脱退宣言
よろしくお願いします。
「私、パーティーを抜けたい!」
…ついに言ってしまった。今までずっと言いたかったけど、なかなか言えなかった言葉。
「ちょ、ちょっと待ってくれよ!どうしてだ⁉︎俺たちが弱いからか?」
すると、私とパーティーを組んでいるクライは、見当違いな事を言ってきた。
私が所属しているパーティー『夕暮れの女神』は剣士のクライと魔法剣士のフウジとレインちゃん、回復術師の私。この4人でパーティーを組んでいる。
もともとは3人で組んでたみたいだけど、回復役が居なかったようで、ちょうど入るパーティーを探していた私を入れてくれた。
…でも、せっかく入れてもらったけど、私はパーティーを抜けたいと思っている。もちろん、脱退したいのにはちゃんと理由がある。それは、私がこのパーティーに必要無いからだ。
今の私の役目は、出発前に強化魔法を掛けること。
………以上!!!
それが終わったら着いて行くだけ。もう、正直つまんない。もうちょっと私も活躍したいのに!私だって結構戦えるのに!私、回復術師なのに、誰も怪我しないから、1回も回復魔法使ってないんだよ?
…だから私は、事実を述べる。
「私、このパーティーに要らなくない?全然役に立ってないよ?」
「そんなわけ無いだろ!ソラが1番役に立ってるじゃねぇか!」
あぁ、クライは優しいな。でも、そんなお世辞は要らないよ。私が何もしてないことは、私が1番分かってるから。
「…いいよ、そういうのは。私、もう嫌なの。このパーティーに居るのが苦痛なの…」
私は、クライから目を逸らし、斜め下を向いた。
「…ソラは疲れてるんじゃない?もっと休み増やそうか?」
今度は、私を見たフウジが的外れな事を言ってきた。
…そういうことじゃないのに。どうしてフウジまでそんなこと言うの?何もやってないのに疲れるわけ無いじゃん。
…はぁ。
「とにかく、私はこのパーティーを抜けたいの!」
「…やだ。絶対だめ!」
クライ、フウジに続き、レインちゃんが会話に入ってくる。
…というか、だめって何?私の意思は関係無いって事?
…どうしてなの?私が抜ける事にメリットがあっても、デメリットは何も無いのに。
「なぁ、ソラ。もうちょっとだけ考え直してくれないか?俺たちには、ソラが必要なんだよ。…そうだ!俺たちの取り分減らして、ソラの取り分を増やすよ。フウジとレインも良いよな?」
「「もちろん。」」
「だから、どうしてそうなるの?私は抜けたいって言ってるの!」
あーもう。なんでみんな私を辞めさせてくれないの?役立たずの取り分増やすって、何考えてんの?お金有り余ってるの?
「まっ、今日は狩りに行こうぜ。この話はまた今度。な?」
どう言っても、3人は私をパーティーから抜けさせてくれない。3対1だと、勝ち目なし?
…いやいやいや。きっと、急に言ったから戸惑ってるだけ。取り敢えず、今日は諦めよう。…でも。
「…じゃあ、明日抜けるから。ちゃんと手続きしてよね?」
「「「…………。」」」
「じゃあ、行くか。」
「「うん。」」
3人は、私の言葉には返事をせず、急いでギルドを出て、狩場に向かおうとしている。
「返事してよ!…もぅ」
仕方がないから、私はしぶしぶ後を着いて行く。そして森に着いたら3人に強化魔法を掛けた。
狩りでは魔狼が10匹以上出たけど、誰も怪我する事なく戦闘を終えた。
やっぱり、私要らないじゃん!なんとか抜けさせてもらえるように作戦を考えないとダメだね。
私は狩りの間、ずっと暇だから、パーティーを抜けるための作戦を考えた。明日こそは抜けてやる!
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