お菓子のために2 sideレイン
「私もこんなに貰えないよ。…というかこんな大金どうしたの?」
ソラちゃんから渡されたお金は、ソラちゃんが私たちのパーティーに加入してから稼いだお金より、はるかに多かった。
フウジが貰った袋より、さらに大きい袋にクライとフウジも気になったのか、私の布袋の中を覗いてきた。
「「………。」」
「いやいやいや。おかしいだろこんな大金。」
「そうだよ。しかも食費にこんな大金渡すって、何十年レインに食事作らせる気なの?」
え?その考えには至らなかったよ。つまりソラちゃんはこれからもずーっと私のご飯食べ続けたいって事?えへへへ。
「…レイン、顔に出てるぞ。ちょっとは抑えろよ。」
おっと。いけない、いけない。現金な女だって思われちゃう。
「ソラ、どこでこんな大金手に入れたの?」
「だから、臨時収入だって。」
休みの日以外は私達と狩りをしているから、こんな大金稼ぐ時間は無いはずなのに。
「いやいや。そんな簡単に稼げる金額じゃないよ!…何か、やばい事やったの?」
「違うよ。ちょっと魔物倒しただけ。この前の休みに新しい魔法の実験してて、近くにいたカメの魔物を標的にしてたの。実はそのカメさんが、結構珍しい魔物だったらしくて、かなり高額で引き取って貰ったんだ。ほんと運が良かったよ。」
「えぇ!でもそれすごく強かったんじゃないの?」
「ううん。7匹倒したけど、どの子も一撃だったよ。」
確かに弱いけど珍しく高値で取引される魔物もたくさんいる。けど珍しいカメなんて聞いたことないし、7匹も居たならそれは珍しいと言えるのかな?本当にたまたま群れに出会えたのなら運が良すぎるし。
「フウジは珍しいカメなんて聞いたことある?私は知らないけど。」
クライはあれだけど、フウジは結構物知りだ。
「…ベヒモスとか?」
「いやいや、そんな生物迷信でしょ!見つけたって倒せないよ。そんな生物7匹も居たら世界滅びるって!」
フウジは偶におかしなことを言う。フウジも冗談で言ったみたいで、少し笑っている。
「じゃあ、双頭亀とか?温厚な性格でこちらから攻撃しないと反撃してこないけど、防御力攻撃力ともにものすごく高いから、一応Sランク指定されてる魔物だけど。」
さっきからフウジは強い魔物ばっかあげてくる。簡単に倒せる珍しいカメだって言ってんのに。
私がフウジをちょっと睨みつけると、フウジはそれの意味が分かったらしく、「ごめんごめん。」って言ってきた。
しかし、ソラちゃんは思いもよらないことを言い出した。
「あ!確かそんな名前だった。頭が2つあって、引き取ってもらう時、双頭亀って言ってたよ。」
「「「……は?」」」
「初めて聞く名前だったし、渡された大金にびっくりして、頭真っ白になっちゃってたから、忘れてたよ。」
え?本当に?Sランクの魔物を?一撃で?弱かった?
……。確かにソラちゃんはかなり強いと思ってたけど、防御やカウンター系以外の攻撃魔法もかなりできるの?
…あれ?私たち、いらなくない?
いやいや。そんなことはないよね。…たぶん。考えるのやめよ。
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