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第51話

「はあ、いいにおい、はあ」

 

 ドーラの血を染み込ませた布切れをくんかくんかと嗅いでは顔を赤らめて愉悦に浸るリリカ。

 ‎端から見ると異様な光景だ。


「ハルカ様、す、すごいですね。これが女の人が女の人に向ける愛の姿なんですね」


 スーラがなんか横で言ってるが、もうなにも答える気にもなれない。


 一方ドーラはというと。


「気持ち悪いからやめろ」


 必死でリリカから布切れを取り上げようとしていたが、リリカはうまくかわしながらもくんかくんかを続けるのだった。

 ‎その様子を見てスーラが笑っている。


「じゃれあってますね、お二人。まあでもわたくしとしてはいい展開です。ドーラさんという手強いライバルがいなくなるのですから」


 そう言って頬を染めて僕を見てくる。

 スーラもえらくご都合主義な考え方ができたものだなと呆れてしまう。


 そこでリリカの兜が突然脱げる。


「か、兜! 私の兜!」


 途端に半狂乱になるリリカ。

 ‎ジーマが隙を見て、取り上げたのだ。

 ‎

「私はドラゴンスレイヤーだなの。はっはっはっなの」


 そして、兜をかぶってボイスチェンジして遊ぶジーマ。


 いろいろ混沌としてて、これから先が思いやられる。


 

 ギルドに戻ると、とりあえず今回のスケルトン討伐は成功とみなされ、報酬の5000ゴールドを受け取った。

 ‎これでは食費に10000ゴールドほど足りない。

 ‎どうしたものか。

     

「どうしたんだ?」


 リリカが訊ねてきた。

 僕は食費でお金が足りないことを説明した。

 すると、リリカは。


「任せてくれ!」


 そう言うとギルドの受付に行き、しばらくすると帰ってきた。


「こう見えても私はAランクの冒険者だ。だからAランクの依頼を受けることができる。これなら50000ゴールドだ」


 な、なんだと!

 ‎だったら、リリカを加えることで食費問題は解決じゃないか。  

 ‎というわけで、僕たちのパーティにリリカが加わることになった。

 ‎

 次の依頼は明日からやることになった。

 その日の夜、僕は考え事をしていた。

 

 表面的にはドーラはリリカと割と友好的に接しているものの、内心、リリカのことを恐怖し憎んでいるはずだ。

 リリカが加わって食費問題が解決するのなら文句の言える立場ではないとよく分かっているだろう。

 ‎リリカがあんなキャラクターだからきっと無理して合わせているに違いない。

 リリカは否定していたが、彼女がドーラの一族を滅ぼした容疑が晴れない以上、問題は根本的には解決し得ない。

 

 リリカが旅をする目的は『目に見えない竜』を倒して、竜族を狩らないと収まらない体質から脱却すること。

 でも、そんな竜の情報は聞いたことがないし、すぐに見つかるとは思えない。

 ドーラの旅の目的は生き別れとなった妹を探すこと。


 ん? ということは。


 僕はリリカに訊ねたいことができて、夜だったが、リリカの部屋をこっそり訪れた。

 リリカは頭は兜、首から下はネグリジェという姿であった。



 

 

 ‎

 ‎

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