第一章 平凡な日常との別れ〈 Ⅲ 〉
翌日。
「もぉー、ムクっ!昨日先に帰っちゃったから、部活の説明ができなかったじゃん!」
「……」
俺は今、もの凄く睨まれている。クラスの全男子に。
理由は目の前の幼馴染が俺へと話しかけているからだ。
だが、部活ができてしまったらさらにコイツは話しかけてくるだろう。
なら、どうにかして俺の名前が書いてある忌々しいあの紙をマリンから奪い返さなければ……、
「あっ、あの後先生に届けておいたよっ!創部届」
「希望は閉ざされたー」
「んー?なんのー?」
声に出ていたらしい。でも、マリンは落ち込んでいる俺のことなど気にせずに続ける。
「えっとねー、まず活動内容は決めてないっ!」
「なぜそこでドヤ顔っ!?」
「でさー名前はねー」
「無視かよ……」
マリンは俺のつぶやきなど気にせずに続ける。
「その名も放課後安心安全びゅっ」
「噛んだっ」
「えー、こほん。その名も放課後安心安全部だよっ!」
わざとらしく咳をしてから言い直したマリンの顔はまたもやドヤ顔だった。
正直、その顔ウザイ。
てか、『放課後安心安全部』ってなんだよ。名前だせぇ。
俺は口に出すのを諦めて、心の中でそうツッコミを入れる。
でも、もう諦めるしかない。だってこのヴァカは一度決めたことは絶対に実行するのだから。
それなら――、
「今日は、活動内容から決めるとするか――マリン」
すると、彼女は一瞬、口をポカンと開けて
「うんっ!部室は昨日の教室だからっ!」
マリンが笑う。昔から変わらない無邪気な笑顔で。
そんなマリンのつられて俺も笑った。
そして、毎日騒がしい日々がはじまったのだった――。
☆ ★ ☆
――放課後。
「本当に部活どうするんだ……?」
俺はそうブツブツつぶやきながら部室へと向かう。
「てか、``放課後安心安全部´´ってなにすんだよ」
まだ、変な名前しか決まっていない変な幼馴染がつくったなぞの部活。
俺はそんな部活に不安になりながらも小さく笑った。
いつの間にか、部室の前に来ていた。俺は素通りしそうになって慌てて止まる。
ドアには昨日は無かったダンボールの板が貼られていた。
よく見ると『放課後安全安心部』と書かれていて。
「名前間違ってるし……」
なのに、字はとてもキレイで達筆だった。間違っているのに。
「……はぁ」
この部活、大丈夫なのか?部長は部の名前を間違えるほどのヴァカだし、副部長(俺)はやる気ないし。
それに、活動内容も決まってない――いや、決まったか。
「まず、今日の活動内容は部活の名前をしっかり覚える、だな」
俺はこのドアの向こうにいる幼馴染の顔を思い浮かべて笑った。
そして、俺はドアを開けた――。
みなさん、はじめまして。小鞠明音です。
これで第一章は終わりとなります。
主人公とヒロインの性格がだいたいこれで分かったかなと、思います。
この話は私がノートに書いていた落書きのような小説を少し変えて投稿しています。
まだまだ、下手な文章ですがあたたかく見守って下さると嬉しいです(*´罒`*)
これからもこの物語は続きます。
感想待ってます!