話し合い1
「おう、起きたか。」
目を覚ますとクライが話しかけてきた。
「…何でいるの?」
「何でってお前、俺たちもここでちょっくら休憩する事にしたんだよ。」
え?いやいや、普通おいていくでしょ。自分たちが戦ってる時にいなくなって寝てたら。
「おいていってくれれば良かったのに。そしたら…。」
「あ、ソラちゃんおはよー。よく寝たぁ!」
私の隣りでレインちゃんが一緒になって寝ていたようだ。
「どうしてここにいるの?」
私はレインちゃんにも聞いてみた。
「えへへ、ソラちゃんの隣が良かったからここで寝てたんだよー。
「そうじゃなくて。何でおいてかなかったの?」
「えー、おいてくわけないじゃん。仲間なんだからね。」
「どうして…。」
おかしい。この人たちおかしいよ。会って数十日の相手をパーティーから抜け出させないし、戦闘中に勝手に抜け出したのに追いかけて仲間だからって。
私には、わからない。
「ソラ、話をしようか。」
するとフウジが真剣な顔で言ってきた。怒ってるのかな。まあ、それが普通だよね。そうなるように仕向けたのは私なんだし。
「その前にご飯!お腹すいた。」
「ふふっ、そうだね。ご飯にしよう。」
フウジは怒ってるように見えたけど、レインちゃんの言葉でいつも通りに戻った。うーん、これはどっちだろう。
そして、レインちゃんはいつものようにテキパキと調理を進めていく。狩ったばかりの魔狼のお肉を捌いて焼き、魔法でパンを温めて野菜と一緒にお肉を挟む。簡単なスープも作りあっというまに食事ができあがった。
簡単な料理なのに味付けが絶妙でいつも美味しい。どうしていつもこんなに美味しくできるんだろうか。
「ソラちゃん、今日のデザートはフルーツゼリーだよ!」
「…え?今日も作ってくれてたの?」
レインちゃんが細かく切った様々なフルーツが中に入ったゼリーを取り分け、その上に一口サイズのフルーツとクリームが乗せられていく。
「…要らなかった?」
「ううん、ありがとう。すごく美味しそう!」
見た目も鮮やかで、これは絶対に美味しい。今日のお菓子は無いと思ってたのに、こんなものを用意してくれていたなんて。
「召し上がれ〜!」
「…おいし〜!!」
たくさんのフルーツを一緒に味わえて、さらにこのクリームがフルーツに合う。最高!。
「ありがとう、レインちゃん。とっても美味しい。」
「どういたしまして!」
私はゼリーを存分に味わって食べた。
少し休憩して食事の片付けが終わると、フウジが『じゃあ話をしようか』と言ってきた。
「まず確認なんだけど、ソラは疲れてたのかな?今日は様子がおかしかったけど。」
「別に疲れてないよ。ちょっと暇だったからサボってただけ。」
私は正直に全部話す事にした。ようやく話を聞いてもらえそうだから。
「そっか。疲れてないならそれはいいよ。」
・・・は?
「いや、よく無いでしょ!戦闘中に自分勝手な行動をしたんだよ。パーティーを追い出すくらいしていいと思うよ!」
私は思わず反論した。私が言えた台詞ではないのだけれど。
「一応言っておくが、俺たちがソラを追い出すことは絶対にないからな。2人ともそうだろ?」
「うん。」
「もちろん。」
クライの問いかけに2人が即答する。
「…どうして?どうしてそこまで言い切れるの?」
「そりゃあな…。」
「うん。」
「ソラちゃんのことが大好きだからだよ!ソラちゃんともっと仲良くしたいし、もっともっといろんな冒険をしたいんだよ!」
「…ごめん。私はこのパーティーでこれからもやっていきたいとは思わない。」
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