Arc 1 ― 第5話--『トーク』
バグが発生して、第5章と第6章が消えてしまいました。残念ながら、日本語で保存されている場所がなかったので、すべてを再編集する必要がありました!
**マックスはまだ自分が置かれた状況を理解していない。**
「俺の家に来ればよかったじゃん!なんで誘拐なんかするんだよ?家族が心配するだろ…失踪したと思われるぞ!」
アンバーは彼を鼻で笑った。
「まさか普通にドアノックしろって?」
「あー…それは考えてなかった。でも誘拐までする必要あった?」
「残念ですが、マックスさん。あなたが『ヤハウェ』だってことはできるだけ秘密にしておく必要があるんです。安心してください。家族には手配済みです。心配させません。約束します」
「でもアンバーさんがすぐ気づいたんだから、他の奴らもわかるんじゃないの?」
「いいですか、マックスさん。あなたの力を感知できるのは私だけじゃありません。ヤハウェを殺した『終わりの神』と呼ばれる者もあなたを感じ取れる。創造のエネルギーを感知できるだけの力を持つ者ならね。そしてソフィアを送り込んだのもあの男です」
トーマスは違う反応を期待するようにマックスを見つめた。
「なんでそんな目で見るんだよ?」
「『終わりの神』って名前…何も思い出さない?少なくとももっと深刻な表情になると思ったけど」
「正直、何も感じない。混乱しかない」
トーマスはがっかりした様子だった。
「前世の名前を聞くと記憶が戻ったり、何か感情が揺さぶられることもあるんですが…」
運命の女神アンバーがトーマスを遮った。
「今『説明』してるの?もう…私は出発準備するわ。あなたの長話に付き合ってらんない」
トーマスはため息をつき、マックスに戻った。
「とにかく、あなたの正体を知ってるのは私とあなた、創造の守護者たち、ネオ、終わりの神だけ。あとソフィアもね。生命の女神が興奮して叫んじゃったから…まあ今はどうでもいい。終わりの神にはバレてた」
「ソフィアはあいつ(終わりの神)と繋がってるのか?『新帝国』とか叫んでたのを覚えてる」
「ええ、彼女を送り込んだのも終わりの神。新帝国を創ったのもあの男です。ソフィアとは以前にも遭遇しましたが、普段は単独行動…まあ『完全な』単独じゃないけど。今回は試しに送り込んだんでしょう」
「待て待て待て…バレてるんなら隠す意味ある?」
「終わりの神だけが問題じゃない。あなたがまともなレベルで力を制御できるまで、これは極秘にしておくべきです。安心してください、あの男が真実を広めることはありません。独占したがるタイプです。今は目立たないように。ただし知っておくべきことは山ほどあります。これを我々は『説明』と呼んでいます。転生した神々が力と記憶を取り戻すための会話です」
「トーマスさんもこの『説明』を受けたの?」
「はい、私も。さあ、ここで立ち話よりはましな場所に行きましょう」
「待って!行く前に聞きたい。なんで俺が必要なんだ?全部放り出いてついて来いって?会えて光栄だけど、家から何光年も離れた場所に行けって無茶だろ」
「マックスさん、あなたには責任があります。神としてだけでなく人間としても。我々は皆これを経てきました。創造のチームに加わるだけでなく、人々を救うためにもあなたが必要なんです。今、世界は分裂と戦争の状態。全てを元通りにするために力が必要なのです。約束します…とりあえず一緒に来てください。人間の太陽が昇る前には戻します」
マックスは混乱しながらも心で思った。
「わかったような…でもやっぱり自分の家に住みたいよ」
トーマスは微笑んだ。
壁に扉が現れ、マックスは幻覚かと思いながらもトーマスに続いた。宮殿のような廊下が広がるが、ドアはどこにもない。
「ご覧の通り、全ての部屋がこんな豪華な廊下で繋がってるわけじゃありません。客用だけです。誤解しないでくださいね…『作りたくなかった』わけじゃなく、誰も見ない部屋に必要ないと思っただけです」
(ここは噂通りだ…創造の守護者たちの住処。まさか本当に来るとは…全員に会えるとは。あれ…生命の女神は?)
「待って、生命の女神は大丈夫なの?」
「心配いりません。彼女は自分の部屋で休んでいます」
「よかった…俺のせいで死んだかと思った」
「マックスさん、我々を本名で呼ぶ癖をつけた方がいい。もうあなたは普通の人間じゃないんです」
「人間の名前ってあるの?」
「もちろん。我々も元はあなたと同じ…真実に気づいた人間です。私の人間名はトーマス。生命の女神はエミリー、運命の女神はアンバー。私が最初に目覚めました」
「だから創造の守護者のリーダーなんだ」
「正確には違います。単に私が最初に地上に現れただけ。他は後に続きました。リーダーじゃありません」
ロボットの女性音声が船内に響く。
**「出発準備完了」**
船が急加速し、マックスは吹き飛ばされた。
「アンバー!わざとだろ!話の途中だぞ!」
トーマスがマックスを助け起こす。
「大丈夫ですか?アンバーは…個性的なんです」
「ああ、平気…けどまだわかんないよ。どこに行くんだ?」
「さっき言わなかったっけ?忘れてたかも。あなたの後継者に会いに行きます。『新パンテオン宮殿』へ」
「地球を無防備にして大丈夫なのか?」
「そう単純じゃありません。人類が思ってるほど我々は『地球の』守護者じゃない。あそこにいたのはあなたを待つためだけ。ついでに隕石を止めたり戦争を調停したりして『らしく』振舞ってただけです」
マックスは目を見開いた。守護者たちが守ってたのは地球じゃない…彼が生まれると知ってたからだ。
「じゃあ地球のことなんてどうでもいいの?」
「そう単純じゃない。我々は地球だけじゃなく、全てを助ける存在なんです」
突然アンバーの声が新しい扉から響いた。
「トーマス!ネオからよ。話があるって」
トーマスは最悪のタイミングという顔をした。
「マックスさん、少し待って。まだ話すことは多い。船内を見て…って、長引かなければいいけど。彼女は話好きで」
マックスはどうすればいいかわからなかった。ドアのない壁だらけの廊下。仕方なく窓の外を見る。
光年単位で離れた宇宙に驚愕する。
「こんなに速い船初めてだ…」
さらに加速し、光さえ届かない闇に突入。ワームホールかと思った瞬間、再び光が差した。自ら輝く惑星と、宇宙を浮遊する人々が見える。
**「神々の界域に到着」**
(ここは…?あの人々は神なのか?)
外部から轟く声。窓の外に三人の影。
「停止せよ!新神聖軍名において、本船を捜索する!」
アンバーが制御室から怒り狂って出てくる。
「毎度こうだ!信じられない!」
「あれは誰?」
「トーマスは『説明』してないの?ボブ君」
マックスは顔を赤らめた。
「マックスだよ、ボブじゃない」
「どうでもいいわ。あれは新神聖衛士。我々をイラつかせるのが仕事よ」
アンバーが壁に触れ、扉が出現。外の衛士は青ざめた。
「今回は何の用?」
「千回目だろうが!我々が通る度に止めるな!」
「申し訳ありません!任務でして…不審な船は全て検査せよとの命令が」
「『不審な船』?創造の守護者の旗艦が?」
衛士のリーダーが震えだした。
「万、万謝します!お邪魔しました!どうかご容赦を!」
アンバーが扉を閉めると、マックスが窓に張り付いていた。
「何か面白いものでも見つけた?」
「い、いや!ただアンバーさんのやり取りが見たかっただけ」
突然マックスの足元にポータルが開き、冷たい風が吹き上げた。
「わっ!」
「ふふっ、からかっただけよ。船、新パンテオン宮殿まで自動操縦で」
**「新パンテオン宮殿まであと5分」**
「マックス、悪いけどエミリーを起こしてきて」
「生命の女神を?僕が?」
「そうよ、ボブ…じゃなかったマックス。トーマスのところに行ってくる。ネオになんで今頃連絡してくるのかしら」
アンバーが去り際に振り返った。
「あ、彼女を見つける方法だけど…考えながら壁に触ればいいの」
マックスは壁に向かった。
「考えながら触る…?」
エミリーのことを考え、壁に手を当てると、新しい扉が現れた。
「できた…?」
扉の向こうではトーマスが誰かと話していた。
「何度言えばわかる?本当にあの方です」
(トーマスだ…違う部屋か)
「間違えたみたい」
するとトーマスの声が聞こえた。
「まだ力を制御できない。理由がわからない」
「はい、はい、わかってます。我々が力を取り戻した時は、少なくともある程度はコントロールできたし、記憶の断片も戻りました。でも彼は何も覚えていない。間違いなくヤハウェです…戦いを見ましたから」
(僕のことを話してる…?)