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22.

 悶々とするフリードは、気晴らしに外出した。


 閉店を伝えられなかったのは、彼女たちに「今までありがとう」と言った後で未練が残ったから。このままなんとかならないだろうかという一縷の望みにすがりたくなったというのもある。


 現状から逃げずに店を再建したい気持ちに傾く。だが、これから先、どうすればいいのだ。


 あてもなく歩いていると、道行く人が珍しいものでも見るように視線を向けてくる。確かに、普段着のような冒険者風の服ではなく、商人の服に身を包んでいるから奇妙に見えるのだろう。


 人の気も知らないで、と憤慨する彼は、うつむいて考え事を続ける。


 車道と歩道の区別がない石畳の石がこちらに顔を向けるが、決断が付かない自分を石が笑っている気がしてくる。


 すると、前方から馬車の音が異様に近くまで迫ってきた。ハッとして顔を上げると、いつの間にか車道に出ていて、()(しや)(うま)が「そこをどけ」みたいな勢いでやってくる。


 母親の事故を想起した彼は、横っ飛びで避ける。すると、彼の横で馬車が止まり、中から立派な紳士が現れた。


「ちょうど良かった。今、貴方様のお店に伺うところでしたよ」


 親しそうに言葉をかけてニヤニヤする紳士だが、顔は初めて見る。笑顔とは裏腹に、人を射るような目つきが気に食わない。


「誰ですか?」


「ザックスと申します。このたびは、お母様のご逝去を心からお悔やみ申し上げます」


 母親の葬儀の際に、知人関係はかなり集まったが、その中にはいなかった。フリードは訝しそうな表情で紳士を見つめる。


「……どうも。で、何の用ですか?」


「以前、店舗再建のことでお母様からご相談がありまして」


 ギクッとして体が固まった。母親が人に再建を相談していたのか。そこまで切羽詰まっていたのか。そう思うと、いつも変わらぬ態度で自分に接していた母親の辛さに泣けてくる。


「ここでは何ですから、食堂で話をしませんか?」


 近くの食堂を指差すザックスは、フリードの横に立って肩をポンと叩き、一緒に並んで店に入っていった。

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