第1話「水」
「想像力というのは、一番の武器であり一番の強敵であり一番の理解者である」
【ドートン・コードライン】
(・・・っ痛っつう、、、。)
そう思って肩に付いた土を払い落とす。まさかここで足を滑らせて転んでしまうとは、彼は滑らせた時に受け身を取ろうと腕を地に都合としたが間に合わず体だけを捻り衝撃を最小限に抑えようとしていた所だったが、上手くいかず地面に落ちてしまった。
「何やってんだよアルト」
そう言って彼の上にある太陽の光を遮るように青年が言う
「随分と盛大に転んだな、この前の町の劇団より上手いじゃないか」
青年は少し高ぶった声で言う
「いや、ただ転んだだけだよ」
彼は言う。
彼はアルト、そのくるっとした癖のある髪には木くずが付いていた
「おい、髪の後ろにゴミついてんぞ」
青年の声はまだ高ぶったままだ
言われてアルトは掴むように手で後ろ髪に触った
「取れたか?」
「いやダメだ、もっとこうバーンと!」
アルトの後頭部に静電気のような痛みが走る
「痛てぇな何すんだよ」
「これで取れたぜ」
「他にも方法があったろザイン!」
アルトは言う
「へへ、このザインが払ってやったんだぜ、ありがたく思えよ」
青年はザイン、アルトの友人だ、背は僕より高く髪が蒼くて目が紅い
アルトとザインはこの国に住む商人の見習いだ、今は親方の使いで依頼をこなした帰りの道で寄り道をしながら帰っているところだ。
「にしてもまだ使い道がない石がこんなにいい金になるなんてな、親方も俺らにもおつかい代くれるかな」
手を組み頭の後ろに置く
「そういってこの前の酒場で依頼された納品物に手を出したのバレたからダメなんじゃないか?」
アルトがすぐに答える
「やめろその話は、思い出したくないことまで思い出しそうだ」
・・・ザインの顔色が真っ青になっている、一体何があったのだろか。
「それが嫌ならもう頼まれた品に手を出さない事だな、あの時だって相手が親方の行きつけ酒場じゃなかったらお前は今ごろ投獄されてるぞ」
「だってあの店のリンゴ酒が旨いのはお前も知ってるだろ?」
何を言っても駄目なようだ、これは反省していないと親方に伝えたほうが良いのだろうかと思ったがもうダメのようだ
そんな雑談をしていると僕らの国が見えてきた
「なぁ、町に入る前に一戦やろうぜ」
ザインが一声かける
その掛け声にアルトもやれやれという呆れた顔をするが、その内心はとても喜んでいる。
「しょうがない、やってあげるよ」
少し離れてお互いは向かい合う。
ザインはポケットから石をアルトに見せて言う。
「この石がそこの川に入ってから勝負開始な!」
「いいよ、いつでも来な。」
スカした態度でアルトの首元に巻いたスカーフが風に煽られてが少し笑ったような顔を見せる
ザインが投げた石が太陽の光を隠して一瞬空中にとどまって《ジャボン》っと水しぶきが上がる
『勝負!!!』
ここは【ヒノア公国】僕らが住む国だ