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第20話

 とある洞窟の中。

 ‎鉄の棒をもったスーラ。

 ‎彼女の足元に転がった骨が組み上がると、骨の標本のように人の形を成した。

 ‎骨の魔物、スケルトンだ。


「えいっ!」


 スーラは棒でスケルトンを殴る。

 ‎スケルトンは一旦はバラバラになるが、再び元の形に戻ると、スーラに向かってくる。


「やあっ!」


 棒の一撃がスケルトンの頭に直撃し、割れる。

 ‎そして、再びスケルトンが起き上がってくることはなかった。


「はあ、はあ、はあ……」


 棒をそのあたりに置くと疲れきった表情でしりもちをつく彼女。


「つかれました。はあ、はあ、はあ」

「お疲れ様」

「おっつー」


 ねぎらう僕とドーラ。

 ‎これはスーラの特訓だ。

 ‎とにかく戦力にならない彼女をなんとか鍛えるためにさっきから弱い魔物ばかりを殴らせているのだ。

 ‎凛に頼るという選択肢がなくなった今、スーラに自分の食費は自分で稼げるくらいになってほしいのだ。

 ‎ちなみに鉄の棒は文字通り拾い物である。

 

 スーラは少しずつ強くなってきているように思う。

 ‎最初はスケルトンに攻撃を当てるのも苦労していたが、それがほぼ外れなくなった。

 ‎倒すのに必要な攻撃回数も少なくなってきた。

 ‎だが。


「もうダメです、お腹空きすぎて動けませーん」


 腹が減るのが速くなっているし、食べる量が増加している。

 ‎そのわりには狩れる魔物は少ない。

 ‎かえって、効率が悪い。

 ‎もうやる意味なくないか?

 ‎あれ?

 ‎これってドーラと同じパターンじゃね?


 

 ってことはつまり。


「「なにもするな?!」」


 スーラとドーラの声がハモる。


「そう、お前たち二人はどうも燃費が悪い体をしているようだ。だから戦闘に参加するな。かえって食費がかさむ。なにもするな、そのへんで寝ていろ。僕が全部やる」


「いいんですか、それで?」


「ああ」


 そのほうが節約につながりそうだ。

 ‎

 そして、僕はゴブリンの群れに突撃をかける。今回の依頼はゴブリン100匹で3000ゴールドだという。さっさと片付けましょう。

 ‎バカみたいに真っ正面からくるゴブリンをさくっと切り捨てていく。


 だが、めっちゃめんどくさい。

 ‎ゲームで経験値1000稼ぐのに1回の戦闘でもらえる経験値が10しかないという感覚だ。しかも、時々一撃で仕留め損なったときに、いちいち僕の手のひらが光るのだ。

 ‎つまり、女の子にできるわけだが……冗談じゃない!

 ‎これ以上食べる側の人間が増えたら僕の負担が増大するばかりだ。

 ‎しかも、元ゴブリンの美少女ってなんか微妙じゃないか。

 名前もゴーブとかブーリとかだろ、どうせ。

 

 はあ、やっとすべてのゴブリンを撃退した。

 そして、ふと振り返るとそこには地面に横たわり爆睡するスーラとドーラの姿が。

 いくら美少女でもこの光景、すっげえ腹立つ。

 

 

 そして、ネスターの街のレストランにて。

 おい、どういうことだこれは。

 

 「足りないから、おかわり」

 「わたくしも、足りません」


 2人の食欲はいつも通りだったのだ!

 2人の食べる量が少なくなることを見越して注文したというのに! 

 そんなバカな! あり得ない!

 いったい何を間違えたんだ!

 スーラに至っては鍛え始める前より明らかに増加している。

 ひょっとして、これは。

 成長したら、食う量が増えるという設定か。

 それなら説明がつく。

 スーラを訓練して得たものは、食費の増大だったわけだ。

 こいつらを下手に戦わせると成長して、ベースの食費が上がっていくということか。

 要するに、僕が1人で養わないといけないのか!

 そんなことを考えている間に2人は食べまくり、3000ゴールドのうち、食費に2950ゴールド消えたのだった。

 ……モテる代償としてはあまりに高過ぎはしないか。

 今日も安定の野宿だ。

 

 「元気だしなよ、ハルカ」

 「そうです、ハルカ様」 


 両側から僕の頬にキスする2人。

 50ゴールドと美少女2人からのキスが今日の労働の見返りか。


 

 それから、ネスターの街の掲示板を見ていると、気になるものがあった。

 隣街のラッツの闘技場で金を稼げるらしい。

 一度の戦闘で5000から10000ゴールドの賞金!

 これだ! 僕は心を躍らせた。



 

 


 

 ‎

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