14.
「最近、お体の具合でも悪いのでしょうか? お薬、ご用意いたしましょうか?」
深夜にフラフラと帰宅して、ベッドではなくソファに体を投げ出して横たわったフリードは、心配そうに声をかけて覗き込むミーナを右手で追い払った。
「疲れただけだ」
勿論、嘘である。ここ毎日、借金が膨れ上がっているので、その心労からだ。
「いつもは楽しそうにしていらっしゃるのに、お仲間と喧嘩でも――」
「心配しなくていい」
酔っているはずなのに、借金のことが頭の中で鐘のように鳴り響き、血の気が引いてくる。
「お顔が青いですが――」
「うるさい! 酔っていて青いわけがないだろうが!」
「申し訳ございません」
青いのはもしかしたら本当だろう。
今日はほとんど飲めなかった。借金を返したりおごったりして、自分の飲む分は控えたからだ。ちゃんと返して体面は保たれたが、まだ借金をしている仲間が十人以上いる。
散々考えた彼は、結局、一番目に思いついた策――ダンジョンの深い階層に潜って大物を獲る――を最後の手段として採用した。
「明日は朝食は要らない」
フリードの唐突な宣言に、ミーナは目をぱちくりとする。
「それはいけません。ちゃんと栄養を取っていただかないと」
「時間がない」
「すぐ、朝食をご用意――」
「違う。深く潜るからだ」
「ダンジョンを、でしょうか?」
「それしかないだろ」
彼のこの言葉は、借金の返済にはそれしかないという意味も込めていたのだが、ミーナにはそこまではわからなかった。




