新体制 sideレイン
私たちはソラちゃんの渡してきた大金にびっくりしたけど、それ以上にSランクの魔物を倒した事に驚いた。
それに渡してきたお金は討伐報酬の3割位らしく、『こんなにあってもどうせ使わないから。』と言われ受け取る事になった。
「じゃ、魔物退治に行こー!!」
「おー!」
ソラちゃんは今まで自分から言い出すことはなかったけど、前衛をやって良いと言われて少しテンションが上がっているようだ。私もそれにならって元気よく返事をした。
いつもなら、こういうのはクライが言い出すんだけど、先に言われてクライはポカンとしている。フウジはいつも通りって感じだけど。
「あっちに魔狼7匹確認。行くよー!」
「…なんでそんな正確に分かるんだよ。」
クライがそう言うけど誰も答えない。みんな何となく分かってしまったから。
ソラちゃんが全体的に手を抜いていた事に。
私はもう気にしない。いくら強くても、ソラちゃんはソラちゃんだから。
200mくらい森を進んでいくと魔狼が現れた。
「6匹しかいなくねぇか?確か7匹って。」
確かに数えたら6匹しかいない。ソラちゃんは間違わないと思うから、隠れてるか逃げたかかな?
「そっちの木の後ろに居るから気をつけてね。」
あ、やっぱりいるんだね。
「便利だな。探知魔法ってのは。」
「クライ、これが普通だと思わないでね。」
「そんくらい分かってるよっ。」
クライは返答しながら木に隠れている魔狼に近づき大剣を振り下ろす。魔狼は避けようとするも、完全に避けきれず致命傷を負った。
私とフウジも剣を抜き魔狼に向かっていく。同じ魔法剣士と言っても私たちの魔法の用途は違う。フウジは魔法で剣で強化して戦うのに対し、私は魔法でダメージを与えつつ剣を振り削っていく戦い方だ。
3人で1匹ずつ倒し、次の魔狼を相手にしようとしたけど、もうその必要はなくなっていた。
ソラちゃんの周りに3匹の魔狼が倒れ、最後の1匹を杖で叩いていた。
「えいっ!…ふぅ。こっちは終わったよー。」
ソラちゃんは、私達に笑顔で言ってくる。私たちが1匹ずつ倒している間に4匹倒して。
「なぁ、俺はそれを魔法を使う杖だと思っていたんだが、違ったのか?」
そう。ソラちゃんの杖は決して棍棒のようなものではなく、ステッキの先に魔石が付いているタイプのものだ。確かに魔石は硬いけど、それで物理的に攻撃するためのものでは無いと思う。
「もちろん杖だよ。魔力が通りやすいから、『硬化魔法』と『反射』を付与すれば立派な武器になるんだよ。」
確かに魔法を使う杖だね。使うのは杖にだけど。もうなんでもありだね。




