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12.

 翌朝、朝食の時間を過ぎてもいびきをかいて寝ていたフリードは、母親に叩き起こされた。ちょっとした口論になったが、寝坊の理由は言えなかった。


 あれからずっと、考え事で目が冴えて眠れなかったのだ。


 ミーナは目を伏せて、努めてフリードの方を見ないようにしている。彼はまだ不機嫌を装ったが、内心はミーナに悪いことをしたと後悔していた。


 ここで心を入れ替えれば傷口が広がらなかったのだが、フリードはダンジョンで夢中になって働き、いつもより多めの魔石を得てギルドで金貨を弾んでもらった途端、元の放蕩冒険者に戻ってしまった。


 金貨2枚を服の裏側に隠し、残り2枚を母親に見せていつものように一部を召し上げられた後、残った金を握りしめながら、大股で娯楽施設まで歩いて行く。


 仲間がいつものように歓迎してくれる。それで疑念もキレイさっぱり吹き飛んだ。


 羽振りがいいと、新しい人が集まってくる。みんなが口を揃えて「仲間になろう」と言う。フリードは快諾し、自分が人気者になったようで心が躍った。


 仲間が増えば出費も増える。でも、今日は隠した金貨が2枚もある。全く問題ない。


 その後、仲間以外にも囲まれて肩を組んで歌ってどんちゃん騒ぎしたあげくに酩酊し、仲間に担がれてなぜか路上に寝かされて、夜風の寒さと強烈な臭いに目が覚めたときは、頭の上に小便をかけて逃げていく犬の姿をボーッと見ていた。



 次の日も娯楽施設に繰り出すと、前より仲間が増えているので面食らった。嬉しいが、これでは手持ちの金が足りない。


 あっという間にすっからかんになったフリードは、とぼとぼと帰宅してから考えた。とても母親に減額を申し出る勇気はないから、自然と収入を増やす方に考えが行った。


 策は二つある。


 一つ。ダンジョンの浅い階層で楽して魔石を得るのではなく、少し深いところへ潜って大物を仕留める。


 一つ。娯楽施設では賭け魔獣レース一本に絞って、連勝を目指す。


 だが、もう一つある。とっておきのが。


 ちょうどミーナが部屋に入ってきたので、フリードは何か言いたそうなミーナへ右手のひらを向けて制し、咳払いをしてから切り出した。


「なあ、ミーナ。俺の召し上げられた金って、どこにあるのか知らないか?」


「存じ上げません」


「カリーナもか?」


「ええ。奥様だけがご存じです」


「だよなぁ……。悪い。聞かなかったことにしてくれ」


 残るは、賭け魔獣レースで連勝することだ。でも、たまに連勝するが、5回に1回くらいだ。


 困り果てたフリードは、第四の選択肢を思いついた。

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