです。」とコックさんからの高評価が嬉しかった。3人も「芳醇でコクがあるというか、それにゼリーのプルプルとした食感が合うんだな。甘すぎないのがいい。さっぱりとしていて食べやすい。」とご満悦だった。ラム酒のパウンドケーキはブランデーケーキを食べた3人は、ディルとファビはどちらかというとブランデーケーキ押しでライはどちらも大好きだということだった。侯爵家のコックさんからは、とても美味しい。坊ちゃんがブランデーケーキとおっしゃるならブランデーケーキも作って試食いたしましょう。といって、坊ちゃんと呼ぶなとディルからお叱りを受けていた。

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