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運命に呼ばれて異世界転移  作者: いばら姫
第一章 始まりの魔法
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episode.4 公爵家の屋敷

 レナードの屋敷は壮大といえるものだった。


 あまりにもの大きさにカレンは腰を抜かしてしまいそうになっている。

 周りを見渡すと貴族の屋敷がたくさん並んでいるが、レナードの屋敷には遠く及ばない。


 門の前には二人の警備兵がいた。


 レナードとカレンに気づくと、敬礼をした。


「おかえりなさいませ、レナード様。そちらのお方は……?」

「俺の客人だ。通してかまわない。行くぞ、カレン。」 

 

 あまりにもの大きさに唖然としていたカレンにレナードは手を差し伸べた。


 お坊っちゃん育ちだからか、そういうところに気が回るらしい。


 一方で警備の二人はというと――――


「すっごい美人の女性でしたね〜。ひょっとしてレナード様の恋人でしょうか?」

「……ったく、お前はどうしてそんなことしか考えられないんだ?間違っていたら失礼だろ。」


 というような感じでレナードとカレンの仲についてああだこうだ話していた。


 さて、話は戻って屋敷の門をの先には豪華な庭園があり、真ん中には噴水があった。


 庭だけで一戸建ての家が八つは建てれそうな広さだった。


 その奥にある屋敷は壮麗さを身に纏い、水色の壁が優雅さをかもし出していた。


 屋敷の中に入ると、天井にはシャンデリアがきらびやかに輝いていた。


 目の前には階段があり、絨毯やカーテンなどもとても高そうな代物だ。


 カレンが玄関ホールの内装を見渡していた時、一人の少女が走ってきた。


「おかえりなさいませ、お兄様!」


 そう言うと、少女はレナードに思いっきり抱きついた。


 レナードはこらこらとなだめつつ、少女の頭をなでた。


 レナードをお兄様、と言うあたりレナードの妹なのだろう。


 カレンに気づくと少女はレナードから離れ、カレンをじ〜っと見つめて顔を近づけた。


「お兄様!この美しい方はもしや!お兄様の恋人で?」


 少女はキラキラした瞳をしてレナードに聞いた。


 レナードはため息をついた。


「いきなりそうゆう言い方は失礼だろう?彼女は訳あってこの世界に来た異世界の人間だ。」

「まあ、なんと異世界から!失礼しました。ご無礼お許しください。」


 そう言うと、少女は深々と頭を下げた。


「いいえ、どうかお気になさらないで。」


 カレンがそう言うと、少女は下げていた頭を上げてドレスの裾を持った。


「申し遅れました。私はレナード·アーサーの妹、アリス·アーサーと言います。以後お見知りおきを。」

「カレン·ヒジリです。どうぞよろしくお願いします。」

「あら、変わった家名ですのね。貴女の世界の家名はすべてそのような感じなのですか?」


 レナードと同じような反応にカレンは思わず苦笑してしまった――――やはり兄妹なのだと。


 顔立ちはレナードとはあまり似ていないが、可愛らしさがあふれるブロンド髪の美少女だ。


 大人の色香こそ感じられないが、将来は社交界の華となるに違いない。


「やっぱりこの世界でその家名を名乗るといちいち不思議がられるな。この世界にいる時だけでも別の家名を名乗ったらどうだ?」


 確かにいちいち同じ疑問をふっかけられるのも面倒だと思ったので、カレンはそれに賛成した。


「ひとまず客間へ案内しよう。話はそれからだ。」


 レナードはそう言うと、カレンを客間へ案内した。


 屋敷の中を歩いていくと、いわゆるメイドという人達が掃除をしたりしていた。


 カレンは本物のメイドを見るのが初めてだったので、興味津々だった。 


 客間に着いてソファに腰掛けようとしたとき、ドアが開いて一人の女性が入ってきた。


 カレンは、女性の美しさに思わず見惚れてしまった。


 顔立ちがアリスと似ているので、二人(アリスとレナード)の母親だと確信した。


「レナード!」


 そう言うとレナードに抱きついた。


 アリスと同じ反応に、『親子ね』とカレンは思った。


「母上、やめてください。客人が来ているんですよ。」

「これは失礼いたしました。私はレナードとアリスの母、リリア·アーサーです。どうぞよろしく。えっと…」

「カレン·ヒジリです。こちらこそよろしくお願いします。」

「まぁ、随分と変わった家名なのね。」


 血のつながった親子三人に同じ反応をされて、カレンはもはやどう反応すればいいのか分からなかった。


「お母様、彼女は異世界から来たのですよ。」

「異世界から!遠いところから来たのですね。」

(いや、遠いとかそうゆうレベルではないと思うのだけど。)


 カレンは心の中でそうつぶやいた。


「この世界でヒジリという家名は不自然なので、この世界にいる時だけでも別の家名を名乗ることにしようという話を先程までしていたのです。母上は何か良い案はありませんか?」

 

 レナードは簡潔に説明をして、リリアに聞いた。


「う〜んそうね…カレンさん、その“ヒジリ”というのはどうゆう意味なのかしら?」

「そうですね…“徳が高く崇められる人”でしょうか。」

「ではご両親のご職業は?」

「両親はすでに他界していまして。祖父と二人暮しでした。祖父の職業は神社の神主です。」

「神社?神主?」


 どうやらこの世界には神社がないらしい。


 アリスとレナードも、そろって首をかしげていた。


 カレンは、3人にも分かるように説明をした。


「神社とは簡単に言えば神様を祀ってある場所です。そして神主は神に仕えるもので神官の役割があります。」

「つまりは教会の聖職者みたいな感じなのかしら?あっ……ちなみに教会というのは…」

「説明なさらなくても大丈夫です。私の世界にも教会はありますから。まあ、確かに神社の神主は聖職者と言っていいと思います。」


 それを聞くと、リリアは一瞬考え込んで、口を開いた。


「では、聖職者という意味の“クラーク”というのはどうかしら?」

「カレン·クラーク…いいですね。では、ありがたく使わせていただきます。」

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