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青春っぽい感じ

利用規約

性別変更はダメですが、楓だけは男性役をやれるなら女性でも可です。

過度でなければアドリブ入れても大丈夫です。


演じる側と聴く側が楽しんでもらえたらそれが一番なので!


大樹(たいじゅ)

今作主人公、前の学校からバンドを始めた

授業の単位が取れる程度で学校に居ること自体が珍しい

陰でかなりファンが多いが本人は気づいておらず

恋愛に対してはかなり疎い


(かえで)

大樹の幼少期からの親友で幼馴染

女子からの人気が高いが付き合っても振られる事が多い

小学校からの幼馴染のコノハの事が好きだが

コノハが大樹の事を思っているので自分の気持ちを抑えている


(そら)

大樹の先輩、前の学校からの腐れ縁

元デブだが今ではムキムキマッチョ

彼女が一筋の脳筋バカ

普段から明るくふざけて居るのは理由がある


コノハ

大樹の二人目の幼なじみ、小学校から大樹と一緒に進学し続けている

小さい頃から大樹が好きだが、今の関係が壊れる事が怖く

一歩踏み出せずにいる


蘭花(らんか)

見た目は小学生に間違われるかもしれない位幼く見える

空の彼女

母親の再婚が飲み込めず、ほとんど家にも帰らず

空が好きだからこそ、自分の家族の事で心配させたくないと

自暴自棄となり、色々な男性と夜を共にしている



配役 ♂3:♀2


大樹♂

楓♂

空♂

コノハ♀

蘭花♀






本編



楓「よっ!大樹、おはよ~!」


大樹「ん?ああ、おはよ」


楓「相変わらず眠そうだね~、また夜更かししてたの?」


大樹「昨日はいつも見てる深夜のテレビがある日だったからなぁ…。

   ふぁ~~(アクビ)」


楓「あ~、なんだっけ?根暗がベース野郎だっけ?」


大樹「ちっげぇよ!【バンドやろうぜ!】な?」


楓「そうそう、それそれ

  僕も音楽は好きだけど、あれは何が面白いのか

  さっぱり分からないんだよね~

  聞く専門かな、僕は」


大樹「いや、普通に面白いだろ、勉強にもなるしさ

   お前も楽器やろうぜ?」


楓「いやいや、僕には無理無理

  大樹みたいに楽器抱えて寝たくないよ」


大樹「別に毎日抱えて寝ちゃいねぇよ!

   週3ぐらいの話だぞ?」


楓「それでも多いっての

  ったく、楽器始めてから大樹って変わったよね

  ただの根暗くんからバンドマンにジョブチェンしちゃってさ」


大樹「ジョブチェンって…、なんつーか、こう…

   前までは何やっても熱が入らなかったけど、

   やりたいモノがようやく見つかったって感じなんだよ」


楓「青春だねぇ~。

  青春といえばさ、大樹は彼女とか作らないの?」


大樹「いや俺、恋愛とか良く分からないし

   何すればいいとか分からん」


楓「おーおー、モテてる奴が良く言うねぇ~

  前に行った時も、ライブでキャーキャー言われてたじゃん」


大樹「別にモテてねぇし!アレはそういうノリだろ、ノリ!

   楓の方がいつも女の子とワイワイやってるじゃん」


楓「あ~……。あの子達は別にそういうのじゃないから

  僕は、今はまだそういうの求めてないんだよね」


大樹「ふーん、じゃあ俺もそういう事で」


楓「えー何言ってんのさ、大樹にはちゃんと居るでしょーが?」


大樹「ん?何が?」


楓「全く…、いい加減にしないと気付いた時には

  どっか飛んで行っちゃった後とかになっても知らないからね?」


大樹「だから、何がだよ…」


コノハ「おはよ~!オーキにカエちゃん」


大樹「だから俺は【オーキ】じゃなくて【タイジュ】だってーの!

   なんでわざわざ毎回一発目の挨拶それなんだよ」


コノハ「えー、別にいいじゃん~。

    大樹君?小さい事を気にする男はモテないぞ~?

    それに、誰か一人ぐらい変わった呼び方した方が何かいいじゃない?」


楓「おはよう、コノハちゃん

  今日も元気だね~。

  あ、ヘアゴム新しいのにしたの?似合ってるよそれ」


コノハ「カエちゃんはサラッとそういう事言っちゃうんだから

    そんなんだから女子から勘違いされるんだよ~?」


楓「ん~?特にそんな事ないと思うけどなぁ~

  ちゃんと言ってきてくれる人には、返事はするけど」


コノハ「難攻不落の美男子め…、女の子泣かせ続けたら駄目なんだぞ~」


楓「あはは、僕にもちゃんと考えはあるからね」


コノハ「ふーん、ところで二人はなんの話してたの?」


楓「あ~、大樹は彼女作らないのか~って話をしてたんだよ」


コノハ「へぇ…、それでそれで?」


楓「大樹のやつ、恋愛とか良く分からないからいらないんだってさ

  まだまだ、お子ちゃまな大樹君だよ」


大樹「うっせぇ!好きとか嫌いとかは解るけどさ

   付き合うとかって良くわからなんだよ

   何か変わるのか?それで」


楓「はいはい、そうですね~

  大樹君はまだまだ中身は少年だもんね~」


コノハ「ふーん、大樹とは小学校からずっと一緒だけど

    確かにそういうの見た事ないね

    誰かから告白されたりしたこと無いの?」


大樹「この顔がされた事あるやつの顔に見えるか?

   元根暗を好きになる奴なんて居ねぇだろ」


コノハ「どうだかなぁ~、たまに女子の中で話に上がってくるけどなぁ」


楓「大樹をチラ見してる女子はたまに見かけるよ?」


大樹「はぁ?んな冗談は寝てから言えよ

   つか、チラ見するぐらいなら話かけてくればいいじゃん」


楓「はぁ…。大樹、普段君がどんな空気出してるか解ってるの?」


大樹「ん?フレンドリーな仲良くしよーぜオーラ出してるだろ?」


コノハ「これは暫く話しかけられそうもないね」


楓「そうだね

  あ!今度、鏡でもプレゼントしようか?」


大樹「鏡?そんなの家にあるぞ?」


楓「いや、自分の事が良く見えるかなぁ~ってね」


コノハ「じゃあ私も贈るよ」


大樹「俺んちをミラーハウスにでもするつもりかお前らは…」


コノハ「そんなのになったら二度と家に遊び行かないからね

    あ、じゃあ私あっちだからまたね~!」


楓「うん、コノハちゃん、またね~」


大樹「眠ぃのに朝から騒がしいなぁ全く…」


楓「いい目覚ましになったでしょ?

  とりあえず今日は真面目に授業受けるんだよ?」


大樹「へぇ~へぇ~、わかりましたよ~」







コノハ「うわっ!大樹が最後まで学校に居るの久々に見た…」


楓「奇跡だよねぇ、まぁほとんど寝てたんだけどね(苦笑い)」


大樹「学校終わった瞬間にそれを言いに来たのかお前らは」


コノハ「そんなわけないでしょ

    一緒に帰ろって誘いに来たの!」


楓「いいね~、イツメンで帰ろう!

  って言っても大樹はいつもじゃないんだけどね」


大樹「うっせ

   まぁ今日はパスだ」


コノハ「えー、なんでよ~!」


大樹「昼休みに空に呼び出されたんだよ…

   今日は部活に出てこいよって

   はぁ…だりぃ…」


楓「普段も声かけに来てたけど、大樹が居なかったからねぇ…」


大樹「つーわけで、今日は俺部活出るから2人は先帰っていいぞ

   んじゃ行ってくるわ、お疲れ~」


コノハ「あ…ちょっと!

    もう…」


楓「ん~…、じゃあコノハちゃん帰ろっか」


コノハ「はぁ……。

    え…、あ~…ご、ごめんカエちゃん!私ちょっとクラスでやる事思い出したから

    カエちゃんは先帰ってて!」


楓「あ、うん解った、じゃあまた明日ね~!」


コノハ「一緒に帰ろうって言ったのにごめんね!

    また明日ね!」

楓「はぁ…。辛いポジションだよなぁ、僕って」







大樹「ちーっす…」


空「うりゃ!!!!(ラリアットをかます)」


大樹「ごふっ…」


空「おーまーえ!一体何日演劇部休んだと思ってんだよ、あぁん?!」


大樹「ってぇな、今月は……1、2、3回は来てると思うけど」


空「2回だ2回!!!

  しかも今学期入ってから2回だ!!!

  お前には部活動への愛が足りなさすぎる!!!!」


大樹「んな細かい事は良いじゃん

   空と俺の仲じゃん、気にすんなって」


空「中学からの腐れ縁な!つか空って言うな

  先輩には敬語を使えって何度言ったらわかるんだよ!

  ったく…あの頃のお前は可愛かったのによ~

  どうしてこんな風になっちまったんだか…」


大樹「どんまい、空」


空「お前の事だ!!!」


大樹「いてててて!!」


空「ったく、そんなんじゃ女の子にモテないぞ!」


大樹「今日はどうしたんだよ、どいつもこいつも…

   ってかお前だって元デブオタクじゃん

   痩せてモテたからってうっさいぞデブオ」


空「デブオって言うな!!!

  中学時代、同級生やお前からデブだなんだって滅茶苦茶に言われたから

  元はそうだったかもしれんが…!

  ジムへ通って……鍛えに鍛えて…!

  見よ!!今じゃ!!こんなに!!

  隆々としたナイスバディーに!!!」


大樹「はいはい、暑苦しい

   室温5℃は上がるから、そういうの勘弁しろよな」


空「お前もジム行こうぜジム!

  俺と一緒に熱い青春を築いて行こうぜ!」


大樹「いや、暑苦しいの嫌いだし

   お前と遊び以外で一緒に居るのめんどいから却下」


空「部活は遊びじゃねぇぞ!」


大樹「んじゃお疲れーっす!」


空「帰ろうとするんじゃねぇぇぇよぉおおおお!!!」


大樹「痛たたたたた!冗談じゃねぇかよ!!」


空「よし!じゃあ部活動するか!」


大樹「はいはい、んで今日は何するんだ?

   発声?それとも台本の読み合わせか?

   俺、大道具だから作るの有るんだったらそれやるけど」


空「ん?ああ、実は…な。

  今日は特になんもないから自由だ!!!」


大樹「は?」


空「直近にコンクールもなんもねぇから各自自由な日だ!」


大樹「じゃあ俺帰って良かったんじゃ…」


空「良いじゃねぇかよ、たまにしか居ないお前が居たんだから

  連れ出したくなったんだよ」


大樹「じゃあ何すんだ?」


空「そうだな~、ん~!!

  帰るか!」


大樹「結局かよ…

   んじゃ久々にお前んち行こうぜ」


空「ん?あ~良いけど彼女も一緒で構わないか?」


大樹「別に構わないけど、一体何人目の彼女だお前」


空「さぁ?3人目?」


大樹「マニアがそんなに居たのか…(ボソ)」


空「何か言ったか?」


大樹「いや、何も言ってねぇよ

   んじゃ行こうぜ」


空「だな!

  お~い蘭花、帰ろうぜ~!」


蘭花「空くん帰るの?

   ってその人だれ?」


空「こいつは俺の後輩で中学からの腐れ縁の大樹

  大樹、この子が俺の彼女の蘭花だ!

  どうだ、可愛いだろ?」


蘭花「初めまして~どうも~大樹くん」


大樹「ども、筋肉だるまの旧友の大樹です、よろしくっす」


空「誰が筋肉だるまだ!!!

  んな事おいといて帰るぞ!」


大樹「へぇへぇ」


蘭花「大樹くんは~、どうやって空くんと知り合ったの~?」


大樹「ん?えっとこいつが悲しそうに教室の隅っこで弁当食べてて

   哀れ過ぎて近寄って行ったのが初めてだったかな?」


蘭花「悲しそうにってなんで???」


大樹「こいつ昔はクソデb…」


空「あぁん?!」


大樹「はぁ…。

   さぁ?なんかあったんじゃね?

   詳しくは俺も知らないですね」


蘭花「ふふ、何か仲が良いのが伝わってくるね~」


空「仲が良いってか、こいつは俺の事を年上だと思ってないところがな…」


大樹「細けぇな…ハゲるぞ?ほら、ココとか」


空「ハゲねぇよ!!

  ハゲてもねぇよ!!」


蘭花「ふふっ

   ん~?こっちを誰かが見て立っているけど、誰かの知り合い~?」


大樹「ん?あれ?」


コノハ「あ、大樹…と、」


空「おー、コノハじゃん何してんの?」


コノハ「あ、どうも空先輩、そちらの方は?」


蘭花「どうも~、蘭花って言います

   空くんの彼女で~す」


コノハ「どうも、よろしくお願いします先輩

    えっと、ちょっとクラスでやる事をやってて

    今帰る所だったんですけど、先輩たちも今帰りですか?」


空「そそ!これから俺んちで遊ぼうって話になってな

  3人で帰る所なんだ、良かったらコノハも…」


大樹「い、いや…コノハは良いだろ」


コノハ「なんで?別に私だって時間はあるよ??」


大樹「お前は家の事とか色々あんだから、そっちをしっかりやってろよな」


コノハ「何よそれ、私が居たら迷惑って遠回しに言いたいの?」


大樹「別にそういうわけじゃねぇよ!」


コノハ「いーですよ、私は帰るから!

    先輩たちもお誘いありがとうございました!」


空「あ、コノハ!

  どうしたんだよ大樹、お前らしくねぇじゃんか」


蘭花「来られたらマズイ事でもあるの~?」


空「マズイ事………あっ!もしかしてアレか?」


大樹「……」


蘭花「アレって?」


空「まぁ家に行きゃわかるさ」







蘭花「アレってまさか、コレの事を言ってたの?」


空「ふぅ~…、たぶんコレの事だな

  だろ?大樹」


大樹「別にいいじゃん、どうだって」


蘭花「ん~、好きな子には煙草を吸って、お酒を飲んでるなんて

   知られたくないって感じなのかな~?」


空「こいつは昔っからあの子の前では変に隠し事するやつだったからな~」


大樹「別に好きってわけじゃねぇよ…っすよ(言い換える)

   俺そういうのよくわかんねぇし…

   ただ、あいつには知られたくねぇっていうか…」


蘭花「あら?てっきり好きなのかと思ってたんだけどなぁ~」


空「こいつにそんなアオハルみたいなの求めても無理無理無理無理無理~」


蘭花「いえ、大樹君じゃ無くって…

   ふふっ、まぁなんでもいっか♪」


空「ん??どうしたんだよ?」


蘭花「いーえ

   なんでもないよ~♪

   所で、明日の委員会で使う資料

   ちゃんと持って帰って来たの~?空くん」


空「そりゃもちろん…(バッグを漁る)

  …………。

  っ!??

  あああああああああ!!!!!

  やべぇ……忘れた!!!!

  わりぃ蘭花と大樹、俺一回学校戻るわ!」


大樹「はぁ?!んなもん明日じゃダメなのか?

   つか、学校って…片道1時間位かかるじゃんか…」


空「駄目だから焦ってんだろうが!!

  つーわけで、明日じゃ間に合わないから行ってくるぞ!」


大樹「あっ、ちょおま!」


蘭花「いってらっしゃ~い♪」


大樹「はぁ…。ったく…あのバカは

   どうします?蘭花さんの家って遠いんじゃないんっすか?」


蘭花「ん~?ああ。

   大丈夫だよ~?

   私はこのまま空くんを待ってようかな~って思ってるから」


大樹「そっすか。んじゃ俺はこれ呑んだら帰りますわ

   流れで来ただけだし」


蘭花「え~!それは寂しいから嫌だなぁ~

   もうちょっと一緒に居ようよ~」


大樹「つっても俺、酒弱いし、ここじゃ特にする事もないんで…」


蘭花「へぇ~弱いんですか~…ふふっ

   実は私も弱いんだよねぇ~

   一緒に潰れるまで呑んで待ってよ~よ~♪

   買ってきちゃったのもったいないし

   私1人じゃこの量は無理だから、ね?」


大樹「ん~…………

   はぁ…、わかりましたよ…

   つか、マジで弱いんで無理に呑ませないでくださいよ?」


蘭花「はい♪もちろんです

   まぁ、今呑んでるのはとりあえず空けちゃいましょ」


大樹「はぁ…(飲み物を呑む)

   ……ん?

   なんか、さっきより量が増えてる気がするんっすけど…」


蘭花「気のせいだよ、気のせい~

   ほら呑まないと~♪」


大樹「ん……だから…あまり得意じゃないって…」


蘭花「あらら、もう酔っちゃったの~?

   まだまだ沢山あるのに~」


大樹「だから…最初っから弱いって言ってたじゃねぇかよ…

   あ~…、クラクラする…」


蘭花「あらあら、しょうがない子ですねぇ~

   えいっ!」


大樹「ちょ!

   ………あの…

   これはどういうことっすか?」


蘭花「膝枕だけど~?

   迷惑だったかな~?」


大樹「迷惑ってか…顔、近ぇよ…

   空の彼女なんだから、んな事してたらマズイでしょうが、普通に考えて」


蘭花「ふふっ、別に今はそんな事いいじゃないの~

   私、君の事別に嫌いじゃないし、

   男の子だってこういうの嫌いじゃないでしょ~?

   だから~、ね?いいでしょ~?」(キスしようとする※未遂)


大樹「っ…!

   やめろっ!!」


蘭花「あっ…」


大樹「わりぃけど、そういうのは他の奴にやってくれ」


蘭花「はぁ…めんどくさ

   君って別に好きな人いないんだよね?

   何いい子ぶってるんだか」


大樹「……うっせぇな

   アンタには関係ないだろ

   俺はもう帰るからな」


蘭花「ふんっ…

   あ~あ、良い暇つぶしになると思ってたのに残念だわ

   あ、良い?くれぐれも空くんには言わないでよね

   もし言ったらあんたの周りを滅茶苦茶にしてやるから」


大樹「ちっ…

   アイツはアイツで弱い所あんだから

   言えるかよ、んなこと」

蘭花M『あ~あ、帰っちゃった

   はぁ……、何やってるんだろ……。』








コノハM『えっと…大根はこの間使いきっちゃたし、

    今日は安くてラッキー…

    はぁ…っていうか色々考えてたら、買い過ぎちゃってたなぁ~…

    これも大樹のバカのせいね!うんうん!!

    明日あったら首絞めぐらいしてやろうかしら

    ん?あれって大樹?』


大樹「あ~…もしもし楓?」


楓「どうした?エロ本ならうちには無いから貸せないよ~」


大樹「ちげぇっての。

   あのさ……。ん~……」


コノハM『何話してるのかな…

    って!私何覗いてるの?!

    い、いや…これはたまたまよ、

    たまたま通りかかって聞いちゃっただけなの!

    だから問題ない!

    って、私は誰に言い訳してるのよ?!!』




楓「ん?どうしたんだよ、ガチ系の悩み?」


大樹「まぁ、な。

   あのさ、女って2人きりになると誰にでも…

   あ~いや…なんっつーか!!

   今日…さ。ある女にキスされそうになったんだよ…」


コノハM『ぇ…』


楓「な~んだ、悩みってそんな事か~

  ようやく君たちにも春が来たってわけね~

  おめでと~!祝福するよ、うんうん」


大樹「君らって、どういうことだよ」


楓「え?そりゃあれだけ普段からアプローチされてるのに

  気づかない大樹がようやく…ん?

  えっと…さ、ちなみに相手って僕の知ってる人じゃない感じかな?」


大樹「たぶん知らないんじゃねぇーの?先輩だし」


楓「ん?ん??まって、ちょっとまって…え?先輩?

  どうしてそうなったのか詳しく話してよ」


大樹「だから、話そうとしてたらお前が祝福だなんだって…」


楓「あ~!それはもう置いといて!

  なんで色恋視力ゼロの大樹にそんなイベントが発生したのさ!」


大樹「あ~…んー。今酔ってるからあんま頭が働いてないんだけど…

   その…なんだ。

   俺のダチとその彼女の3人で呑んでたらダチが急用で出ていって…

   そしたら酔った俺にその彼女が」


楓「ん~っと、友達って空先輩じゃない?」


大樹「なんでわかんだよ!?」


楓「だって、大樹って友達少ないじゃん?」


大樹「うっせぇ!

   お前のそういう所嫌いだわ!」


楓「はいはい

  ってことは、空先輩の彼女さんか~…

  空先輩はまだその事知らない感じなの?」


大樹「んな事言えるかよ…

   あいつだって鋼メンタルって訳じゃないんだからな」


楓「まぁ、彼女さんにそんな事されたら、

  さすがのムキムキ空先輩でもシオシオになっちゃいそうだもんね~

  なるほど、それで僕に愚痴りに連絡してきた、と」


大樹「愚痴ってか、なんつーか…その」


楓「ん?」


大樹「その時に好きな奴とか居ないのにって、そいつに言われてな…

   なんか、こいつじゃ嫌だって思ってさ

   こう…すげぇモヤモヤしたっていうか…」


楓「ふーん

  大樹ってさ、本当に好きな人居ないの?」


大樹「居ない…と思う

   わかんねぇんだよ、そういうの全然」


楓「でも、その子とキスとかするのは嫌だった、と」


大樹「ああ…」


楓「なるほどねぇ~

  コノハちゃんとかはどうなの?」


大樹「コノハ?あいつは…、幼なじみってか、ただの腐れ縁ってか…

   ってかこの話にコノハは関係ないだろうが」


楓「ふーん…そんな程度なんだ…大樹にとってコノハちゃんって…。」


大樹「昔からの腐れ縁ってか、まぁいいじゃねぇかよ!

   ってかコノハがどうしたんだよ?」


楓 「じゃあ、さ

   僕、コノハちゃんに告白しても良い?」


大樹「はぁ?ちょおま…どういう事…」


楓「僕はね、ずっとコノハちゃん良いなぁって思ってたんだよ

  大樹にその気がないなら、僕がコノハちゃんを貰おうかな~ってね

  いいかな?」


大樹「………。

   いや…。別に…俺の許可なんていらないだろ…」


楓「ふーん、じゃあ僕、これから遠慮しないで行くから!

  応援よろしくね」


大樹「……ぉぅ」


楓「あ、じゃあ僕お風呂入ったりするから切らないと。

  あ、さっきの話だけど。

  そういう人は誰とでもそういう事しちゃう人だろうから

  気にしないでいいんじゃないかな~って僕は思うよ~!

  じゃあね~!」


大樹「ちょ……切りやがった…

   はぁ……なんなんだよ…意味わからねぇよ…


   ふぅ…(タバコに火をつけて吸う)」

コノハM『友達の彼女さんって…

     あの人だよね…』







楓「コノハちゃんおはよ~!」


コノハ「あ…カエちゃん…。おはよ

    今日は一人なんだね」(辺りを見る)


楓「ん?あ~、大樹は今日も寝坊じゃないかな?

  ところでどうしたの?元気ないみたいだけど

  何かあったの?僕ならいつでも相談乗るから遠慮しないでね」


コノハ「あ…。

    んーん!な、なんもないよ!

    あ~私ちょっと用事があるからまた今度ね!」


楓「そうなんだ~…

  僕に手伝える事だったら言ってね

  コノハちゃんの力になりたいしさ」


コノハ「ありがと。でも今回は大丈夫、かな…

    じゃ、じゃあね!」


楓「うん、またね~!」









蘭花「ん~っと、コノハちゃん…だったっけ~?

   屋上に呼び出してどうしたのかなぁ~?

   何かあったの~?」


コノハ「あ、あの…」


蘭花「私も忙しいから~、あまり時間取ってられないんだけど~

   何もないなら戻っちゃうよ~?」


コノハ「き…昨日!

    あの後、空先輩の家で…何かありましたか?」


蘭花「ん~?特に何もないよ~?

   なんでそんな事聴くの~?」


コノハ「嘘…」


蘭花「ん~?何?」


コノハ「嘘です!先輩は昨日大樹に、その…

    キ、キスしようとしたらしいじゃないですか!」


蘭花「ふーん…。

   もしかして~大樹くんから何か聞いたのかな~?」


コノハ「大樹からは何も聞いてません!

    昨日たまたま大樹を見かけて、

    独り言をちょっと耳に挟んだだけです」


蘭花「へぇ~…

   呼び出した理由って~、そんな事?

   はぁ…つまらな~」


コノハ「そんな事って…」


蘭花「そんな事でしょ。

   あ~あ、つまんないの

   ちょっと遊んであげようかなぁ~って思っただけなのにさ~

   あ、安心して。私めんどくさい事って大嫌いだから

   もうあの子には何もしないし

   興味もないから~そっちで好きにイチャコラしてて~」


コノハ「何なんですかアナタは!

    空先輩の彼女さんなんですよね?

    どうしてそんな事してるんですか!」


蘭花「別に~、私は自分が楽しく生きれれば

   それでいいかなぁってだけだし

   空くんの事好きだけど~

   だからって私が別の人と好きにしちゃいけないって訳じゃないでしょ?」


コノハ「何言ってるんですか!

    空先輩の事、裏切ってるって感覚はないんですか?!」


蘭花「裏切る?バレなきゃ別にそんなの良いじゃん

   それに空くんとの事は、あんたには関係ないでしょ

   もうあの子には手を出さないって言ってるんだから

   これでよくない?」


コノハ「何よそれ…

    私は……。

    私は真剣に大樹の事……

    それなのに…簡単な気持ちで

    踏み込んで来ないで!!!」


蘭花「何、純情ぶってるんだか…

   好きなら早く好きって伝えればいいだけじゃん

   自分の気持ちも伝えられないくせに

   ここで吠えてんじゃないよ

   はぁ…だるっ」


コノハ「それ、は…」


蘭花「自分から告白する勇気も無くて、

   他人が自分の好きな人にちょっかい出したら

   その時だけ文句言うとか、あんた何様なの?

   何もできないなら、だるいから文句なんて言わないで欲しいんだけど」


コノハ「……っ!」(立ち去る)

蘭花「あ~あ…行っちゃった」


(ケータイが鳴る)


蘭花「ん?は~い、もしも~s…

   あっ…、ママ?どうしたの?

   ううん、今はお昼休みで1人だから全然♬

   うん、大丈夫だよ~元気元気!

   ママこそ、忙しいのに連絡なんてしてきて大丈夫?

   あはは、そっかそっか

   娘想いの母を持った私は幸せ者だよ~♩

   え~、本心だってば~♫

   それで、何かあったの?愛娘に言うてみ~♪

   あ…。

   うん…、うん、あ~…お義父さんが…?

   うん…。あの人とご飯に一緒に行こうって?

   あ~……いや…そっか~って

   ご飯か~…

   あ!そ、そうだった!

   しばらく部活の後にバイト遅くまで居れちゃってたんだ!

   ゴメンね!また今度誘って!あの人にもゴメンって言っておいて!

   あ…、ごめん!そろそろ教室戻らないとだから切るね!

   ゆっくり食べて楽しんで来てね!は~い!じゃあね~!!

   …………。

   はぁ…。

   別に再婚なんてして欲しくなかったんだけどな…」


蘭花M『私が小さい時にパパは不慮の事故で逝ってしまったらしい

    両親の反対を押しのけてパパとママは駆け落ち同然だったみたいで

    10代で私を産んだママは、誰にも頼ることなく

    必死に私を育ててくれた、そんなママが私は大好きで尊敬もしている

    再婚の話を聞いた時、私は

    ママが幸せなら全然いいよ!一緒にお祝いしよ!

    とか言って笑っていたけど本当は…不安で仕方なかった…

    新しいお義父さんが一緒に住むようになってから

    段々と家に帰りづらくなっていった…

    友達と過ごしたりして時間を潰したり

    バイトを遅くまで入れたりしていたけど、それも限界がきて

    そんな中で空くんと付き合う事になったんだ

    私が落ち込んでると理由も聞かずにただ一緒に居てくれたり

    無理やり私に合わせてくれる訳じゃなく、ただ傍に居てくれる

    そんな彼が本当に好きで…でも…

    そんな幸せの中にも、一人の時は出来るわけで…

    どうしても耐えられなくて…マッチングアプリに手を出して

    知り合った人と時間を潰すようになっていった

    誰でもよかったんだ、家に居ない時間が作れるなら…

    ただ…、彼の事を好きなのに、こんな事して…

    私みたいな汚れた子が、

    空くんの傍にいたらダメだって思いが

    日に日に大きくなって

    離れたくない、でも彼に毎日甘えられる訳じゃない

    家には居たくない…

    そして時間を潰すためにまた別の人と……

    こんな汚れた私を、彼が知ってしまったら…。私は怖い…

    空くんが居なくなる事が、彼の中からも私が消えてしまうのが

    そんな事を考えていたら

    胸が苦しくなっていって

    いつの間にか、私は泣いていた』


蘭花「私、何やってるんだろ…」



   






楓「こ~のはちゃん♪

  こんなところで何してるの?

  暇ならお昼食べよ~…って

  あれ?コノハちゃ…

  って、泣いてるの?!ど、どうしたの?

  どこか痛い!?

  えっと、保健室いく?!!」


コノハ「大丈夫…」


楓「大丈夫じゃないでしょ!

  コノハちゃんが泣くなんて相当だよ?」


コノハ「ちょっと色々あっただけだから…」


楓「ん~…何があったかわからないけど

  言うだけ言ってみたら?少しは気が晴れるかもよ?

  僕なら話ちゃんと聞くし

  ほら、ハンカチ使って、目が晴れちゃうよ?」


コノハ「ありがとう……。

    じゃあ少しだけ…話してもいい?」


楓「もちろんだよ!安心して!僕、口は堅いからさ」


コノハ「私…駄目なのかな?」


楓「何が駄目なの?

  コノハちゃんが駄目な所なんて特に見当たらないけどなぁ」


コノハ「さっき、私の大切な人を困らせた人に会って

    話をしてきたんだけどね…」


楓「あ~…、うん。それで?」


コノハ「私から大事な人に何も出来てないのに、口出しするなって…

    それを言われて、私…。何も返せなかった…」


楓「うんうん」


コノハ「私はただお節介をしてるだけなのかなって

    自分じゃ何もしないで、文句だけ言っちゃってるのかって…」


楓「そんな事はないんじゃないかな?

  詳しくはわからないけど、コノハちゃんはその人の事を

  大事にしてるんでしょ?だから何かした相手に怒ったんだよね

  だったら全然悪い事じゃないよ

  そんなの誰だって文句だって言いたくなるし、お節介なんかじゃないよ」


コノハ「そう…なのかな?」


楓「そうだよ!僕だってきっとそうするだろうし!

  コノハちゃんは当たり前の事をしたと思う

  だからそんな風に思わないでいいんだよ」


コノハ「ありがとうね、カエちゃん」


楓「あはは、全然いいよ

  ほら、コノハちゃんの為ならお昼抜く位、余裕に出来ちゃうし!」


コノハ「あ、ごめん!もうお昼休み終わっちゃうね」


楓「良いって良いって

  あ~、どうしても気になるって言うなら

  今日放課後にご飯付き合ってくれてもいいんだよ?」


コノハ「え?あ、うん…そうしようかな

    話聞いてくれてありがとう、カエちゃん」


楓「お礼言われるような事はしてないよ

  さ、とりあえず顔洗って今日を乗り越えよう!!」


コノハ「うん、そうだね…!

    頑張って乗り切るよ」(無理やり気持ちを切り替える)


楓「うんうん 

  やっぱり元気なコノハちゃんが良いね♪」


コノハ「なによそれ~」







空「蘭花~!今日部活休みだしどうする?

  帰るなら途中まで送るぞ~?」


蘭花「あ、空くん~

   ん~、どうしよっかなぁ~

   空くんの時間が大丈夫なら

   どこか遊びに行きたいなぁ~

   な~んて」


空「ん?別にいいぞ?今日はジムも行く予定ないしな!」


蘭花「じゃあ久々にカラオケ行こ~」


空「そんなに俺の美声が聴きたいのか、しょうがないな~蘭花は」


蘭花「あれ~?俺は音痴だから二度と歌わない~って

   前に言ってたのは、どこの誰くんだったかな~?」


空「ははん!そんな昔の事はゴミ箱に捨てて焼却処分してきたぜ!

  よ~し、そうと決まったら行こうぜ!

  今日は夜まで歌ってやるぞ~!」


蘭花「お~!」


空「ん~…」


蘭花「どうしたの~?」


空「いや、何か目元が腫れてる気がしたんだけど」


蘭花「え~、何~?

   今日のメイクは似合ってないって言いたいの~?」


空「そんなこと無いって!!めっちゃ可愛いから!

  俺の彼女は世界一可愛いよ!」


蘭花「あはは、冗談だってば~

   でもメイクの違いがあったら気付いてほしいな~チラッ」


空「俺そういうの気付けないんだから、そこは攻めないでくれよ~」


蘭花「え~、そこは頑張る!じゃないの~?」


空「お、おう!好きな子の為なら頑張ってみるぞ~!!」


蘭花「期待しないでまってま~す」


空「少しは期待してくれてもいいじゃんか~

  ってか、ほら、行こ?」


蘭花「はーい♪

   ………。

   そ~いえば、さ…。気になったんだけど~

   空くんは、どうして私に告白してきたの?」


空「ん~、そうだなぁ~可愛かったしなぁ~」


蘭花「え~顔なの?」


空「いやいやいやいやいや!!

  確かに顔もめっちゃ可愛いけど!」


蘭花「あはは、ありがとう♪

   ストレートに言ってくれてうれしいよ」


空「そうだなぁ~…ん~…」


蘭花「無理しないでいいよ~♪

   何となく聞いただけなんだから~」



空「第一印象が、そのなんつーか…

  寂しそうってか、なんか辛そうな雰囲気した子だなぁって」


蘭花「え?」


空「いや、イメージよ?イメージ!

  明るくふるまってるけど、自分を押し殺してる?みたいな…」


蘭花「……」



空「んで、まぁそういうのって気になるとつい見ちゃう癖ってか

  それがきっかけで、蘭花の事見るようになっていって

  笑顔が可愛いなとか、もっと近くに居たいとか思うようになって

  それで、告白したんだよ」


蘭花「へぇ~、実際付き合ってどうだった~?」


空「実際付き合って、もっと好きになった

  だって蘭花めっちゃ可愛いし、料理も上手だしな」


蘭花「あはは、ありがと~」


空「でもそうだなぁ…」


蘭花「???

   でも?」


空「たま~に、あん時みたいに寂しい顔するから

  何か辛い事があんのかなぁ~って

  そういう事がもしあるんだったら

  俺に言ってくれたら嬉しいのになって思う事があるよ」


蘭花「あ、あはは…

   大丈夫だよ~特に何も…」


空「今だって。辛そうな顔してるぞ?

  俺、メイクとかそういうのは、よくわかんねぇけどさ

  好きな人の事見えてないわけじゃないんだ

  頼って来てくれた時に、いつでも支える覚悟はしてるつもりだし

  何かあるっていうならそういう所でも、

  俺を頼って言って欲しいって思ってる」


蘭花「………」


空「ん~…。あとさ」


蘭花「なに?」


空「流れで言っちまうけど

  俺さ、蘭花が浮気してるの、実は気付いてるんだよな」


蘭花「え…?」


空「あ、いや!別につけてたって訳じゃなくて、

  たまたま外に出てた時に

  別の男と腕組んでるのを見ちゃってな」


蘭花「…っ!

   そっ…か……

   軽蔑した…よね

   最低な子だって思ったでしょ…」


空「見た瞬間はめっちゃショックだった

  けど、その時にまた悲しそうな顔してたから

  きっと何か事情があるんだろうなって思ったら

  なんつーか、怒る気なくなっちまったっていうか」


蘭花「…」


空「沢山悩んで、苦しんで

  それの捌け口を欲してるのかなぁ、なんて

  そう思ったら頼らせてあげられてない

  俺も悪いんだろうなぁって思ってさ」


蘭花「そんな事ない…!

   そんな事ないよ!!空くんと一緒に居る時、私幸せだよ!」


空「ありがとう、そうやって言ってくれるのすごい嬉しいよ

  そしたら、何であんな事してたの?」


蘭花「……居場所だったから…」


空「ん?」


蘭花「空くんとの時間が私の唯一自分で入れる居場所だったから!

   変な事で心配かけたり、したくなかったんだよ…

   でもそう考えたら何も言えなくて…言えなくなっちゃって…

   ごめんね!こんな私じゃ空くんに釣り合わないよ…

   やっぱり私じゃだめだよ…

   さような…」


空「構わねぇよ」


蘭花「ぇ…」


空「全然かまわねぇよ、つーかそういう事も言えっての!

  嫌いにならないし、ってか頼ってくれよ」


蘭花「でも、私浮気とか…」


空「それは俺に言いづらい何かがあったからだろ?」


蘭花「うん……」


空「俺に言えるようになったとしても、まだするか?」


蘭花「…んーん………」


空「じゃあ話せ!そして過去は水に流す!

  俺に全部さらけ出して俺の傍に居ろ!」


蘭花「…いい…の?…」


空「おう!」


蘭花「私、駄目な子だよ?」


空「おう!知ってる!」


蘭花「ちっちゃな事でも、ぐちぐち言っちゃうかもしれないよ?」


空「おう、ドンとこい!」


蘭花「空くんの後輩たちにも迷惑かけちゃったよ…?」


空「それは話聞いた後に一緒に謝りに行こう!」


蘭花「馬鹿だよ…空くんってホント頭まで筋肉で出来てるんじゃないかな…」


空「それでも蘭花を大切に思って考えているよ

  愚痴吐かれても、迷惑かけられても

  俺は、お前だけを愛してる」


蘭花「うん…うん…ごめんね…空くん……(大泣き)」


空「もう謝んなくて良いって

  つか、カラオケじゃなくて俺の家にしよっか?

  俺でも分かるぐらいメイクボロボロになっちゃったし」


蘭花「うん…ごめんね…ちゃんと全部話すからね

   これからもずっと一緒に居て欲しいよ…」


空「当たり前だろ、何があっても俺は蘭花と一緒に居るよ

  おし、とりあえず今はさ

  いっぱい泣いとけ」


蘭花「うん…」







楓「コノハちゃん、ここの店で良かった?」


コノハ「いいよ!

    お昼すっぽかさせちゃったんだし

    何なら奢るよ♪」


楓「いやいや、僕が勝手にした事だったんだし

  コノハちゃんと少し話したかったし…」


コノハ「ん?話?」


楓「ん~ん!あ、そういえば、コノハちゃんってどこか行きたい所とかって無いの?」


コノハ「ん?どうしたの急に」


楓「いや、今度一緒にどっか遊びに行きたいな~って思っててね」


コノハ「ん~、そうだなぁ~…、最近バタバタしてたし

    遊びに行くとしても、ゆっくり出来る所なら行きたいかなぁ~」


楓「そかそか

  じゃあその辺で探してみようかなぁ~」


コノハ「あはは

    ありがとね、カエちゃん」


楓「いーえ、コノハちゃんともっと仲良くしたいしね」


コノハ「ふふっ

    そうやってすぐ女の子に良い顔するんだから

    そういえば、カエちゃんはさ、何で彼女とか作らないの??」


楓「え?なんでって言われてもなぁ~…」


コノハ「カエちゃんすっごいモテてるのに、そういう浮いた話

    全然聞かないからなんでかなぁ~って」


楓「何人かとは付き合ってたよ?」


コノハ「え?!そうだったの?

    全然気づかなかった…」


楓「あはは…、すぐ別れちゃってたからね…」


コノハ「カエちゃん女の子大事にしそうなのに以外~」


楓「何となくで付き合っちゃってたんだけど、

  なんか向こうが頑張り過ぎちゃって、

  結果的に別れる形になるっていうか…」


コノハ「ふーん、じゃあ今は好きな人とか居ない感じなんだね」


楓「………。そ、そういうコノハちゃんは好きな人とか居ないの?」


コノハ「え?私は…どうなのかなぁ~」


楓「え?居ないの?!」


コノハ「え?え?どうしたの?急に大声出すからびっくりした~」


楓「あ…、あはは…。ごめん」


コノハ「そうだなぁ~…

    きっと駄目なのかなぁって気がしてる人なら居る、かな…」


楓「それってどういうこと?」


コノハ「あいつ、愛とか恋とかホント全然わからないんだろうなぁって

    こっちがどれだけ思おうが、例え色々考えて告白しても

    バッサリ切られちゃうんだろうなぁって…

    そう思って踏み出せなくて、このままが一番いいのかなって」


楓「……ん~…」


コノハ「あ、ごめんね!

    つまらない話しちゃったよね

    他の話題にしよ」


楓「その人の代わりってわけじゃないけどさ。

  僕じゃ駄目かな?」


コノハ「え??それってどういう…」


楓「コノハちゃんの傍に居るの、僕じゃ駄目かな」


コノハ「いやいや、カエちゃんにはカエちゃんを好きな子が沢山いるじゃ…」


楓「違うんだよ、そんな人たちじゃなくて、コノハちゃんが僕は良いんだ」


コノハ「いや、そんな真剣な顔しちゃって、どうしたの…?

    あ、あ~!心配してそんな事言ってくれてるんだよね

    わかったから落ち着いて、ね」


楓「わかってないよ、僕はずっと君が好きだったんだ

  君があいつの事好きだって感づいてたから我慢してきてた

  でももうアイツに気を使って、我慢するのに疲れちゃったんだよ。

  僕、あいつに昨日言ったんだ、コノハちゃんに告白するって

  それでもあいつ何も言わなかった、そんな奴なんかより

  僕の方がコノハちゃんを絶対に思ってる」


コノハ「…………」


楓「…………」


コノハ「ごめんなさい…」


楓「ぁ…」


コノハ「気持ちは凄く嬉しいし、とっても真っすぐに言ってくれて嬉しかった

    でもね、私はカエちゃんの事、友達以上に見る事は出来ない、かな…」


楓「うん…」


コノハ「その気持ちに私は答えられないけど、

    いつかカエちゃんの気持ちを受け止めてくれる人が現れて

    悩んだりした時はいつでも相談して、

    私はいつまでもカエちゃんの友達だから」


楓「ありがとう、ちゃんと応えてくれて…」


コノハ「うん……ごめんね。私…、先に帰るね」





楓M『あ~あ…。

   僕の初恋は上手くいかなかったなぁ…』







コノハ「はぁはぁはぁはぁ…

    はぁ…何してるんだろ私…」(走ってた)


大樹「ホント何してんだ、お前

   こんな時間に制服でランニングか?

   せめてジャージに着替えてからにs…」


コノハ「わっ!びっくりした…って大樹?!」


大樹「うわっ!!びっくりしたのはこっちだっての…

   人の顔見ていきなり大声出すなっての…

   俺は化け物か何かか?」


コノハ「いや、化け物っていうか…

    それより大樹こそ何してるの?」


大樹「スタジオの帰り。

   今日は朝から入ってたからさ」


コノハ「ほほぉ~…。学校サボって良い御身分ですねぇ~!

    この!この!この~!!」(頭グリグリ)


大樹「痛てぇ!!痛ぇって!!出席日数は落としてないから心配すんなって…」


コノハ「そういう問題じゃないの!!!」(頭グリグリ)


大樹「痛たたたたた…ごめんごめん、ごめんなさい!!!

   謝るから!とりあえずそれやめて!!」


コノハ「やめて??」


大樹「やめて下さい!」


コノハ「ふぅ…まったくしょうがないなぁ…

    練習終わったって事は、これから帰りなの?」


大樹「そっ、帰って爆睡する予定だな」


コノハ「はぁ…アンタは気楽でいいわね~」


大樹「別に気楽ってわけじゃねぇって

   特にやりたい事ってコレぐらいしかねぇし

   まぁ人気でりゃいいけど、

   このご時世デビューしたとしても儲からないしな~」


コノハ「デビュー出来る所まで想像してるのがすごいわ…」


大樹「良いんだよ、夢はしっかり見ねぇと霞んじまうだろ?」


コノハ「はいはい

    ふふ…」


大樹「何笑ってるんだよ」


コノハ「んーん!やっぱり大樹と居ると他の事なんて

    どーでも良くなっちゃうなぁ~って」


大樹「どうせお気楽が移るとか思ってんだろ」


コノハ「どうしてそう捉えるかなぁ~

    まぁいいけど~…って

    あれ?大樹の家ってこっちじゃないよね?」


大樹「あ?ついでだから送って行くよ

   もう暗くなってるし、あぶねぇだろ?」


コノハ「にしし、送り狼って奴ですね~お兄さん」


大樹「どこでそんな言葉仕入れて来てんだよお前…

   んな冗談言って、前見て歩かないとぶつかるっちまうぞ?」


コノハ「うわっ!大樹に真面目に注意された…

    ショック~!」


大樹「お前なぁ……、俺を馬鹿に過ぎだろ…」


コノハ「そんな事ないよ~

    私は大樹とはイーブンで居ると思ってるもん♪」


大樹「イーブンねぇ…

   成績、学年トップから数えた方が早いやつと

   学年の落ちこぼれがイーブンかねぇ?」


コノハ「別に勉強が出来る出来ないが全てじゃないと思うよ?

    歴史とか体育とかだって、社会に出てそういう事に携わってなければ

    殆ど意味ない事なんだろうしね~」


大樹「まぁ、そうかもしれないけどさ…

   お前って頭いいのにそういう所は雑だよな…

   ふっ…」


コノハ「大樹だって笑ってるじゃない!」


大樹「いや、お前が笑わすからだろ

   なんか最近は疲れる事ばっかりバタバタ起きてたから

   こんなんでも笑えちまうんかね~、俺も」


コノハ「ぁ…あ~!あんたがそんな疲れるとか言う?

    学校もぜんっぜん来ないバンド馬鹿なのに?」


大樹「うっせぇよ

   疲れるもんは疲れんだよ、ばーか」


コノハ「もう、

    子供みたいな返事なんだから」


大樹「へぇへぇ、どーせガキですよ~だ

   ほら、家着いたぞ」


コノハ「あ…、ほんとだ…」


大樹「んじゃ、ゆっくりしろよ~」


コノハ「ぁ……」








コノハ「大樹!」


大樹「ん?どうし…」


コノハ(キスをする)





大樹「ぇ…」


コノハ「私、大樹が、好き…だよ…」





コノハ「じゃ、じゃあまたね!!!」


大樹「あ、ちょっ…おま…!」






大樹「顔…暑ちぃ…」











楓「よっ…」


大樹「俺んちの前で何やってんだ?」


楓「僕、ちゃんと告白したから」


大樹「…そっか」


楓「バッサリ振られてきたよ、僕じゃ駄目だった」


大樹「そっか」


楓「お前だって馬鹿じゃないんだから気付いてんだろ?

  コノハちゃんの気持ち」


大樹「……まぁ、な」


楓「だったらあんま悩ますんじゃないぞ

  じゃないと、あんな可愛い子、

  僕以外だってほっておかないんだからな!」


大樹「お、おう…

   ありg…ごふっ!」(殴られる)


楓「ふぅ…」


大樹「痛ぇな!!何すんだよ!」


楓「僕の失恋の重さと、コノハちゃんが今まで我慢してきた分!」


大樹「っ……。なんだよそれ…」


楓「いーか!コノハちゃん泣かしたら、

  今度はそんなのじゃ済まさないからな!

  んじゃ!」






大樹「痛ってぇっての…」













蘭花「………ん~~~~!……」(ビンタされ待ち)


大樹「えっと………。なんっすか…コレ」


空「ほら、ちゃんと言わないと

  こいつバカだからわからないって言っただろ?」


大樹「いやいや、そういう事じゃなくて

   呼び出されたと思ったら突然目を閉じてつっ立たれても

   意味わかんねぇって…」


蘭花「……ひどい事しちゃったから…」


大樹「あ?」


蘭花「ひどい事しちゃったから!

   痛いのは嫌だけど1回殴って!

   それで前回の事を無かった事にして欲しいの!」


大樹「な、なぁ…空…?」


空「ん?どーした!俺の前だからって遠慮すんな!

  やり過ぎた分があったら、俺がお前をぶん殴る!」


大樹「そういう事じゃねぇよ!

   絶対これ吹き込んだのお前だろ!」


空「あ?なんで分かった?」


大樹「はぁ……。

   えっと、蘭花先輩?」


蘭花「は、はい…」


大樹「俺は女を殴る趣味は無いんで

   だからそんな事されても困るってか」


蘭花「じゃ、じゃあどうすれば…

   空くん!どうしよう…」


空「んー…大樹が俺を変わりに殴ってもいいが

  どうせ対して痛くないだろうしなぁ…」


大樹「そういう事じゃねぇだろうが!

   はぁ……

   察するに、二人の中で色々解決出来たんだろ?その感じ

   じゃあ俺は気にしないからいいよ」


蘭花「本当に、いいの??」


大樹「いいっすよ、俺だって気付けるところがあったし

   お互い忘れるって事で!」


空「良かったな、蘭花」


蘭花「ありがとう…ございます」


大樹「別に礼を言われる事じゃねぇし…。

   ん?

   ってか蘭花先輩。俺が殴る殴らない以前に

   頬がちょっと腫れてないか??」


蘭花「えっとぉ……。コレは~……」


空「それは…

  迷惑かけた人がもう一人居て、な…

  その人にも同じことをしたら

  お前と違ってノータイムで

  フルスイングビンタしていったんだわ…」


蘭花「~~~っ!!

   思い出しただけでも…!

   ガクガクガクガクガクガクガク………!!!」


空「ま、まぁその人も忘れてくれるって言ってたしな

  大樹からはお咎め無しだったって事で

  これで晴れて刑の執行は終わりって事だ!」


大樹「ふーん、まぁどんまい

   つか、二人とも何か前よりその…

   なんだ、スッキリした感じしてねぇか?」


空「そりゃまぁ?

  普段もそうだが、昨日は特に…」


蘭花「ちょっと!」(お腹を殴る)


空「ごふっ!!!」


蘭花「お、お互い歩み寄る事が出来て、さらに仲良くなっただけよ!!!」


大樹「ふーん、そりゃよかったな」


空「おう!もう俺たちの間に入れる奴なんて誰一人いねぇな!」


蘭花「居ないわ!」


大樹「なんつーか、暑苦しさ増したな…」


空「あはは!いいじゃないか!

  そうだ、今日学校終わったらカラオケに行くんだが、お前もどうだ?

  俺の美声を筋肉と共に響かせてやるぞ!!」


大樹「美声も筋肉も別にいらねぇよ

   つか、今日はパス!

   ちょっと大事な用があるからさ」


空「大事な用?」


大樹「なんだろうな、大事な事だと思うからさ」


空「そうか!

  さては、お前も何かやらかしたんだな~!

  ほら、蘭花言った通りだろ?

  大樹だって何かしら、これまでの罪が10や20はあるって」


大樹「そういうんじゃねぇよ!!

   やっべ!とにかく行ってくるわ!」


空「おう!またな!」


大樹「あ、っと…

   二人ともお幸せに!」


空・蘭花「「おう!!」」






蘭花「きっとコノハちゃんの所に行ったんだろうね、大樹くん」


空「それ以外ないだろ?

  あいつこそ一皮むけたって顔してたからな~」


蘭花「上手くいくといいね」


空「あの二人がうまくいかないわけないだろ」


蘭花「そうだね」









大樹「よっ…よう!今帰りか?

   

   奇遇だな、俺も今帰る所なんだけど…

   ついでだし…一緒に帰らねぇか?」







大樹「な、なぁ…

   昨日の返事…、今しても…いいか?」







大樹「あの後沢山お前の事を考えてた。

   俺も…、俺もお前が好きなんだ

   …。

   俺と付き合って欲しい!」







コノハ「うん!」(半泣き)






終わり






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