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パーティーを追い出してもらいたいと思っていたけど  作者: 畑田 紅
1章

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37/61

旅立ち

 

 昨日1日で、私の実力はお母さんの足元にも及ばない事を痛感した。


 単純な魔力量と魔力コントロール。私とシルビアさんの2人がかりでも勝てない身体強化。そして、高度な魔法を息をする様に使いこなす。


 更には魔導具の知識。魔法に関しては、何一つお母さんには勝つ事ができない。


 今までと同じ事を繰り返しても、お母さんを超えることはできないだろう。


 クライとフウジ、そしてレインちゃんと冒険するのは楽しい。だけどこのままじゃ強くなれない。


 だから私は、パーティーを抜ける事にした。



 ♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



 私がパーティーを抜けたいと言うと、クライは口を大きく開け、フウジは目を見開き、レインちゃんは…泣き出してしまった。


「え、ちょっとレインちゃん。どうして泣いちゃうの⁉︎」


 私は予想できなかった事に戸惑ってしまった。以前の様に引き止められるかもしれないとは思ったけど、まさか泣かれるとは…。


「だって…。だって、もう私は必要無いって事だよね?サラさんが居るから、私の作ったお菓子にこだわる必要無いから…。」


「ち、違うよ。もっと別の理由だよ。レインちゃんのお菓子、私大好きだよ!」


 レインちゃんはどうしてそんな勘違いをしてしまったのだろうか?私はサラお姉ちゃんのもレインちゃんのも、どっちも大好きなのに。


「なら、俺たちが納得出来る説明をしてくれ。」


「うん。分かった。」


 そして、クライが真剣な顔でそう言ってきたから、私はみんなにパーティーを抜けたい理由を話し始めた。


「私はね、もっといろんなところに行って強くなりたいんだ。でも私の自分勝手な理由にみんなを巻き込む訳にはいかないから、パーティーを抜けさせてほしいの。」


「…それだけなのか?」


 クライはなぜか納得いかなそうな顔で私に聞いてきた。


「うん。そうだよ?」


「つまりソラは、俺たちは足手まといだからパーティーを抜けて1人で行くって言うことだよな?」


「ちょ、違うよ!私そんな事一言も言ってないよ!」


 クライがどうしてそんな解釈をしてしまったのか分からない。だけど、クライの表情は怒っているというより、少し悔しそうな表情をしている。


「…分かった。ソラがパーティーを抜けることを認める。」


「ちょっとクライ!どうして!私は認めないから!ソラちゃんがいなくなるなんて嫌だよ…。」


 クライはすんなりと認めてくれたけど、今度はレインちゃんが反発してきた。


「諦めろ、レイン。そして…悪いが俺も抜けさせてもらう。」


「「…え?」」


 そしてまさかのクライまでパーティーを抜けると言いだした。抜ける私が言えた義理じゃないけど、クライまで抜けたらパーティーとしてやっていけないと思う。


「ソラ、俺もお前の旅に連れて行ってくれ。頼む。」


「ちょっと!ずるいよ、クライ!なら私もパーティー抜ける。ソラちゃん、私もついていくからね!」


「そうだね、みんなでソラについて行こうか。」


 クライが私についてくると言いだした事に驚いていると、レインちゃんとフウジまで私についてくると言いだした。


「という事だ。ソラがどうしても1人で行きたいってんなら諦めるが、そうじゃないなら俺たちはどこへでも一緒に行くぞ。足手まといと思われようが、みんなソラと一緒に冒険したいんだ。」


「なんか、さっきからクライがソラちゃんに告白してるように聞こえるよ。まさか乗り換えたの?」


「ちげーよ!俺はサラさん一筋だ!…って、茶化すなよレイン。」


 クライが…みんなが。私が自分勝手なことを言っているにも拘わらず、私についてきてくれようとしてくれている。私だって本当はみんなと一緒にいろんなところに行きたいと思っている。


「いいの?私、本当にいろんなところに行くつもりなんだよ?」


「うん。どこにだってついて行くよ。」


「ああ、先ずはどこに行くつもりなんだ?早速今日から行くか?」


 クライもレインちゃんもフウジも私を受け入れてくれる。私はそれがどうしようもなく嬉しくて、自然と笑みがこぼれてしまう。私が笑い出すと、それにつられてみんなも同じように笑い出した。


 私は自分が思っていた以上にみんなが好きで、大切な仲間なんだと改めて実感した。



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