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運命に呼ばれて異世界転移  作者: いばら姫
第一章 始まりの魔法
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episode.1 導く魔法

 ここは日本の、とある神社。


 そこまで大きいとは言えないが、どこか神聖な空気が漂っている。


 御神木だろうか――――大きな桜の木が美しく咲いている。


 巫女装束に身を包まれた少女が桜の木の下で箒で掃除をしている。


 青みがかった黒髪が巫女装束をより引き立たせており、白い肌と水色の瞳が特徴的でその容姿は老若男女見惚れると言えるほどの可憐な美人と言えよう。


 少女の名前は聖花恋。


 ここの神社の神主の孫娘だ。


 両親はすでに他界しており、現在は祖父と二人暮しだ。


 現在は神社の手伝いをしながら近所の高校に通う16歳、いわゆる現役JKだ。


「花恋ちゃん、こんにちは。」


 ふいに声をかけられて振り向くと毎日神社に来てくれる近所のお姉さんがいた。

 

 大学生で花恋が小さいときから一緒に遊んでくれており、実の姉のように慕っている。


「こんにちは」 

「本当、相変わらずかわいいな〜。これだけ可愛いと、学校でも相当モテてるでしょ?」

「そんなことありませんよ……」


 少し照れたようにして、カレンは否定をした。


 全くモテていない、ということはない。


 むしろ結構モテてる。


 いや、モテてるというよりは憧れに近い感情を抱かれていると言ったほうがいいかもしれない。


 そんなこんなで、カレンはお姉さんとしばらく楽しい会話を続けていた。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆



「家の仕事もいいけど、無理はしないでね。」

「ええ、わかっております。」


 色々話しているうちに日が沈みかけていた。


 鳥居のところまでお姉さんを見送った後、花恋は自宅の方に向かった。


 神主の家というだけあって花恋が住んでいる家は和風の建築で趣がある。 


「ただいま帰りました、おじいさま。」

「おかえり、花恋。」 

 

 花恋は家に戻るとすぐに祖父のもとへ向かった。 


 花恋の祖父はすでに70歳を超えており、神社の仕事は殆ど花恋とバイトの子達で済ませていた。  

 

「今、夕食を作ます。」


 祖父と二人暮しとなると当然、花恋が食事を作る。


 祖父が元気だった時は一緒に家事をしていたが、今は掃除や洗濯も彼女一人でこなしている。


 将来いいお嫁さんになるだろう。


 もっともまずは恋愛への疎さをなくさなければならないだろうが。


 夕食は一汁三菜を意識した献立だ。


 花恋が作る料理は和食が多い、というより8割和食だ。


 もちろんハンバーグや唐揚げなども作るが、「日本人として和食を食べるべきだ」というのが花恋の考えだ。


 どうにも花恋は日本への愛が大きいのだ。 


 普段も和服を好んで着ることが多いし、歴史の勉強も日本史は得意だが世界史はどうも苦手らしい。


 苦手と言っても成績が悪いというわけではないのだが。

 

 夕食を食べた後、花恋はお風呂に入った。


 ちなみに花恋はお風呂を朝と夜の一日2回入っている、お風呂好きだ。


 お風呂に入った後の花恋はいつもに増して色気がにじみ出てる。


 縁側を歩いて部屋に戻ろうとした時、すっかり闇に染まった空を見た。 


『今日は新月なのね。残念…』


 心の中でそうつぶやいた。


 久しぶりに月を見ながらお茶でも飲もうかと思ったが、新月で月が見えないので出来なかった。

 

 部屋に戻ると、見覚えのない服があった。


 ワンピースと…それからいわゆるローブというやつだろうか。


 ワンピースは水色をベースとしており、蝶の刺繍があしらってある可愛らしいデザインだ。

 

 ローブは白をベースとし、ところどころに水色がある。

 

 どこか日本とはかけ離れた服だ。


 ヨーロッパの民族衣装的な感じがする。


 なぜここにあるのか分からないが、花恋は無性に“着てみたい”と思った。

 

 デザインが可愛かったからか、単なる好奇心か分からないが。


 着てみると“よく分からない服”は花恋のサイズにぴったりだった。

 

(おじいさまが買ってきたのかしら?でもおじいさまにこんな趣味なかったと思うのだけどすでに寝ていらっしゃるだろうし。それとも貰い物かしら?なんだか手作り感があるような…)


 そんなことを脳内で考えているとまだなにか置いてあることに気がついた。 

 

「これは…杖?」


 なんでこんなものまで、と思いながら手にとってみる。

 

 長さは80cmほど、銀色をベースとして先端には円形の宝石?のようなものがついていた。

 

 すると次の瞬間杖から眩い光が放たれ、下には魔法陣が浮かび上がった。


(なっ何?)


 光は無数の蝶へと姿を変え、花恋をおおった。


 気がつけば自分の部屋ではないことろにいた。


 音もない、光もない空間―――花恋はただこの空間をまっすぐに落ちている。

 

 また眩い光にさらされ、目を閉じた。


 目を見開くと自分が空中にいることが分かった。

 

 落ちる…!―――そう思って下を向くと男の子がいた。

 

 自分と同い年くらいだろうか?

 

 銀髪に引き込まれそうな赤い瞳―――顔立ちはいわゆるイケメンだ。


 すっかり男の子に惹き込まれそうになって花恋は今どうゆう状況か、一瞬忘れた。

 

 しかしその一瞬が命取りですっかりバランスを崩して落下し、男の子に激突した。

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