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いつも道理の平常経営

書きたくなったから書いた。

後悔はしていない。

前作は完全に停止して涅槃の彼方に飛んでいきました。

男が路地を走っている。

20代で金髪の如何にも不良といった姿の彼は後ろを時折チラリと見ながら全力で走っていく。

路地を抜けるとあちこちに車が無造作に乗り捨てられていて黒い煙を噴いているのもある。

その側では倒れた人に覆い被さって生々しい音が聞こえてくる。

人が人を食べている。

否、それはもう人では無い。

ゾンビと呼ばれこの文明社会を崩壊させた。

奴らは鈍いが力は強くしつこく追い回し追い詰める。

視界に町を出る道路に一件の店があった。

看板にネオンが取り付けられていて、それにはこう書かれていた。


『世紀末トレーダー』


平時なら正気を疑うような名前だが男は急いで向かう。

男の目的はそこだからだ。

店は頑丈な塀と鉄扉で囲んでいるので中にゾンビは入ってこれないだろうと思いながら、まばらに居るゾンビに捕まれないようにジグザグに走り、入り口に向かう。

扉を開けて閉める。

閂をかけて荒い息を吐く。

ゾンビが扉を叩いているがその程度では破れない。

座り込みそうになりながらも周りを見渡していく。

塀の中は意外に広く、車庫や物置、自販機まで置いてある。

そのうちの一つに大きい建物があったのでそこが本命だろうと考えその建物に歩いて入る。

金属製の扉を開けると直ぐにカウンターがあり小さい商店のような感じではあった。

違うのは上半分が金網に囲まれていて小さい受け取り口と金庫にあるような重厚な金属の扉が端に着いている所だ。


「いらっしゃいませ」


店の奥から女が出てきた。

スタイルがとても良く誰もが振り向く美貌を持っている。

メイドの格好をしている極上の美人が相手とは思わなく、男は生唾を飲みながら聞く。


「なあ、ここは金さえ払えばどんな物でも売るって聞いたんだが?」


男は少し緊張した声で女に問いかける。


「はい、人身売買・売春・臓器売買以外なら取り扱っています。」


ニコリと笑いメイドは続いて解説していく。


「本店は原則現金での取引となっております。カードや金券といった物は取り扱ってございません。現金をお持ちで無くとも換金可能な希少価値の高い物、例えば時計やダイヤモンド等の物でも可能でございます。」


仕草、声音が男の本能を刺激して襲いたくなるよう衝動に駆られるがグッと我慢する。


「当店で扱っている品物ですが、食料、水、燃料各種、調理器具、消耗品、サバイバル用品、衣料品、医薬品、武器、防具、建材が揃っています。」


「へへへ、そうかい。ところで貴金属の換金もしているなら、物は今も有るのか?」


「はい。現金を持ち歩くよりも皆さんその方が安心するようです。何か見ていきますか?」


「・・・。そうだな、おすすめを頼むぜ。」


メイドは屈んでカウンターの下を探し始める。どうやらカウンターの中も商品を入れいているようだ。

男は静かに笑い自分の腰に隠していた物を引き抜きメイドに向ける。


「動くなっ!!」


男の手に持っているのはニューナンブー。

日本の警察が使っている拳銃だ。


「いいか?変なことすんなよ?ゆっくり起き上がってそこを開けな。」


男が指しているのはカウンターと待合室を隔てている重い金属扉。

そこから中に入って物色しようと考えている。

ついでにこの女で獣欲も満たそうと考える


「お客様、店内での暴力行為は禁止されております。」


相変わらずの態度で接する。

普通なら恐怖を感じるはずだが、彼女にはそれが無い。


「いいからさっさとしろよ!!ホンモンだぜ!弾も入っている!」


男は本気で向けている。

血走った目と上ずった声で怒鳴り散らす。


「暴力行為が認められれば強制排除されますが、よろしいですか?」


これだけ脅しても今までと同じ態度に男が切れる。


「うるせぇ!!ゴチャゴチャ言わずい言う通りにしろっ!!」


男が上に向かって銃を撃つ。

パンッ!と音がした直後。

ドンッ!と響く音が続いて鳴る。


「あああ!!!」


男がうずくまる。

何か腹にパンチが当たったみたいな感触がして熱い。

触ってみると濡れていて赤かった。

続いて激痛が襲ってくる。

そこで男に何が起きたか分った。

撃たれたと。

何処で撃たれたか見ると、カウンターに銃身が出ていた。


「残念ですがお客様には出て行ってもらいます。」


そうメイドは言うが店の奥からまた人が出てきた。


「何か、銃声がしたけど?」


その男は高校生位で何処にでもいそうな顔だった。


「あ、マス・・店長。お客様の暴力行為があったため制圧しました。」


「ええ?ああ、ああ。折角前綺麗にしたと思ったのに汚れちゃったよ。」


不良の男は痛みに耐えながら自分の拳銃を探す。撃たれたときに落としてしまった。

腕を伸ばせば届く位置に落ちていたので拾おうとしたが。


「ニューナンブーか。どうせ落ちていたか、奪ったんだろうな。」


足で踏まれ取り上げられる。

反撃が出来なくなった不良はもう痛みに耐えられなくなり呻き声を出す。


「外に出しておいて。」


また店の奥から何か出てきた。

それは簡単に言えばロボット、人型のロボットだった。

妙にメカメカしいそれは2体出てきて不良を引きずっていって外に出ていった。


「まあ、こいつは迷惑料代わりに売っておくか。」


銃がパッと消えて続いて半透明な板が高校生の前に現れる。そこにはゲームのアイコンのような物が上に並んでおり、今は箱の様なアイコンが選んである。

その中にさっきの拳銃がしまっているので拳銃を選択する。

そうすると装備、装填、分解と横に出てきた選択の一番下にある売却を選ぶ。

拳銃が消えて自分の所持金の数が増えていのを確認し板は消える。


「まったくこんな事が毎日だったら商売あがったりだな。」


「およそ10日ぶりのお客さんでしたのにね。マスター。」


「今は、店長な。」


軽口を言い合いながら相棒の彼女、アンドロイドに声をかけていく。

この終わった世界で今日も俺はのんびり過ごしている。

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