vs 自称勇者 sideフウジ
こいつは何を言っているんだ?魔王を討伐する?しかもソラに面と向かって何度も何度も。
しかも何だよそのソラを見る顔は!どうしてソラはこんな奴に優しくするんだよ!
レイン、クライと戦っているのを見て、どんどん苛立ちが大きくなっていく。こんな弱さでよく魔王を倒すだなんて言えたもんだね。
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「フウジは剣の替わりにコレを使ってね。あと、もちろん怪我したら負けだからね。」
「それだけで良いの?」
ソラが渡して来たのは50cmほどの木の枝だ。でも俺は強化魔法が使えるから、これだけでは大したハンデにはならない。
「え?…そうだよね。うーん、どうしよっか?」
「ならソラ、ケンジくんを回復させるついでに強化魔法掛けてきなよ。」
ソラにも俺の思っていた事が伝わった様で追加のハンデを考えた。
「うん。分かった。…フウジ、わざと負けなくて大丈夫だからね。あ、でも手加減はしてあげてね。」
「ははっ、分かってるよ。」
そう言ってソラはケンジくんの所に行き、回復と強化魔法を掛けた。ソラもああ言ってくれたから、勝って問題無いね。
そして俺はケンジくんの前に立った。
「ケンジくん、俺はクライ達みたいに甘く無いからね。本気で来ないと大怪我する事になるよ。」
「大丈夫です!ソラさんに強化魔法を掛けて貰いましたから。もう負ける気は一切しません!凄いです!僕が僕じゃ無いみたいに!」
うん。良い感じに調子に乗って来てるね。…これは楽しそうだよ。
「さっ、かかって来なよ。魔王軍四天王、フウジが相手になるよ。」
「はいっ!そんな枝、すぐにへし折りますよ。怪我しないでくださいね!」
はぁ、本当に分かってない。強化魔法ってのがどういう物なのかを。
そしてケンジくんは俺の枝に向かって剣を振り下ろした。
パキンッ
「…え?どうして?」
そして案の定、ケンジくんの剣は綺麗に折れた。
「そんな唯の剣で強化した木の枝が折れる訳無いよ?」
パキンッ
今度は俺からケンジくんの剣に木の枝をぶつけ、さっき半分ほどになった長さが更に短くなった。
「…そ、そんな。」
パキンッ
そして更に短くなる。もう刃は殆ど残っていない。
ボキッ…カラカラカラ
最後に柄当て、そのまま剣を振り落とさせる。
「はい、じゃあ剣は終わり。次は魔法だね。好きなだけ打って来なよ。」
俺はそう言い、木の枝を放り投げた。
「…僕の魔法も強化されてます。魔法では負けません!」
そう言ってケンジくんは魔法を撃ってきた。風魔法、火魔法、水魔法。そして俺はそれを全て風魔法で相殺した。
「…そんな。でもそれなら! 『超炎熱地獄』!!」
ドゴォーン!!
「僕が教わった最強の魔法です。流石にこれならフウジさんだって!」
「うん、凄いね。でも当たらねければ意味ないね。」
「…と、飛んでる⁉︎」
俺は魔力を操作して、足から一定の風魔法を出す事で空に浮いている。正直言ってこんな強力な魔法が使える事には驚いたけど、今の俺には通用しない。1年くらい前だったら避けるので精一杯だったかもしれないけどね。
「ほら、当ててみなよ!」
「くっ!風斬!風斬ッッッツ!!」
ケンジくんは風魔法をひたすら撃ってきた。相殺するのは簡単だけど、それじゃあつまらない。俺は全てを空中で避け、飛びまわった。
「どうして当たらないんだ!」
「そろそろこっちからもいくよ。そうだね、さっきからケンジくんが使いまくっている魔法にするよ。風斬!」
シュンッ
「ぐあああああぁぁ!!」
俺の魔法は一瞬でケンジくんのもとに届き、彼を斬りつけた。ケンジくんみたいにただ撃つだけじゃ無い。スピードを上げて切れ味も増してある。
そして俺は致命傷にならない位置に何発も撃ち込んだ。
「ぐああぁ!!!もう止め…。」
「ストォォォォォォォップ!!!!」
流石にやり過ぎだったみたいで、すぐにソラの停止の合図が入ってきた。そして俺は攻撃を止めて下に降りた。
「もう!ちゃんと手加減してって言ったじゃん!」
「ごめんごめん。ちょっと力が入っちゃったよ。」
ソラは真っ先に俺を叱り、文句を言ってきた。
でも、わざと負けなくて良いって言ったのはソラだよ?って言いたい気持ちもあるけど、今は言うべきじゃないね。
「もぅ、治すの私なんだからね!」
「うん、よろしくね。」
ソラは文句を言いながらもケンジくんを回復させる。
「あ、でも風魔法で飛ぶのは凄かったよ!さすがフウジだね!」
「……! ありがとう、ソラ。」
これが出来る様になったのはソラのお陰なんだよ。ソラがあんな風に飛ぶから、俺も同じように飛びたいと思ったんだ。
「今度競争しようね!ハピネスも一緒に!」
「うん。負けないよ。」
ああ、俺は今もの凄く幸せだと感じている。こんなに嬉しいのは久しぶりな気がする。ソラに認めてもらえた。それが嬉しくて堪らない。
「…フウジさん。完敗です。何一つ勝てませんでした。…どうして。どうしてそんなに強いのに魔王に従うんですか?フウジさんくらい強いなら魔王だって倒せるんじゃ…。」
「レインも言っていたでしょ?俺もレインと一緒で魔王様に惚れてるんだよ。それに魔王様は俺よりももっと強いからね。」
自分で言うのもなんだけど、俺はかなり強くなったと思う。でもそれでも敵わない。だけど確実に差は縮まっている。それだけは確かだと今は自信を持って言える。
…流れでソラに惚れてるって言ってしまったけど、変に思われてないかな?
俺は横目でソラを見てみたけど、ソラの表情は一切変わっていなかった。少しは照れてくれても良いのに。




