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破壊 side フウジ

 

「え?ちょっとどう言う事なのソラちゃん!」

「おい、ソラ!何やってんだ!」

「ソラ、まさか1人で行く気じゃ…。」


 強化魔法を掛けてもらうためにソラの前に集まると、俺たちは結界に閉じ込められた。


「……………。」


 そして、ソラは申し訳なさそうな顔で何かを言い、その場を後にした。


「ソラのやつ、1人で行きやがったぞ…。結局俺たちは足手まといって事なのかよ。」


 クライの言った言葉に、だれも否定することが出来ず、沈黙が流れた。頭では分かっていても、実際にこういう行動をとられると、かなり堪える。しかも完全に不意打ち。一緒に連れて行ってさえもらえないだなんて…。


「レイン、クライ。この結界壊せると思う?」


「壊すって、前にソラちゃんがやったみたいに魔力を放出して無理やりって事?」


 ソラは結界の壊し方を教えてくれたことがある。結界が保てないくらいに強い魔力をぶつけて壊す方法だ。


「うん。俺たちにもできないかな?」


「いや、いくらなんでも無理だろ。あれはソラみたいにアホみたいな魔力がないと。」


「そうだよ。私たちの魔力なんてソラちゃんの魔力量に比べたら足元にも及ばないんだから。」


 クライもレインも半ば諦めた様子で、しゃがみこんだ。でも、俺は諦めたくない。このままここに居れば、ソラがあの強大な魔力を持った魔物を倒した後、結界を解きに来るだろう。それは正直言って凄く悔しい。それに、さすがに今回ばかりは許せない。でも、こんな結界1つも破れないようじゃソラに同じことを繰り返させるだけ。


「俺がこの結界を壊す。2人とも協力して!」


「…珍しいな、フウジがそんなに熱くなるなんて。はぁ、いっちょやってみっか。俺は何をすればいいんだ?」


「私も協力するよ!ソラちゃんにガツンと言ってやるんだからね!」


 クライとレインも悔しいのは一緒みたいで、すぐにやる気になってくれた。


「ありがとう。作戦は簡単だよ。2人の魔力を俺が貰って、3人分の魔力を剣先に凝縮させて突く。一発勝負だけど、絶対に俺が3人分の魔力をコントロールしてみせるから。」


「分かった。任せるよフウジ!」


 ソラみたいに単純に魔力を放っただけでは、俺たちの魔力を合わせただけでは到底結界なんて壊せない。だけど、一点に集中すればそれに近い魔力量まで持っていけるはずだ。かけみたいな方法だけど、今の俺たちにできることはこれくらいしかない。


「なぁ、話の腰を折って悪いが、魔力ってどうやって渡せばいいんだ?」


「「……え?」」


 まさかのクライの発言に俺とレインは固まってしまった。それができないなんて、この作戦以前の問題だったから。


「いや、なんでそういう反応するんだよ!俺が魔力使ってる所見たことないだろうが!」


「え?でもさっき魔物の魔力を感じたって言ってなかった?」


 クライは確かにそう言っていた。魔力を感じられるんだから、魔力の譲渡くらいできるはずなんだけど。


「は?魔力じゃねぇよ。威圧感的な何かを感じたんだよ。」


「…それって魔力だよね。」


「いや、違うだろ。なんかもわーって感じで漂ってくるっていうかだな…。」


「「魔力だよ!!」」


 まさかクライは魔力を感じているにも関わらず、それを魔力と認識していなかっただなんて…。


「じゃあ、そのもわーってのを自分で出してみてよ。」


「ぁあ?…こうか?」


 クライはそう言うと、体から魔力を放出し始めた。


「できるじゃん。それが魔力だよ。」


「魔力は多かれ少なかれ誰でも持ってるんだから、クライ程度に魔力があればできて当然だよ。」


 クライは俺たちに比べると魔力が多くないけど、それでも魔法が使えるくらいの魔力量はある。だだそれを全く認識していいなかったのは残念すぎるけど。


「じゃ、じゃあ俺も2人みたいに魔法を使えるって事なのか⁉風魔法とか水魔法とか!」


「きちんと練習すれば出来るようになると思うよ。」


 簡単な魔法なら訓練しさえすれば、使えるようになる。クライは魔力が無いと思い込んでいたせいで訓練さえしたことが無かったみたいだけど。


「まじかよ!よっしゃー!俺だけ魔法使えなくて悔しかったんだ。これで俺もソラみたいに…!」


「「それは無理!」」


 いくら訓練したところで、今の状態からソラみたいになるなんて夢のまた夢。そもそも絶対的に魔力量が足りないからね。


「じゃあ、気を取り直してやるよ。2人とも俺の肩に手を置いて魔力を渡して。」


「うん。」

「おう。」


 そして、2人は肩に手を置いて魔力を渡し始めた。右肩からはレインが扱いやすいように一定のスピードで丁寧に。左肩からはクライが不規則に魔力を渡してくれた。それに俺の魔力を追加して、全てを剣先に集中させた。


「行くよ。…はっ!」


 とんっ… ピキッ…バリバリバリッパリンッ!


「ふう、成功したね。」


「さすがだぜ、フウジ!」


「やったぁ!これでソラちゃんに…。ふふ…ふふふふ!」


 なんとか成功したようで、結界を破壊することが出来た。思ったより時間がかかってしまったから、ソラはもうあの魔物を倒してしまったかもしれない。でも、ソラが結界を解きに来る前に壊すことが出来て本当に良かった。


 …というかもう倒してるね。あの強大だった魔力が凄く小さくなっているし。2人は気づいてていないみたいだから、水を差すのはやめておこう。もともと結界を破壊することに魔力を使い切ってしまった時点で、ソラが倒してなかったらどうしようも無かったんだけどね。


「フウジ!早く行くよ!ソラちゃんにガツンと言ってやるんだからね!」


「うん、分かってるよ。」


 レインは当初の目的であるあの魔物の存在を完全に忘れてしまっている。本当にソラが倒していなかったら、わざわざ足手まといになりに行くところだったよ。






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