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運命に呼ばれて異世界転移  作者: いばら姫
第一章 始まりの魔法
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episode.7 異世界での朝

「おはようございます。カレン様。」


 眩しい朝日に当てられ、カレンは目を覚ました。

 起き上がると、二人のメイドがいた。


「本日よりカレン様の身の回りのお世話をさせていただくキャロライン·ブラックと申します。」

「同じくメリッサ·ホワイトと申します。」


 メイドの二人は自己紹介をして深々とお辞儀をした。

 キャロラインはキリッとした目が特徴的で、しっかりしている印象だ。メリッサはほのぼのとしており、気さくな感じだ。


「そんな、大丈夫です!」

「旦那様からの指示ですので。カレン様もこの屋敷に来たばかりですし、最初のうちは私達の案内がなければおそらく迷われるかと。」

「キャロラインの言うとおりですよ。私もここに来たばかりの頃はもう右も左も、上も下も分からなくて迷ってばかりでしたから。遠慮なく私達を頼ってくださいね。」

「では…遠慮なくお言葉に甘えて。」


 二人の言うことはもっとも正論だった。

 国王の弟、公爵(デューク)の屋敷だけあって無駄に広い。メイドの二人がいなければカレンは遭難する危険すらあった。


「あの〜、一つお願いが…」

「なんでしょう?」

「できれば朝風呂に入りたいんですけれど…」

「はい、かしこまりました。丁度召使い達も入り終えていると思いますので。」


 カレンは朝と夜の二回、風呂に入っている。 

 朝に風呂に入らないとどうも落ち着かないのだ


 キャロラインとメリッサに連れられ、カレンはお風呂に向かうことにした。

 公爵家のお風呂は大浴場といったほうが正確かもしれない。

 男女に分かれており夜は公爵家家族、朝は従業員が入っているらしい。


「うわ〜大きいですね。」


 カレンは湯加減を確かめるために手を浴槽の中に入れてみた。


「あ、ちょっとぬるいかも」

「確かに少し冷めてしまっている時間帯かもしれませんね。」


 そう言うとメリッサは杖を取り出した。


加熱(カレファクティオ)


 呪文を唱えると、湯気が出てきた。

 カレンはもう一度浴槽に手を入れると丁度いい湯加減になっていた。


「すごい…これが魔法。」


 初めて見た魔法にカレンは感動した。

 

「でも温度を調節するのが難しいんですよ〜」

「カレン様の世界には魔法がないのですか?」


 キャロラインが、まだ少し感動の余韻に浸っているカレンに聞いた。


「はい、そうなんです。でも魔法を使ったお話なんかはありますよ。歴史上にも魔術師がいたって話も聞いたことありますけど…もしかしたら私が知らないところで魔法は存在していたのかもしれませんね。」

「カレン様の世界では魔法ってどんなイメージだったんですか?」

「メリッサ、カレン様も早くお風呂に入りたいでしょうから続きは後で。」

「は〜い。」


 カレンは二人が去った後、脱衣所で服を脱いで朝風呂に入った。やっぱり朝風呂は落ち着くな、と思いながらカレンは1時間程お湯に浸かった。


 浴槽から上がり、丁度服を着たところでメリッサとキャロラインがやって来た。 


「カレン様、朝食ができております。」

「分かりました。それとお二人とも、私のことは様付しなくていいですよ。」

「では、カレンさんとお呼びしても?」

「はい、それでいいですよ。」


 カレンはキャロラインとメリッサに連れられて食堂に向かった。 

 着いたときには公爵(デューク)夫人(ダッチェス)、アリスとレナード達がすでに席についた。カレンは空いているレナードの横の席に座ることになった。


「おはよう。昨日はよく眠れたか?」

「ええ、まあ。でもあんなにふかふかのベッドで寝たの初めてで、なんだか新鮮だったわ。」


 カレンは敷布団で寝ていたのであんなヨーロッパのお姫様が寝るような大きなベッドに寝る機会はなかったのだ。

 丁度話し終えたときに、朝食が運ばれてきた。


(え、朝からお肉を食べるの?)


 メニューは白いパンに肉が150gほどと野菜が少々、あとはスープという朝から結構ボリュームのある献立だった。


「ひょっとしてなにか食べれないものでもありましたか?」


 ナイフとフォークを持って食べようとしていたアリスに話しかけられ、カレンは顔を上げた。


「いや、ただ朝からお肉なんて食べたことがなくて。でも食べれるので大丈夫よ。」


 手を合わせていただきます、と言いカレンはナイフとフォークをとった。いつも箸を使っているので少し違和感があるものの、カレンは肉をナイフで切ってフォークで口に運んだ。

 味は胡椒などの香辛料が効いていて、和食を食べることが多かったカレンには少し辛かった。


「お口に合わなかったかな?」

「あ、いえ。ただ少し味付けが濃いな、と思っただけなので。」

「では味付けをカレン殿のだけ薄くするように料理人たちに伝えておこうか。」

「大丈夫です。これはこれで美味しいですから。」


 公爵(デューク)は鋭いところがある。カレンは表情にでないようにしていたが、やはり国王のサポートをしているだけあってそうゆうところに長けているのだとカレンは思った。


 朝食を食べ終わり、膝に置いたナフキンで口をふいた。

 ふとカレンが前を見るとアリスが何か言いたそうにカレンを見つめていた。


「どうかしたの?アリスちゃん。」

「あ…いや、その…

 きょ、今日の買い物は杖と服のどちらを先に見ますか?」

「…そうね、じゃあ服を先に見たいわ。」


 誤魔化しているようだったが、カレンはひとまず詮索しないことにした。 


「では、仕度を整えて30分後くらいにエントランスに集合しよう。」 

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