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これでこそ冒険

 

 敵は魔狼。私は杖を強化し、目の前の1匹に振り下ろす。そして、そのまま右に思いっきり魔狼の顔目掛けて振り抜いた。左から向かってきた魔狼に向け杖を突き出し、突進してきた力を数倍にして反射させる。最後に仲間が全員やられて動けなくなっている最後の魔狼に、杖を振り下ろした。



 あぁ。やっぱりこっちの方が楽しいな。今まで、みんなの後ろで暇してたのとは大違い。もっと早く言えばよかったな。


 私が杖を振り回して戦っていた事にみんな驚いていたようだけど、こっちの方が魔法より素材を傷めないと思ったから、杖で戦っただけなんだけどな。


「やっぱりソラちゃんは強いね。」


「ああ。魔狼って杖で1発殴っただけで倒せる相手じゃないと思うんだがな。剣で斬っても簡単には死なねーし。」


「それはね、コツがあるんだよ!頭の骨をいい感じに砕けば1発なんだよ。」


 コツさえ掴めば意外と簡単だからね。剣でも首を切れば1発で倒せるのと一緒。


「俺には一生できそうにないな。」



 その後もどんどん魔狼を狩っていった。私が前衛に加わった事で倒すスピードも上がりいままでで1番効率よく狩れたと思う。


「なんか今日いつもより楽しいね。どんどん狩れるし、ソラちゃんの動きは見てて飽きないし。…狩りの

 参考にはならないけど。」


「そうだね。ここまで上手くいくとかなり面白いね。」


「ああ。ソラが前衛に加わっただけでこうも効率が上がるとわな。」


 みんなの評価もいい感じだし、これならこれからも前衛に入って問題無いね。まあ、私は杖を使うから剣を使う3人とは違う戦い方だけどすぐ慣れてくれるよね。



「じゃあ、今日はこれくらいにして帰るか。」


「うん、そうだね。今日は今までで1番多いんじゃ無い?」


 今日は、午前中に魔狼13匹、午後に28匹倒すことができた。次からは、午前中私がサボらず参加できるから、もっとたくさん狩れるかもね。


「ソラちゃんのおかげだね!いずれここの魔狼絶滅できちゃうんじゃない?」


「それは難しいかな。中層に出てくるのは、森の深部から追いやられた個体だけだからね。奥には上位種のフェンリルが居るって言うし。」


 フェンリルはSランクの魔物で有名だ。人里には決して現れないから見たことはないけどとにかく動きが速いそうだ。


「そっか。でも、ソラちゃんがいればフェンリルくらい倒せるんじゃない?」


「それはちょっと難しいかな。動きが速すぎると魔法が当たんないし、森の中だと広範囲魔法も難しいし。フェンリル倒すなら、もうちょっと強くならないとね。」


 魔法はまだまだ練習が必要な部分も多いし私の実力じゃ倒せないな。師匠なら倒せるだろうけど。



♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢♢



 それから私達は森を抜けギルドに向かった。もう夕方で徐々に混み始めてくる時間だ。でも、タイミング良く担当受付嬢のサラさんカウンターが空いたから、私たちはそこに向かった。


「今日も買い取り頼む。」


 クライがそう言いカウンター横の素材置き場に魔狼を出し始めた。すると奥から解体士が出てきて査定しつつ奥に運んでいく。


「今日は随分と多いわね。まだあるの?」


 クライが出した側から持っていかれるがクライが魔狼を出す手はまだ止まらない。


「ああ。今日は40匹くらい狩れたからな。」


「すごい!今までで1番多いんじゃない?それにそんなに収納袋の容量大きかったのね。」


「だろ。もうこの袋がないか生活には戻れないぜ。」


 収納袋は、私が作ったやつだ。そんなに大切にしてくれるなんて嬉しいな。


「いいなー。私も欲しいわ。あ、そうだ。ソラさんちょっといい?」


 後ろで待っているとサラさんが呼んできた。


「はい。」


「今日で常設依頼30件終わったから見習いのEランクは終了でDランクにランクアップよ。ギルド証出して。」


「あ、もうですか。」


 私はそう言ってギルド証を出した。するとサラさんはギルド証をEからDに魔法で印刷し直し、すぐに返してくれた。


「ありがとうございます。」


「それとソラさんがDランクに上がったから、パーティーランクもDランクに上がったわ。これからは常設依頼だけじゃなく、受注依頼も受けれるからね。」


 見習い期間が終わると受注依頼も受けれるようになる。受注依頼はギルドの信用に関わるから、初心者では受けれないようになっているのだ。あれ?でも…。


「パーティーもDなんですか?私、クライはもっと上のランクだと思ってましたけど。」


「…は?」


 あれ?私、変なこと言ったかな?サラさんの顔が急に怖くなったよ。


「レーイーンちゃん。ちょっと来なさい。」


 するとサラさんはレインちゃんを呼び出した。怖い顔で。


「ちょ、ちょっと今お腹痛くて。トイレにでも行ってきて良いですか?」


「うん。分かったわ。待っといてあげるから早く済ませてきなさい。」


「…………。」


「……………。」


「ごめんなさい。嘘です。すぐ行きます。」


 そう言ってレインちゃんはサラさんに奥に連れていかれた。どうしたんだろう?




読んでくださりありがとうございます。

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