表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
放課後安心安全部、かつどーきろく!!  作者: 小鞠 明音
【4月 創部 。 いろいろあったな……】
4/37

第一章 平凡な日常との別れ〈 Ⅱ 〉


この学校は『創造・努力・夢』を校訓としている。


そして、この校訓に基づき、生徒達の創造の力や進路への選択肢を広げるために簡単に部活動をつくることが出来る。

そのかわり、部員が五人以上必要だけれど。さらに、部室や顧問の確保も大変。


だが、その創部条件も入試の成績や中学時代の内申によっては優遇される場合がある。


そのときは、『特別創部届』がもらえ、

必要な部員数したり、減少や月々の部費が増えたりして、教師たちからも一目置かれる存在となる。


過去にはそれを利用して、犯罪や不正行為にまではしる生徒も残念ながらいたらしい。


そのため、活動内容や学校への献上具合によっては、部費の減少や廃部も考えられるようになっている、らしい。

(ついでにフツーに創部すればそこまで厳しくない)


つまり、てか、ぶっちゃけ、フツーに部活つくるよりめんどくさい。


☆ ★ ☆


「ムクっ、部活つくろっ!」

ドンっと、ヴァカが俺の机を叩いてそんなことを言ってきた。

手には――『特別創部届』。


Q、ここでとる行動は?

チクタクチクタク、チクタク ピンポン!


「全力で逃げるっ!」


「ちょっと、ムクーっ!待ってよおっ」

「嫌だっ、無理、却下だ!」


俺はそう叫びながら走った。


ただひたすらに走った。途中て職員室の前を通ったとき以外走った。


これ以上、ヴァカのせいで俺のスクールライフが壊されてたまるかっ!


それは俺が生まれてから、何回も思った言葉。そして、不可能に終わった言葉。


「今度こそはっ……」


俺はそうつぶやきながら、走り続けた。



――十分後。


「はあっ、はあっ……ここはどこだ?」


多分、校舎のどこかだろう。随分と長く走って疲れた。


俺は近くにヴァカがいないことを確認してから、目に入った教室へと入った。


「広いな。てか、ソファーとかテーブルがあるしなぁ」


でも、教室の入口付近の壁のプレートには何も書かれていなかったため、空き教室なのだろう。


でも、それにしても家具が揃いすぎているような気がする。

そんなことを疑問に思いながら部屋中を眺めていると、テーブルに白い紙が置かれているのに気づく。

ゆっくりと近づいてみると、その紙には『入室届』と達筆な字で書かれていた。


こんな紙があるということはここは誰かが使っている物置部屋のようなものだろうか?


「一応、書いておいた方がいいんだろうなぁ……」


俺はつぶやきながらペンを手に取り、氏名欄に自分の名前を書いていく。

そして、書き終わったと同時にドアが大きな音を出して開かれた。


そこにいたのは――あのヴァカで。


「ムクっ、ありがとう!!」


――何が、ありがとう?


そんなことを思っていると、さっきまで手元にあったはずの入室届が、マリンの手元へと移動していた。

それを持っているマリンの顔は小学生のような無邪気な笑顔。


悪い予感がする。いや、悪い予感しかしないっ!!


そんな予感は間違いであってほしい。


俺はゆっくりと後ずさった。でも、すぐに後ろの壁にぶつかってしまう。

それでも、マリンはジリジリと俺に近づいて来る。


「実はねームク。これってね……」


そう言いながら、マリンは紙をめくった。否、正確には剥がした。

綺麗に上の部分だけが剥がれたのだ。

『入室届』と書かれていた部分だけが。


「で、こうなっていましたー!」


下から現れたのは『特別創部届』という文字。


「これからも、よろしくねっ!ムク」

「なん、で」


「だって、みんなの前であんなに仲を否定されたから逆に――燃えちゃって♪」


そう言って、もう1度無邪気にマリンは笑った。

あの時、あんなことを言わなければ良かった。そうすればきっと、こんなことにはならなかったかもしれない。


「う、嘘だろおぉぉぉ」


俺は学校中に響く声で絶叫した――。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ