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7.頼りに


 ここは平和だ。

 魔物にもなかなか出くわさない。

 戦う必要も少ない。

 やっぱりあそこは最前線だった。


 今考えれば納得できる。

 戦いが少ない場所に名門なんて呼ばれる家はできない。

 英雄なんて呼ばれる人は必要ない。

 きっとここならお父様は必要ないんだろう。

 エリも戦う必要はない。


 きっと、ここならあんな終わり方にはならない。

 あんな別れは経験はしなかった。


「どうしたんですか?」

「なんでもな〜い!」


 そして、こんな出会いもなかっただろうね。

 どちらが幸せだったんだろう。

 どうすれば幸せになれたんだろう。

 どうすればいいのか私は知りたいな。

 それを知れたら、きっと私は幸せになれたはずなのに。


「姫〜! 構ってよ!」

「はいはい」


 やめた。

 そんなこと考えても無駄だし。

 時間を無駄にするだけ。

 それに、次の楽しいことは待ってくれない。


「ほら、姫! もうすぐそこですよ!」


 次の目的地はすぐそこに見えている。

 ここら辺では1番だとリンは言っていた。

 前に他所から来た人からそう聞いたらしい。

 場所もその時に書いて教えてくれたらしい。

 

 どんな出会いがあるんだろう。

 どんな気持ちになるんだろう。

 少なくとも、あんなことにはならなきゃいいな。


「これ、勝手に入っていいの?」

「いいんじゃないですか?」


 無駄に大きい入り口と無駄に高い壁。

 見張も何も、そんなものはどこにもいない。

 だけど、人の気配はすごく感じる。

 この向こう側には多くな人が住んでる。

 どうなってるんだこれ。

 こんなので大丈夫なのかな。


「大丈夫なの?」

「何がですか?」

「いやほら、魔物とか」

「これから、進めば進むほどいなくなりますよ」

「悪いやつとかは?」

「そんなの見分ける方法あります?」

「それもそうか……」


 やっぱり、そう言うことらしい。

 この世界にも平和はある。

 私達は知らないで戦っていた。

 戦うことを求められてきた。


「まぁ私も、本当のところ何も知らないんですけどね」

「……」

「と、とりあえず行きましょう!」


 その時の私はすごい顔をしてたんだと思う。


 ◇


「すごい……」

「すごいですね……」


 目の前で広がっている景色は、私がいた場所と同じ世界だとは思えなかった。

 活気に溢れていて、人が多い。

 これだけの人がいたとしても、魔物に襲われる心配なんてしてないってことになる。

 それが私には考えられなかった。


「ど、どうします?」

「どうするって言っても……」


 正直、どうもできない気がする。

 ここでお金を稼ぐといっても、こんな世界で私にできることがあると思えない。

 私には戦うことしかできないから。

 

 何をしたらいい。

 どうしたらいい。

 選択肢を与えられて困惑するなんて初めてだった。


「とりあえず、もっと歩いてみよう……」


 それしかいうことはなかった。

 でも、


「助けて!」

「……え?」


 目をうるうるとさせた小さな女の子。

 私の裾を掴んでる。


「どうしたのかな?」

「あの、あの」


 リンを見たらふくれてる。

 とりあえず、後回しで問題ない。


「おねぇさん達、暇ですよね!!!」

「そ、そうだね……」


 結構酷いことを言われてる気がするけど、子供だから許すことにする。


「お店を手伝ってください!!!」

「えっと〜……」

「姫! いいじゃないですか! なんか旅っぽいです!」

 

 機嫌直ったんだ。

 すごい切り替えの早さ。

 

「えっと、リンがいいなら」

「ありがと〜! きてきて!」

「どんなお店なの?」

「食べ物屋さん!」


 腕を引っ張られる。

 本当に人が多い。

 周りの街並みはとても綺麗だ。

 ほとんど歩いていないはずなのにそこで止まる。

 そして、ついた先のお店とやらは、


「ここだよ!」


 めちゃくちゃな数の人がいた。


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毎日は難しいですが、できるだけ18時から20時の間で投稿できるようにします。

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