この世のはじめに
みんな やさしい せかいを かみは もとめた。
まず、初めに大地があった。
次に海が生まれ、神は命を創り出した。
自分の理想を詰め、自分によく似せた王と、それを助ける正反対の副王。それから2人を助ける補佐と、補佐を助ける補佐。そのまた補佐を助ける補佐の…………。
気付くと、その星は生き物だらけになっていたが、誰も長くは生きられなかった。
そこに光が無かったからだ。
神は大雨による大掃除で一旦地上をリセットして、新たに環境作りに拘ってからソコソコ完璧な世界を作った。
今度こそ地上には正しい生き物が溢れ、神は長期休暇を取る事にした。お疲れ様です。
一方、大掃除から運良く生き延びた1番初めの王は地上に居る唯一の正しく無い生き物として細々と暮らさねばならなくなった。
王は神から
「人間達を頼みます」
と言われていたが、多くの人間は王も神も必要としなかったのである。
やがて、人間にとって都合の良い神が出来上がると、人間達は神に反するもの。奇怪な現象やモノ、邪悪とされるモノに『鬼』または『魔』という名前を付けた。
こうして1番初めの王は『魔王』と呼ばれる様になった。
人間達にハブられ、寂しく袖を濡らし続ける魔王。
魔王をハブり、楽しそ〜うに葡萄酒とか作っちゃってる人間。
魔王は更に泣いた。
そして、泣き飽きた頃に、思い付いた。
自分は見た目だけでは無く、その能力までもが神と類似しているので、仲間を作ろうと思えば自分で作れると言う事を。
こうして魔王は初めに、自分の理想を詰めに詰めた最高の友達を創り出した。
魔王はその子にイヴと名付けた。
それからも、どんどんどんどん仲間は増えて行く。
こうして魔王は『魔王』になった。