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第一章 王都帰還

あらすじ

 突然、王命で隣国へ嫁ぐことになった第3王女が、自身の能力を活かしながら活動する中で、周囲の人々と心を交わし愛と幸せを知っていくお話


前半は恋愛観はほとんどありません。後半からです。



 私が、振り返り会で「お酒は飲んだことないが、ブランデーケーキは食べたことあるからお酒も飲めるだろう。」と話した時に3人がブランデーケーキを知らないということが分かった。スワツール国にどのような種類のお酒があるのか知らなかったが、ブランデーがないとは思わなかった。ブランズ社の担当者に手配を依頼したところ1週間もしない間に手に入れることができた。私は休憩時間で誰もいない迎賓館の厨房を訪れシンプルなパウンドケーキとドライフルーツ入りパウンドケーキを作った。焼き上がったパウンドケーキとドライフルーツ入りパウンドケーキ其々にブランデーのみを隅々まで染み込ませたものとブランデーシロップを隅々まで染み込ませたものを作った。4種類できたケーキは少し時間をおいた方が美味しいが、ブランデーシロップのケーキは夕食後の振り返り会の時に出してもらうことにした。

 ニールスとケビンには、厨房を使わせてもらったお礼と味見を兼ねて、4種類を渡した。1週間後が食べ頃だと言って渡したが、好奇心に負けたようで夕食の片付けが終わった後に厨房の皆んなで試食会をしたようだった。

 ブランデーシロップケーキは、ケーキの甘さを控えめにしたからか3人の男性陣から大絶賛をもらった。明日も食べたいと勝手なことを言っていたので、1週間後が食べ頃だと言うと物凄く残念がった。翌日には、ニールスとケビンからレシピを教えて欲しいと懇願された。ブランデーを購入すれば良いだけなのでレシピを教えるというほど難しいことではないよ。焼き上がったケーキの全体に染み渡るように塗り込んで、しっかり冷めてからもう一度塗り込むようにしているんだと説明した。2人はアレンジしてもよいかと聞いてくるので、アウグスリンデではどこの家庭でも作っていたんじゃないかな、自由に試してみるといいんじゃないかと伝えた。

 迎賓館では、ブランデーケーキが一大ブームになった。ニールスとケビンが作ってくれたブランデーケーキを視察に協力してくれた各所にお礼の挨拶をして回った時に手土産で渡したが好まれたようで、後からたくさんお礼を言われた。


 流石に長く王都を空けたので報告をするために4人で一度戻ることにした。オーレンスト国からの連絡も王宮宛にしてもらった。アルドアルの視察が格別に良かったのか、オーレンスト国の外交官からお礼の手紙と一緒に沢山の特産品が届けられた。早く国同士の連携が進んでいくように精一杯の努力をしていると書いてあった。

 王宮に到着したが、生活した期間が短いからか懐かしいという感覚はなかった。4人で歩いていると3人に頭を下げた後に私を見て『あれは誰なんだ?』という表情をする人ばかりで、「みんなおんなじ反応するんだな」と4人で笑った。

 帰還の報告を行うために国王の執務室を訪れた。普段は国王の執務室で、国王の補佐を行っている宮中伯や秘書官、副官や侍従の姿がなかった。久しぶりにみるケレは、少し顔色が悪く、疲れているように見えた。ディルが無事に任務を遂行できたこと、オーレンスト国側が国交に積極的であることを報告した。国王から「ご苦労だった。今日はこのまま休んでくれ。」と労いの言葉がかけられた。皆が部屋から出ようとするので私も同じように行動するとディルから「エルはもう少し残れ」と言われた。ドアの前に立っているとケレが椅子から立ち上がりソファーまでエスコートしてくれた。

 隣に腰かけたケレは「時間がないな、あと5分で皆がここに集まってくる。今日は執務が滞っているから会うことができない。しっかり休むように。明日、皆と一緒に詳しい話をしよう。」と言われた。そして「少し抱きしめてもいいだろうか?」と」言われた。抱きしめられたことなどないので、どう返事を返したらいいのか分からず「ありがとうございます。どうぞ。」というと小さく笑われた。間違っていたようだ。ケレがフワッと私を抱きしめた。何と表現したらいいのか分からない感情というか感覚というか、「無事に帰ってきてくれて、ありがとう。」と囁かれた瞬間に安心と大事にされているのかもしれないという気持ちに心が浮き上がるような感覚になり「こちらこそ、どういたしまして。」と返事をしていた。また少し笑われてしまったので間違ったようだ。直ぐに離れてしまったが優しい表情で「よく頑張った、王妃として素晴らしい成果を出してくれた。感謝する。さあ、皆が帰ってくる前に部屋に行きなさい。」とドアまで付き添い見送りをしてくれた。


 私はその足でドクターバーナードの許を訪ねた。ポーションを作ろうと思ったからだ。アウグスリンデ国からポーション作成の器材は持ってきている。乾燥の薬草も何種類かあるが、乾燥したものは効果が薄くなったり、反対に強くなったりするので効果が安定しない。何より苦味が増すことも多い。できれば新鮮な薬草が欲しかった。

 ドクターバーナードは、満面の笑みで「元気そうで何よりだ、今日はなんだ?診察か?相談か?」と言われたので、薬草が欲しいがどうしたらいいかと聞いた。王宮には薬草園があるから案内しようと言って自ら薬草園へ連れて行ってくれた。疲労回復のポーションに必要な薬草を数種類分けてらうことができた。流石というべきか、ドクターバーナードは薬草を見ただけで「疲れているんだな。」と用途を即座に見抜いた。そして、「よく頑張ったもんな。」とねぎらいの言葉までかけてくれた。

 分けてもらえた貴重な薬草を自分の部屋に持ち帰り、器材を使用して薬草からエキスを抽出して魔力を注ぎポーションを作成した。薬草のエキスを抽出するので美味しいとは言えないが、効果が確実にあることは分かっている。ただ、いつのタイミングならケレにポーションを飲んでもらえるのかが分からなかった。

 国王の執務室前で、どうしたものかと悩んでいると部屋から秘書官が「少し休憩だ」と言いながら出てきた。隙かさずドアをノックして「エミルですが失礼してもよろしいでしょうか」と告げた。「入れ」と国王の返事があった。休憩中と言っていたからか部屋にはケレしかいなかった。私は急いで「疲労回復の薬です。先に私が毒見のために飲みますので、その後に飲んで下さい。」とポーションを半分ほどごくごくと飲んでケレに渡した。ケレは躊躇することなく残りのポーションを飲んだ。「疲労回復の薬か。そんなに疲れているように見えたか?」と聞かれた。私は頷いて「効果があるので安心してください。必要なら連絡してください。皆が来ると困るでしょうから行きます。」と執務室を急いで出た。

 そして深夜に近いころにケレが私の部屋を訪ねてきた。「あの疲労回復薬の効果は凄かったぞ、まだあるなら少しもらいたい」というので「ほんとは休養が一番なんですが、お薬はあくまでも補助です。」といって渡した。国を背負って働いている国王の忙しさは重々理解できるし、本来は王妃の仕事であろうことも担ってくれているだろうから、せめて回復薬で手助けできればと思ったのだった。


 翌日は午前中から会議があるので準備をするようにと早朝からディルが私の部屋にやってきた。元々起床時間は早かったのでディルが訪ねてきても困ることはなかった。身支度はアルドアルにいるときと同じにしていた。ディルから「国王に尋ねてくるが、会議に王妃として参画するなら服装はドレスになるかもしれない」と言われた。ドレスを着用する時間などがあるのか?と思ったが黙って指示に従うことにした。返事は直ぐにあり通常の服装で構わないということだった。言葉遣いも所作もいつものままの私でいいと指示があった。会議の前に4人で集まり情報共有を行った。「本日の会議内容はオーレンスト国王より親書が届いたらしく、その内容について協議するということだ。」とディルから情報がもたらされた。「もしかすると外交官が帰国する前に依頼された『国王夫妻と外務大臣夫妻をお招きいただけないか』ということなんじゃないか?」とライがディルに聞いた。「可能性は高いだろう。」とディルが返事をした。ファビが「我々は決定事項に従うだけだな」というので、みんなで頷きあった。

 会議は定刻通りに始まった。宰相が会議の進行役を務めた。大臣が全員と高官に公爵家、侯爵家の当主と多く関係者が一堂に会していて会議室は異様な雰囲気にだった。私を見て国王は、自分の隣に座るように指示があったので指示の通りに静かに腰を下ろした。

 

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