作戦開始
私は、今日もとても楽しみにしていた。パーティー辞めたいとか言ってたけど、それがどうでも良くなるくらいに。
だけど何故か今日はレインちゃんが『お菓子作ってきたよ』って言ってこない。
でもこっちから、『今日はお菓子ないの?』とは聞けない。聞きたいけど。催促するのはダメだと思う。
そうやってそわそわしているとクライが『そろそろ行くか。』と言って出発した。
…ああ。今日は本当にお菓子無いのか。
私の気持ちは、どん底に落とされた気分になった。
そして仕方なく、とぼとぼと足取り重く3人について行った。
…辞めたい。 そうだった!辞めるための作戦があったんだった。完全に忘れててたよ。今のモチベーションは最悪だから最高だね。
うん。まずは頃合いを見てサボろう。
私は魔狼の森の入り口でみんなにいつものように強化魔法を掛けた。でも今日はサボる予定で、私が見ていない間になんかあるといけないから、いつもの強化魔法よりも強力にしないとね。
攻撃とスピードは、いつも以上に強化するとばれるからそのままで、防御をいつもの2倍の効果にした。致命傷になりそうなくらい強い攻撃が来た時だけ発動するように、反射魔法も重ね掛けしよう。
「今日はいつもより時間がかかってたね?」
「え?そうかな。…気のせいじゃないかな。」
フウジは意外と敏感なのかな。バレてないよね?勘づかれてないといいけど。
「いくらソラだって毎回全く同じ時間かけて魔法使えるわけじゃないだろ。誤差だよ誤差。」
「そうだよ。せっかく掛けてもらってるんだから、文句言っちゃダメだよ。」
う…。ちょっと心が痛いかも。ごめんなさい、いつもより時間かけました。それにしても、フウジはよく分かったよね。ほんの1秒くらいなのに。
「いや、文句とかじゃなくていつもより魔法の効果が強い気がするんだ。それに、なんか違う魔法も掛けてない?」
「…いや、いつもと一緒だよ。ちょっと失敗して時間かかっちゃっただけかな。」
「…そうなの?…うーん。」
フウジは自分に掛かってる魔法を感じようとしているけど、うまく見つけられないみたい。
でも追加で掛けた魔法は、条件発動型の魔法だから簡単には感じられないよ。常時発動型の魔法に隠れるように掛けたからね。
フウジは少しの違和感を感じながらもそれが何なのか分からなかったから諦めたみたいだけど、気付かれそうになるなんて私もまだまだだね。
それからはいつものように歩いて行き、魔物が出たら対処しつつ中層まで進んで行った。
そこでようやくサボるチャンスが巡って来た。魔狼の群れだ。魔狼が次々と現れ私たちの前に13匹の魔狼が立ち塞がった。
3人と魔狼の戦闘が始まった事を確認して私は静かに離れていった。ちょうど良く大樹があったのでそれに寄りかかり、自らに睡眠魔法を掛けた。効果を2時間に調整して、お昼ごはんの時にちょうどよく起きられるようにした。
「おやすみなさい。」
私は小さくつぶやき眠りについた。
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