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14/21

寝不足の朝


 昨日は碌に寝れなかった。

 今日もかなり忙しいと言うのに、体力的に真剣にやばい。

 

 【ゆうさん】と、あの後も引き続きメッセージのやりとりで、また尋常なぐらいに盛り上がってしまった...。


 そして、気がついたら時計の針は朝の3時に...。


 本当に申し訳ないことをした。彼女のことも考えて、俺の方からどこかでやりとりを切るべきだった。


 ただ、正直なところ。彼女の方から質問を投げかけてくれたり、話を広げてくれることも多く、それを強引に切るなんて失礼なことはできないし、普通に楽しくてそんな感情は一ミリたりともわかなかった。たまたま尿意を催した時に気がついて我に返っただけだ。


 おそらく、あの時はアドレナリンやドーパミンがドバドバに脳から出ていたのだろう。おかげで、今はその反動でみごとに脳が憂鬱な感情に支配されている状態だ。


 とりあえず会社には着いたが、もうすでに帰りたいと言う気持ちで脳がいっぱい。


 あぁ、頭がぼーっとする。


 今もエレベーターに乗っているのだが、何か酔いそう。

 と言うか、どうせなら故障でもして一日中閉まってくれたら仕事もしなくて済むのに。


 いや、それはそれで地獄か...。

 

 って、何だ。


 ふと、隣を見ると知っている顔の美女がいる光景。


 なんか、らしくもなく覇気がなさすぎて全然気がつかなかった。


 新木...だよな。


 いや、別にメイクとかもいつも通りだし、外見上はいつもと変わらぬ新木ではあるのだけれど、こんなにぼーっとしている彼女は初めて見る。


 「なに? 私の顔に何かついてる?」

 「いや、別に...」


 あれか? 夕べはお楽しみでしたね。的な奴か?


 まあ、そんなことを口に出そうものなら、さすがにぶん殴られるだろうし、普通にセクハラにもなるだろうから何も言わないが、とりあえず珍しいのは珍しい。


 でも、何だかんだで眠れずに俺がこんな状況になってしまっているのはあの時以来か。


 地味に前の彼女に浮気されて別れた時以来かもしれない...。


 そういえば、プロポーズリングの件。断ったらさすがにあれ以降は彼女から連絡が来なくなったな。 


 まあ、本当に自由に売ってくれたり何でもしてくれればいい。もう所有権は彼女のものだし、俺には関係ない。


 って、もしかして、よくよく考えれば新木も彼氏にフラれたとかそっち系で...


 「だから、何よ...」

 「い、いや別に...」


 ほら、機嫌悪い...。

 

 まあ、確かめようにも、それこそ今の機嫌の彼女にそんなこと聞いたら殺されるだろうから何も言わないけれど。


 もうすこし、奥ゆかしい態度はとれないものだろうか...。

 その睨んでくる顔も普通に美人なのがそれはそれで何かムカつくし...。

 それを満更でもないと一瞬でも感じてしまった自分がさらにムカつく....。


 本当に、つい数時間前までメッセージとは言え、仏のような【ゆうさん】とやりとりしていた分、そのギャップと言うか、彼女との差が顕著にもう...。


 でも、【ゆうさん】のことを思い出してやっぱり思ったけど。とりあえず、一応は昨日のこと謝るだけ謝っておくか。


 『昨日はほんとすみません。ちゃんと仕事行けましたか? ゆうさんとお話するのが楽しすぎてつい時間を忘れてしまっていました。反省します』


 これで送信っと。


 でも、ほんとちゃんと仕事行けたかな...。これで遅刻でもさせてしまったら、いたたまれなさすぎる。


 あぁ...それにしても眠たいし、しんどい。今日は真剣に終電コースか...。


 って、何だ。


 いつの間にか、さっきとは打って変わって今度はスマホを眺めながら何やらニヤニヤと嬉しそうに微笑んでいる新木の姿...。


 到底さっきまで俺のことを睨んでいた奴と同じ人間とは思えない...。


 本当にその微笑みの一かけらでもいいから俺に向けてくれたら世界はもう少し平和になるのに。


 と言うか、もう時間は経ったとはいえ、よくプロポーズまで済ました彼女に浮気をされてフラれた男の隣でそんなノロケ顔ができるな。


 と言っても、こいつは俺がフラれたこと知らないか。今年からは同じ階とはいえ、部署も変わって離れたし、もし知っていたら煽りの一つや二つ楽しそうに俺に口にしながら傷口を抉ってきてもおかしくないからな。それがないということはおそらく知らないということだろう。


 何か。さらにムカつくな。結局、彼氏とは別れてないっぽいし。

 何だ。そのらしくもない可愛らしい表情。彼氏の前では常にそういう感じですってか? よくわからないが、それもイライラ。


 何もかも、色んなことにさっきからイライラ。おそらく寝てないからだろうな...。


 って、【ゆうさん】からの返事か?


 いや、違う。


 あぁ、そっちか。場所が決まったのか。


 とりあえず、オッケーっと。


 そう。今俺のスマホに通知があったのは、【ゆうさん】ではなく、大学時代の男友達からのlineだ。


 何かよくわからないが、昨晩、いきなり今週末に飲みの誘いが来た。当時はそれなりに仲がよかったとはいえ、卒業してからは全く連絡を取っていなかったからちょっと驚きはしたが、まあ、今週末は断る理由もなかったからオッケーをした。


 でも、本当に何でだ? 誘ってもらえたのは嬉しいが、特にこのタイミングっていう理由が見当たらない。


 まあ、こういうのは気分でいきなりっていうのも往々にしてあるか。


 とりあえず、金曜日はそういうことで早く帰れるように、今週はもう木曜日まではずっと残業コース確定だ。


 あぁ、しんどい...。


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