25.
いつから自分の家と財産が狙われていたのだろう。
母親が気づかなかったくらいだから、あらゆる享楽にかまけて家のことを顧みなかった自分が知るはずがない。
ダンジョンで稼いだ自分の金が、仲間のふりをした連中にたかられて消えていったのとは桁が違う失い方だ。いったい、自分がどれだけダンジョンで狩りをすればあれだけの金額になるのか。
フリードは、立て続けに起きた金に絡む事件に自分の運のなさを呪った。全財産を失ったのだから、これぞ天国から地獄へ真っ逆さまに落ちたようなもの。
激しい怒りで全身が震える。
もしかしたら、計略に気づいた母親がザックスを訴えに行き、帰り道にザックスの手下によって馬車でひき殺されたのはではないかと勘ぐりたくなる。
契約書の無効を訴えるにしても、借金が消えるわけではない。その借金も騙されて織物を買わされた証拠がない限り、無効にならない。
きっとザックスは、時間を引き延ばしている間に、丹念に証拠を隠滅していたに違いない。
これでは証拠が揃えられるのか、怪しい。それだけではない。裁判所へ訴えようにも費用がないのだ。
――完全にはめられた。
放心状態のフリードは、ミーナとカリーナの二人を連れて、町外れの空き地に腰を下ろした。町の明かりからは遠く、月明かりのみが周りを照らす。
「無一文で、これからどうすればいいんだ……」
頭を抱えてすっかり弱気になったフリードのそばにミーナがしゃがみ込んで、彼の肩に左手を置いた。
「いいえ。フリード様。無一文ではございません」
彼は、信じられないという顔をしてミーナの方を向いた。




