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2 挑戦

 フェリアシルは自分に程良く酔いが回ってきたのを感じると、口に含む酒のペースを落としながら、リリスの動きを目の端に入れては外していた。当のリリスは、ものすごいペースで決して狭いとは言い切れない店内を所狭しと走り回っている。


「……人気、あるわね」

「ああ、人気者だよ、リリスは。あの事件の後からは、特にね」


 独り言に返ってきた答えにフェリアシルは声の主を確認せずに頷く。


「そんな看板娘を私たちが貰って、本当にいいんですか?」

「この星には、リョウの坊やの思い出が多過ぎる」

「それは地球にいても一緒です」

「フォボスにいるよりはマシ」


 視線すら交わさず、端的に問答を繰り返す。


「ここにいるほとんどの人間が、あれに乗っていたのが、リョウの坊やである事を知っている。正確には気付いている、だね」

「ミツムラの家には何の制裁も無かったんですか?」

「制裁も何も、あそこにいるのは、ただ死を待っている老人が一人。そんな人間を相手に喧嘩を売るバカもいないし、そんな事をして、怪我だけして痛い目に会いたいと思う人間もいない」


 そう言葉を交わしている間も、キリコは追加で注文を続けている。


「キリコぉ……。少し位は遠慮しなさいよ。しなくていいと言われて、本気でしない人、少ないわよ?」

「え? 遠慮なら、していますよ? それが証拠に、私、リリス・ペティオーネは五杯しか飲んでいません」


 平然とした顔で答えるキリコに、フェリアシルは、そうじゃない、と小さく呟く。


「リリス!」


 不意に大きな声が頭上から響き、フェリアシルは一瞬肩をすくめる。


「……何? まだ二時間くらいしか働いていないけど?」


 カウンターに戻ってきたリリスは、不思議そうに首を傾げる。


「あっちの席」


 指先だけで指示した先に、リリスはやはり視線のみを動かす。


「厄介な雰囲気だから、締め出してきな。それが終わったら、あがりでいい」

「……銃は、ダメよね?」


 物騒な言葉を交わす二人にフェリアシルは目を丸くする。


「抜いたらいい。抜かないのなら、素手で何とかしなさい」

「わかった。行ってくる」


 相変わらず明るい声を出すリリスに、フェリアシルは僅かに驚いた声を出す。


「……素手でって、大丈夫なんですか?」

「大丈夫ですよ、あの程度」


 キリコから返ってきた答えにフェリアシルは再び驚きの声を出す。


「だって、リリスは近接戦闘が……」

「それ、HATでの話です。少なくとも、格闘戦でリリスに勝てる人間が、そんなに多くいるとは思いませんけど」


 答えながら、キリコはさらに追加で注文をする。


「火星支部だけでいいのでしたら、リリスは士官学校の格闘カリキュラムを次席で卒業しています。まぁ、主席の人にはかなり離されての次席ですけど」

「……なんで、HATになるとあそこまで弱くなるのよ、それ?」


 呆れた顔で言うフェリアシルに、キリコは出されたカクテルを口にしながら、ニッコリと笑う。


「前に同じ疑問を持って、聞いた事があります。答えは至って明解でした」

「何?」

「一瞬、銃での迎撃を考えてしまうから、僅かに反応が遅れる。その遅れが戦場で命取りになるのを知ったから、近接戦闘は捨てた。そう言っていました」


 キリコの手には、すでに何杯目になるのかわからないグラスが揺れている。


「そして、気付いたら第一遊撃艦隊に回されていた。そうも言っていましたけど」

「それ、名誉じゃないの?」

「……名誉なんかじゃないわよ。少なくとも、HAT乗りにとっては」


 フェリアシルは自分の頭上から聞こえた声に、慌てて視線を上に向ける。


「あ、母さん。とりあえず、追い出しといた。これで、あがりでいいんでしょ?」

「ああ、ご苦労さん。着替えてきな。じゃないと、いつまでも仕事をさせるよ」

「りょーかい!」


 明るく答えた瞬間、リリスは素早くフェリアシルの後頭部の更に後ろに左手を伸ばす。


「フェル! 危ない!」

「えっ!?」


 フェリアシルが驚きの声と共に後ろを振り向いた時、そこには真っ赤に染まったリリスの左手があった。


「リリス!?」

「ゴメン。少し油断した。あいつら、帰り際にナイフを投げてきた」


 笑みさえ浮かべ、リリスは店の入り口に視線を走らせる。既にそこに人影は無く、リリスが小さく舌打ちをする。


「ちょ……! そんな事より、あなた、その手!」


 滴り落ちる血の滴を気にする事無く、リリスは左手に刺さったナイフを引き抜き、素早くハンカチを巻きつける。


「フェル、大丈夫だった?」

「私の事より、リリスの事!」


 フェリアシルの抗議の声にリリスは再び笑みを浮かべる。


「この程度、大した事じゃないわ」

「その出血で、大した事無い訳、無いでしょう!?」


 大声をあげるフェリアシルに、リリスは平然とした顔を向ける。


「だって、私が反応していなかったら、フェルが確実に死んでいた。ナイフが後頭部に突き刺さってね。だから、私の左手一つであんたの命が拾えるのなら、私はそれでいい。それで安い買い物だと思う」


 明るい声で店の奥に姿を消すリリスに、フェリアシルは不安そうな視線でその背中を追いかけた。


「変わらないねぇ……」


 呆れた口調で口を開くリリスの母親に、フェリアシルとキリコは頷く。


「自分がどれだけ傷ついても、他人の命が守れればそれでいい。今のだって、叩き落とせばいい物を、わざわざ自分の左手を盾にした。親友に傷を一つ付けさせない為に。あの性格だけは、どうにか矯正して欲しいんだけどね」

「……わかっています。あれはもう、リリスの性格とかではなくて、本能とか反射行動に近いと思いますけど」

「でも、見ているこっちが少し気になります」


 キリコは同意を求める様にフェリアシルの方に視線を送り、無言の同意を確認する。


「勲章を一つ貰う度に酷くなっていきましたからね、あの行動」

「……勲章を貰う度?」


 キリコはフェリアシルの問いに頷くと、更にカクテルを注文する。


「え、と……」

「フェリアシルは勲章を幾つ貰っています?」


 何かを訊こうと口を開いた瞬間、キリコの方から声がかかる。


「え? 私が貰ったのは二個、だけど……」

「十字参謀勲章と聖堂参謀勲章でいいですか?」

「……そう、だけど……」


 貰った勲章の名前を当てられ、一瞬身体が引く。


「リリスが貰った勲章の数、知っています?」

「……知らない」


 まるで叱られた子供の様に小さくなるフェリアシルに、キリコは見とれる程に綺麗な微笑みを浮かべる。


「私が知っている限りで、十七個です。つまり、リリスが第一遊撃艦隊に来てから、十七個の勲章を貰っています」

「十七……!?」


 驚きを通り越した声に、キリコは指を折り始める。


「しかも、普通では考えられない程にレベルの高い勲章です。聖堂騎士勲章が三つ。赤枝撃墜王勲章が一つ。赤枝騎士勲章が四つ。円卓十二騎士勲章が三つで、獅子心王撃墜王勲章が……」

「ちょ……!」


 その数にフェリアシルの声が更に裏返る。


「普通なら少佐どころか、大佐該当官まで昇進していても構わない程、貰っていますよ」

「……ずいぶんと、私の嫌いな話をしてるじゃない?」


 奥から、更に冷めた声の主が現れる。


「貰った勲章の数なんて、数える物じゃないわよ。あれがどういう意味なのかを知っているのなら、なおさらね」


 リリスは静かにそう言うと、キリコと挟む様にフェリアシルの横に腰を下ろす。


「リリス・ペティオーネ、貰える? 母さん」

「はいよ」


 気軽に答える自分の母親に視線を僅かに走らせ、リリスはフェリアシルの方に顔を向けると、自分の指先をフェリアシルの胸元に当てる。


「フェルは、自分が手に入れたイレギュラーの意味を知っておくべきよ」

「イレギュラー……?」


 かけられた言葉にオウム返しに疑問形の声を上げる。


「そう。ノーマルでも、アブノーマルでも、そしてスペシャルでもない、イレギュラー」


 リリスはそう言うと、自分の前に出されたカクテルに口を付ける。


「フェルさぁ……」

「何?」

「第一遊撃艦隊のHATパイロットの勤務体制とか、どれくらいで入れ替わるとか、聞いた事ある?」


 その言葉にフェリアシルは宙を見上げ、何度か逡巡しては首を振り、リリスの方に顔を向ける。


「ゴメン、知らない」

「リリス、それは訊く事自体が間違っていますよ? 第一遊撃艦隊の勤務体制は全部が異常なんですから」


 キリコの声にリリスは、そうね、と言葉を返し、もう一度フェリアシルに視線を移す。


「通常、十二時間二交代制で常時第二種警戒態勢(イエロー)。通常の作戦行動でHATパイロットは大体二割が帰って来ない。もちろん、緊急発進もあるから、昨日まで私の隣にいた人間が今日はいない、そんな事は普通にあった。そんな過酷な場所だから、第一遊撃艦隊でのHAT編隊は最小単位の二機連携(エレメンツ)。前衛と後衛のみで構成されている」

「な……!?」


 フェリアシルの驚いた顔にリリスは静かに頷く。


「小隊編成の基本である四機(スクエア)じゃないのは、すぐに鬼籍に入る奴が多過ぎるから。そして新しく補充された奴の『クセ』がわからないから。だから最小単位の二機連携でしか構成されない」

「リリスの前衛も都合三人、替わりましたね」


 キリコがリリスの言葉に付け加える。


「そんな中で、私は二年以上生き残った。大体、パイロットで少佐以上になれる人が少ないのは、シリウス方面軍では第一遊撃艦隊を経由する事が多いのと、そこで戦死する奴が多いから」


 そこまで言うと、再び『リリス・ペティオーネ』を頼む。


「あと、追加で言うのでしたら、最前線で戦えるパイロットを上層部の殆どが消耗品としてしか見ていなかった、と言えますね」

「父さんは少し違った。あれは今考えると、私を酷使して、なるべく早く軍から出て行きたくなるように仕向けていたようにも思える。でも、その態度が嫌で、そしてリョウが好きだったから、私は軍に居続けて、生き残り続けてしまった」


 再び出されたカクテルを飲むと、リリスはキリコに視線を送る。


「キリコ……少し説明するけど、補足はお願いできる?」

「構いませんよ」


 キリコの同意を得て、リリスは僅かに視線を宙に浮かせ、もう一度フェリアシルに視線を移す。


「確か、フェルは士官学校全体で見ても、総合成績歴代一位で卒業よね? けど、それって、決して全ての教習課程で歴代一位と言う訳じゃないわね?」


 リリスの言葉にフェリアシルは頷く。


「じゃぁさ……。あんたが歴代一位を取れなかった教習課程と、そのタイトルホルダーの名前は言える?」

「まず、作戦立案教習。これは確か、ファウスト少将ね。で、格闘教習。これはリョウ・ミツムラ。射撃教習は……」


 一瞬だけ視線をリリスに向ける。


「それ、私ね。そこだけは絶対的に抜かされない自信あるから」

「あと、HAT操縦教習課程」

「それは出来て間もないから、はっきりとした統計はとれないけど、確か私でいい筈」


 リリスはそう言うと、続きを促す様に視線を送る。


「諜報教習も取れなかったわね。同期ではトップだったけど。後、最後に情報処理教習。これは同期では同率のトップだった。ラッセンがいたから。確か、情報処理に関しては私たちの前期の人が歴代最高成績だったと言う事は聞いていたけど……」

「で、その二つ、トップが誰だか知ってる?」


 リリスの問いにフェリアシルは首を横に振る。


「だって、その二つはトップシークレットだもの。情報がばれたら、その人に暗殺者が現れかねないから」


 その言葉にリリスは満足そうに頷く。


「まぁ、諜報に関して言うのなら、私も知らない。けど、情報処理に関しては私、知っているわよ」

「誰?」


 フェリアシルの言葉にリリスは指を立て始める。


「ヒントその一。その人は私が第一遊撃艦隊に転属された時には、すでに第一遊撃艦隊にいた。ヒントその二。その人はもちろんHAT管制オペレーター。最後のヒントはその人は第一遊撃艦隊にいた時の、私が受け取った勲章の数を殆ど正確に知っている」

「……キリコなの?」


 フェリアシルの視線の先には、すでにどれほど飲んだかわからないまでに酒が入りながら、それでも意識を平常に保っている女性がいる。


「え? でも、それっておかしくない? キリコはリリスと同期よね? 何で、リリスより先に第一遊撃艦隊に居るのよ?」

「そうね。キリコは私と同期。でも、私が転属された時、キリコはすでに少尉の階級を持っていた。私は准尉だったけど」

「あれ? だって、リリスだって第一遊撃艦隊に転属されたのって、士官学校卒業後一年半くらいだったわよね?」


 フェリアシルの問いにリリスは頷く。


「普通はあり得ないに近い話だけど、キリコは卒業と同時に第一遊撃艦隊に配属」

「ベテランが集まる、あの艦隊に、新人が放り込まれたの?」

「それだけ群を抜いて凄まじいのよ、キリコの情報処理能力は」


 そこまで言うとリリスは視線をキリコに向ける。


「情報処理教習課程で成績のいい人間が必ずと言っていい程、やらかす問題行動って、知ってる?」

「士官学校のホストコンピューターにハッキング。私もラッセンも試みた」


 フェリアシルが端的に答えると、リリスは頷く。


「で、その結果は?」

「二人とも失敗。挑戦する度にファイアーウォールが高くなっていて、とても追いつけなかったのが実情」


 その言葉にリリスは笑みを浮かべる。


「キリコは士官学校在学中に三十二回のハッキング挑戦をしている」

「は……?」


 間抜けた声がフェリアシルの口から洩れる。


「リリス。それ間違っています」

「あれ? キリコ、前にそう言ってなかったっけ?」


 疑問形の言葉にキリコは静かに頷く。


「試みた回数は三桁に到達しています。ただ、その中で侵入に成功した数が三十二回、と言う訳です」

「……士官学校って、四年制よね?」


 フェリアシルは自分の記憶を確認するように呟く。


「そう。で、キリコは三十二回のハッキングに成功している。つまり、平均的に見ても年間に八回のハッキングを成功している事になる」

「ホストコンピューターのシステムって、ハッキングされる度にファイアーウォールが高くなるはずよね?」


 キリコに視線を送りながら、フェリアシルはリリスの方に声をかける。


「はっきり言って、フェルやラッセンがハッキング出来なかった理由のほとんどが、キリコのせい。キリコが一人で無理やりファイアーウォールの高さを引き上げていたから」


 リリスはそう言うと、キリコに僅かに視線を流し、再びフェリアシルに戻す。


「だから、特例で卒業と同時に第一遊撃艦隊のHAT管制オペレーターに就任。任官時の階級も特例で少尉から。士官学校首席卒業者が中尉から始まる事を考えれば、どれだけ特別なのか、わかるでしょ?」

「引き上げてくれたのは、ファウスト少将ですけどね」


 キリコが補足する。


「それで、イレギュラー?」

「私はスペシャルですよ? リリスが言っているカテゴリから言えば。そしてフェリアシルやラッセンも他のユニコーンの主要メンバー全員もスペシャルです。ですが……」


 視線をリリスに向け、やんわりと笑みを浮かべる。


「これ以上は、せっかくのお酒がまずくなるので、別の話にしたいんですけど……」

「そうね。じゃぁ、最後にキリコ、質問していい?」


 リリスの言葉にキリコは頷く。


「私の『今』はどれくらい? 条件は……宇宙空間、アルテミスでサテライトイレイザーは無し。後は、私好みの機体セッティングで相手はフェル」

「地球連邦軍の正式採用兵装でいいですか?」


 キリコの問いにリリスが頷く。


「そうですねぇ……二……いえ多分、三くらいはいけると思います」

「何の話よ?」


 二人の会話について行けずにフェリアシルが不満そうに声を上げる。


「今、するわよ。フェル、地球に帰ったらシミュレーターで勝負しましょう? 私はアルテミスのデータを使う。あんたは基本的な地球連邦軍の三個艦隊でいいわ」

「はぁ!?」


 間の抜けた声を上げるフェリアシルにリリスは笑みを浮かべる。


「地球連邦軍に正式採用されているのなら、どのシステムや装備を使ってもいいわ。もちろん、HATも艦載して構わない。勝利条件はスーパーロングレンジからスタートで、私があんたの指揮する艦隊の指揮旗艦を落とすか、あんたが私のアルテミスを落とすか。私は情報処理にキリコを使わせて貰うけど、他の人員は全部フェルが使って構わない」

「リリス……もしかして、私に喧嘩を売っているの?」


 険しくなるフェリアシルの表情に、リリスはゆっくりと首を横に振る。


「それは無い。私が言いたい事はそれで全てわかるから。逆に言えば、それをする事でしか、私の言いたい事がわからない」

「……本当に、喧嘩は売っていないのね?」

「売っていませんよ。フェリアシルがどれだけの力量があるのかを把握してのセッティングですし、リリスの力量も計算しています。もしなんでしたら、リリスの装備も教えて構いません」


 キリコはそこまで言うと、フェリアシルの前にカクテルを差し出す。


「こっちも美味しいですよ? レヴェル・リミックスとかいう名前ですね」

「……それ、この店で一番、度のきついカクテル」


 リリスが呆れたようにキリコの顔を見る。


「そうみたいですね。全部飲んでみましたけど、とりあえず、リリス・ペティオーネが一番美味しいです。私のお気に入りにしておきます。次のお気に入りがレヴェル・リミックスです。あ、リリスはこの二つ、作れます?」

「材料さえあればね」


 リリスは苦笑しながらそう答えると、いまだに不機嫌そうな顔をしているフェリアシルの肩を軽く叩く。


「自分の手にしたイレギュラーの意味を知っておくべき、と言ったでしょう? 文字通りイレギュラーなんだけど、それはどこの星系国家に行っても数人は居るモノなのよ。気を悪くしたなら、先に謝っておく」

「……謝る必要はない。でも、リリスが私を過小評価しているんじゃないかって思えなくもない」


 呟きにも聞こえる言葉にリリスは静かに首を横に振る。


「過小評価なんかしていない。むしろ、過大評価の方かもしれない。でも、スペシャルはスペシャル。あんたは今まで私というイレギュラーを後ろから見ていた。それを目の前にした時、あんたが混乱しない為に必要な事を、今のうちにしておきたいだけ」

「……わかった。それじゃぁ、地球に帰ったら勝負ね」

「前に、あんたが私の殻を破ってくれたみたいに、今度は、私があんたの殻を破ってあげるわ。でもそれは『これから』必要になってくる事だから、誤解しないでね」


 笑みを浮かべる親友にリリスもまた微笑みを返した。


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