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第60話

 凛が大食いになって魔物を食っている、それで魔物の数まで減っている……


 驚愕の事実に僕はしばし固まっていた。


 サロはなおも続ける。


「魔王様がこんななので魔王四天王の四人は魔王様を裏切ったんです。けれど、結局倒せてはいません」


 そうか、それでなんちゃらって名前の自称魔王様四天王の矢が戦いを挑んだわけか。


 しかし、まさか凛に原因があるなんて。


「じゃあ、今のこの状況を打開するには?」


「魔王様の食欲をなくすしかありませんね」 


 僕は思わずため息をついていた。

 どうも実感が伴わない。

 凛はそんなに食欲に取り付かれているとはにわかに信じがたかった。

 こないだ会ったときもそんな感じではなかった。 

 あいつがそんなに食べるところも全く想像できない。


「凛にはどうしたら会える?」


「今の魔王様の居場所ですか。それならこれで分かりますよ」


 そういって彼女が取り出したのは手のひらに乗る程度の大きさの金属製の玉。


「これは?」


「魔王様探知機です」


「魔王様探知機?」


「一応作っておいたんです。これをこうしてっと」


 すると、魔王様探知機が無数の光を放ちはじめる。

 そして、プラネタリウムのように、壁に光の絵を映し出す。


「これはこのあたりの地図です。この白い光が現在地。そして、この赤い光が魔王様です」


「意外と近いな。徐々にこっちに近づいているみたいだが」


「ですね」


 食欲を暴走させたあいつの姿が見てみたいような気もするが。


「お腹すいたなの」


 静かにしていたジーマがもう限界という顔をしている。

 とりあえず洞窟から出ることになった。

 なんか嫌な予感がする。



「こ、これは……!」


「どういうことなんだい?!」


 案の定だ。

 外で待っていたスーラとドーラは、新しく増えたサロの姿を見て、不快感をあらわにしている。

 

「それはかくかく然々で」


 仕方なく僕が説明すると。


「なんですって?!」

「なんだって?!」


 ご両人の声が重なった。


「ハルカ様、あの、食費はどうされるんですか?」


「サイクロプスなんてめちゃくちゃ食べるに違いないだろ」


 やっぱりそこだよね、心配なのは。

 すると、僕を庇うかのようにサロがスーラとドーラの前に出た。


「ご心配には及びません。私は武器やアイテムを作るのを得意としています。それらを高値で売れば」


「え、ほんとですか?!」

「なに?マジかそれ?!」

「僕もその話興味ある!」


 僕とスーラとドーラの3人がいっせいに飛びついたものだから、少し驚いた様子のサロ。


「本当ですよ、このサンダーストームの魔道書なんて1冊75000ゴールドで売れます。しかも紙に呪文を書くだけなので原価もほとんどかかりません。強いて言えば」


「強いて言えば?」


「呪文が長いので写すのに時間がかかります。ですけど、みなさん分担してやれば1日に3冊くらいいけるのではないでしょうか」


「よっしゃー!」


 僕は思わずガッツポーズ。

 食費問題が思わぬ形で解決した、と考えていいのかな?


 と、ここで後ろからガシッと僕の肩をつかんでくるリリカ。


「大喜びのところ申し訳ないが、あれを見てみろ」


 彼女が指差す方向には、空から伸びた巨大な竜巻が見えた。


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