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男の性

 自宅に帰った俺は今、晩御飯を済ませて机の前で仁王立ち。

 左側には戸田さんからもらったチョコレート。右側には今田さんからもらったチョコレート。小さかったものの、まさかの戸田さんからもらったチョコレートもネットで調べてみたらそれなりの値段でついさっきまで普通に驚いていたところ。


 そして今ちょうど両方のチョコを一口ずつ味わったところではあるのだが...。


 美味しい。のはもちろん当たり前だ。


 いや...本命だなんてもちろん思ってはいないし、思ってはいけないことは理解している。そう。自分が彼女達から好意を持たれるレベルの人間ではないことはしっかりと弁えている。


 ただ、嬉しさを男としてあえて抑えずに、あくまで絶対にありえないことを前提に妄想をさせてもらうと。


 長くて綺麗な黒髪が似合いに似合っている美女、戸田さん...もし彼女と付き合ったら、普段クールな彼女が時折周りに見せてくれるあの笑顔をもっともっと、いや、ずっと見る事ができるということなのだろうか。彼女はしっかりとしているし、あんまり周囲に隙をみせるタイプの女性でもないけれど、いい意味でそういう隙も彼氏にはさらけだしてくれるのだろうか。とりあえず、最高だな。育児とかにも絶対に真面目そうなタイプだし、確実にいい母親にもなりそう。まさに完璧。


 まあ、いくら何でも、俺が彼女と付き合ったり、結婚できる未来がないことはあらためて俺自身が一番よくわかっていることだが、お返しはかなり奮発しようとは思う。そもそもそれ目的な可能性も多いに高いし、絶対に喜んでもらいたい。あの笑顔をまた見るために。


 とりあえず、今はこれがもし本命だったらどれだけ幸せだったかという気持ちを妄想の中で噛みしめよう。そうではないことは本当にわかっているが、妄想する自由は誰にだってある。


 そして今田さん...もし彼女と付き合える運命があった場合、考えただけでもやばいな。それはつまり、常時彼女にドキドキさせ続けられるということだものな。誇張抜きで心臓が持たないだろう。彼女のあの甘い声で「好き」なんて言葉を言われてみろ。確実に心臓が破裂する自信がある。結婚すれば毎日「あなた」なんて呼ばれて...

 あの彼女のあざとさが彼氏や夫に一途に向けられるんだものな...


 ああ、やばいな。本当に俺。


 酒を飲んでいるわけでもなく、今年30になるいい大人がシラフでこれは痛すぎる。ほんと妄想がすぎる。まあ、毎年あんな夢をみるぐらいだからわかっていはいたが、頭がやばい。その一言。


 まず、俺が彼女たちみたいな完璧な女性にモテる理由がないし、いきなりそんな訳の分からないモテキが来る理由も見当たらない、と言うかそんな理由は普通に存在しない。


 だから、ここで勘違いなんてしようものなら、落ちた時の落差がもう半端じゃないだろうし、既に以前の彼女にプロポーズ成功からの浮気をされるといった最上級の落差を味わっている俺はもうああいう思いをしたくはないし、するつもりもない。


 相手が彼女たちみたいな完璧な女性たちだから尚さらだ。


 でも、実際問題、彼女達と付き合ったり結婚する男は確実に現れるわけで。もう現れている可能性もあるわけで、本当、考えただけでも、ただただ羨ましい限りだ。


 でも、そう考えると、ふと頭をよぎったが、本来はあいつも、あっち側の人間なんだよな...。


 同期の()() ()()


 あいつも普通に超がつくほどの美人と言っても過言ではないし、決して悪いやつではない。


 あいつは、そういうのに興味がないのかもしれないと思っていた時期もあったりはしたけれど、実際はマッチングアプリに登録して、割とまじめに過去に活動していたのも知っているしな。本人はバレていないと思っているのだろうが、普通にバレていたから...。


 でも何でだろう?あいつほどの女性ならマッチングなんて容易いはずだが、やはりあの気の強さが仇になって彼氏ができていない?それともできてもすぐに別れたりするパターン?それともあいつ自身の理想が高すぎるとか?


 まあ、最近はそういう活動をしている噂も聞かないし、もしかしてもう諦めたとか、興味がなくなったとかだろうか。


 とりあえず、もう帰りの電車に普通に乗っていたから今回は断ったけれども、こんな金曜の夜にそれもバレンタインの日に俺を飲みに誘う時点で色んな意味でもう終わっているとは思う。というか、先週も誘われて実際飲んだからな。最近、何故か多い。ストレス的なものが溜まっている系か?


 それか、単純に暇なのかな、あいつ...。


 でもそうか。考えてみると同期の奴らもほとんど結婚してしまって、暇そうな独身かつ愚痴吐きサンドバックにできそうなのは確かに俺ぐらいか...。


 俺と飲むのが一番落ち着くとか酔いながら言っていたこともあった気がするが、やはりそういう意味で完全に男としては見られていないこともでかいのだろう...。


 まあ、別にあいつはああ見えて酒を飲んだら、しおらしくなるタイプの人間だから別に迷惑はしていないからいいけれども。


 でも、色々と大変だな...。あいつも


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